病気やケガが長引き、
「仕事ができない」「働き方に制限が出た」
という状況に陥ったとき、
国から支給されるのが 障害年金 です。
障害年金の金額や受給可否を左右する最重要ポイントが
「障害等級」 です。
しかし、経営者からは次のような相談が多くあります。
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「障害等級って具体的にどう決まるの?」
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「寝たきりじゃなくても障害年金はもらえる?」
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「メンタル疾患でも対象?」
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「等級によって会社経営に影響が出るのか?」
結論から言えば、
障害等級は 経営者本人・家族・従業員の生活を守る重要制度 であり、
理解しているかどうかで人生レベルの差が生まれます。
この記事では、2025年時点の最新制度をもとに、
障害等級の内容・判断基準・経営者が注意すべき点を
徹底的にわかりやすく解説します。
Contents
- 1 ■ 1. 障害等級とは?(超シンプルに理解する)
- 2 ✔ 等級=「どれほど生活に支障があるか」の指標
- 3 ✔ 医師の診断書・日常生活の状況で総合判定
- 4 ✔ 1級 → 最も重い / 3級 → 労働に制限(厚生年金のみ)
- 5 ■ 2. 障害等級の種類と違い(基礎年金・厚生年金)
- 6 ■ 3. 障害等級の内容(2025年最新版の具体例つき)
- 7 ◆ 1級:日常生活のほぼすべてに介助が必要な状態
- 8 ◆ 2級:日常生活に著しい制限がある状態
- 9 ◆ 3級:労働に制限がある状態(厚生年金のみ)
- 10 ◆ 障害手当金(厚生年金):一時金
- 11 ■ 4. 障害等級は「病名」ではなく「日常生活能力」で決まる
- 12 ■ 5. 経営者が特に注意すべき「障害等級 × 初診日」の問題
- 13 ■ 6. 障害等級判定に使われる「日常生活能力の6領域」
- 14 ■ 7. 経営者に多い「障害等級の見逃しケース」
- 15 ■ 8. 障害等級は将来の老齢年金・遺族年金にも影響する
- 16 ✔ 65歳以降の老齢年金に切り替わる
- 17 ✔ 障害厚生年金は遺族給付にも影響
- 18 ✔ 経営者の役員報酬設計にも関わる
- 19 ■ 9. まとめ:障害等級は“経営者のリスク管理”の必須知識
- 20 ✔ 障害等級は「生活・仕事への支障」で判定
- 21 ✔ 障害基礎年金=1級・2級/障害厚生年金=1~3級
- 22 ✔ 役員報酬の高低が金額に直結
- 23 ✔ 初診日の扱いは経営者ほど複雑で重要
- 24 ✔ メンタル疾患・がん・心臓疾患も対象
- 25 ✔ 診断書の内容が等級を左右する
- 26 ✔ 障害等級は老齢年金・遺族年金にも影響
■ 1. 障害等級とは?(超シンプルに理解する)
障害等級とは、
病気やケガによって生じた 生活・仕事の支障の程度 を
1級、2級、3級といったレベルで判断し、
その等級に応じて障害年金額が決まる制度です。
ポイントは次の3つ。
✔ 等級=「どれほど生活に支障があるか」の指標
✔ 医師の診断書・日常生活の状況で総合判定
✔ 1級 → 最も重い / 3級 → 労働に制限(厚生年金のみ)
重い障害だけが対象ではなく、
うつ病、心臓疾患、視力障害、手足の可動域制限、がん治療中など
幅広い疾患が対象になります。
■ 2. 障害等級の種類と違い(基礎年金・厚生年金)
障害年金には2種類あるため、障害等級の扱いも異なります。
● 障害基礎年金(国民年金)
対象:自営業、学生、無職など
→ 1級・2級のみ
● 障害厚生年金(厚生年金)
対象:会社員・役員
→ 1級・2級・3級 + 障害手当金(一時金)
つまり、
経営者(役員)で厚生年金加入の場合は3級まで対象 になり、
比較的症状が軽くとも受給できる可能性があります。
■ 3. 障害等級の内容(2025年最新版の具体例つき)
障害等級は主に以下の基準で判定されます。
◆ 1級:日常生活のほぼすべてに介助が必要な状態
具体例
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常に介護が必要
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視力障害:両眼の視力が0.04以下
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精神疾患:常時見守りが必要
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脳疾患:一人で外出困難
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寝たきり、ほぼ寝たきり
経営者にとっての意味
→ 経営続行は困難。
→ 事業承継の検討が必要なケース。
金額も最も大きく、
障害基礎年金+障害厚生年金の1.25倍が支給されます。
◆ 2級:日常生活に著しい制限がある状態
具体例
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一人での買い物・家事が難しい
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うつ病・適応障害で外出困難
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心臓疾患で階段昇降が困難
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糖尿病による合併症で歩行困難
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聴力:高度難聴(90デシベル以上)
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乳がん・大腸がん等で治療継続し就労困難
経営者への影響
→ 経営はできるが、負担の大きい業務は難しい。
→ 役員として可能な業務のみ限定するなど、働き方の調整が必要。
障害基礎年金(年額 約87万円)+障害厚生年金
の両方が支給されるため、生活保障は大きくなる。
◆ 3級:労働に制限がある状態(厚生年金のみ)
具体例
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座り仕事はできるが立ち仕事は困難
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腰痛や関節疾患で重労働が不可
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聴力:70〜90デシベル程度の難聴
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うつ病で業務持続が困難
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手足の可動域制限(半分以下)
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心疾患や呼吸器疾患で重労働不可
経営者への影響
→ 経営は十分可能。
→ ただし、長時間労働・ストレスの高い業務は制限されやすい。
3級は 障害厚生年金だけ が支給され、
最低保障額(約59万円~)があるため、比較的受給しやすい等級です。
◆ 障害手当金(厚生年金):一時金
3級より軽い障害だが一定の障害が残った場合、
一時金(通常は報酬比例の2倍)が支給されます。
■ 4. 障害等級は「病名」ではなく「日常生活能力」で決まる
多くの経営者が誤解していますが、
障害等級は 病名では決まりません。
✔ うつ病でも1級になる
✔ 視力障害は数値で明確
✔ がん治療中でも対象
✔ 心臓疾患は数値+生活能力で判定
✔ 腰痛・関節障害でも等級がつくことがある
障害年金は “どれだけ生活に制限が残るか” を重視します。
ただし、
医師が書く「診断書」が最重要であり、
診断書の内容次第で等級は大きく変わります。
■ 5. 経営者が特に注意すべき「障害等級 × 初診日」の問題
初診日は障害年金の生命線と言えるほど重要です。
● 法人成り前後で初診日が分かれる
→ 国民年金になるか
→ 厚生年金になるか
→ 金額が大きく変わる
● 健康診断の異常値も「初診日」扱いになる可能性
ガン・糖尿病・肝疾患などは要注意。
● 役員報酬ゼロ期間は厚生年金加入が外れる
→ 厚生年金の障害等級対象にならないことも
経営者の場合、
初診日の影響が会社員より“はるかに大きい”ため、
日頃から記録を残しておくべきです。
■ 6. 障害等級判定に使われる「日常生活能力の6領域」
障害年金の等級は、
厚労省が定める「6つの生活能力」で評価されます。
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食事
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身体の清潔保持
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身の回りの管理
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金銭管理
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外出・交通利用
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他人との意思疎通
これらを総合評価し、
どこまで自力でできるかが等級判定の軸になります。
■ 7. 経営者に多い「障害等級の見逃しケース」
経営者は忙しいため、
障害等級を満たしていても申請していないケースが非常に多い。
【ケース①】メンタル疾患(うつ病・適応障害)
診断書次第で2級・3級になるケースは多い。
経営者のメンタル疾患は年々増加している。
【ケース②】心筋梗塞・不整脈・心臓手術
高度な身体活動ができない場合、
2級・3級の対象。
【ケース③】がん治療による長期休業
抗がん剤治療で就労が困難になり、2級となる例あり。
【ケース④】脳梗塞後の後遺症
歩行、言語、感覚に制限があると1級~3級に該当。
■ 8. 障害等級は将来の老齢年金・遺族年金にも影響する
障害年金は“単なる当面の生活保障”ではありません。
✔ 65歳以降の老齢年金に切り替わる
✔ 障害厚生年金は遺族給付にも影響
✔ 経営者の役員報酬設計にも関わる
等級によっては、
老後の受給額・妻の遺族年金の金額が変わることもあります。
したがって、
障害等級は事業承継・相続にも影響する重要要素と言えます。
■ 9. まとめ:障害等級は“経営者のリスク管理”の必須知識
最後に、今回のポイントをまとめます。
✔ 障害等級は「生活・仕事への支障」で判定
✔ 障害基礎年金=1級・2級/障害厚生年金=1~3級
✔ 役員報酬の高低が金額に直結
✔ 初診日の扱いは経営者ほど複雑で重要
✔ メンタル疾患・がん・心臓疾患も対象
✔ 診断書の内容が等級を左右する
✔ 障害等級は老齢年金・遺族年金にも影響
障害等級の理解は、
自分自身と家族、そして会社の未来を守る
“経営リスク管理の基礎”です。
経営者こそ、
障害年金と障害等級を正しく理解し、
最適なリスクマネジメントを行うことが重要です。