フリーキャッシュフロー(FCF)の算出方法にはいくつかのパターンがあります。一般的な計算式をベースに、さまざまな状況に応じたパターンを紹介します。
フリーキャッシュフローがそもそもどのようなものか?については、こちらの記事をご覧ください。
Contents
1. 営業キャッシュフローを基にしたパターン
FCF = 営業キャッシュフロー - 設備投資額
これは、最も基本的なパターンです。営業キャッシュフローから設備投資に使用したキャッシュを差し引くことで、手元に残るキャッシュを算出します。
例
- 営業キャッシュフロー:500,000円
- 設備投資:200,000円
- FCF = 500,000円 - 200,000円 = 300,000円
2. 純利益を基にしたパターン
FCF = 純利益 + 減価償却費 - 設備投資 - 運転資本の増減
企業の純利益から、減価償却など非現金支出を加算し、設備投資と運転資本の増減を差し引くパターンです。
例
- 純利益:1,000,000円
- 減価償却費:300,000円
- 設備投資:400,000円
- 運転資本の増加:100,000円
- FCF = 1,000,000円 + 300,000円 - 400,000円 - 100,000円 = 800,000円
3. EBITDAを基にしたパターン
FCF = EBITDA - 税金 - 設備投資 - 運転資本の増減
EBITDA(利払い・税引前・減価償却前の利益)を基に、税金や設備投資、運転資本の変動を加味したパターンです。
例
- EBITDA:2,000,000円
- 税金:300,000円
- 設備投資:600,000円
- 運転資本の増加:200,000円
- FCF = 2,000,000円 - 300,000円 - 600,000円 - 200,000円 = 900,000円
4. フリーキャッシュフロー to エクイティ(FCFE)
FCFE = FCF - 借入金返済 + 借入金調達額
株主に帰属するキャッシュフローを算出する場合、FCFから借入金返済を差し引き、新たな借入金調達があればそれを加算します。
例
- FCF:700,000円
- 借入金返済:200,000円
- 新規借入金:100,000円
- FCFE = 700,000円 - 200,000円 + 100,000円 = 600,000円
5. 税引き後営業利益(NOPAT)を基にしたパターン
FCF = NOPAT + 減価償却費 - 設備投資 - 運転資本の増減
税引き後営業利益(NOPAT:Net Operating Profit After Tax)を基にしたパターンです。NOPATは、純粋に営業活動から得た利益に基づき、減価償却費や設備投資などを加減して算出します。
例
- NOPAT:1,500,000円
- 減価償却費:250,000円
- 設備投資:400,000円
- 運転資本の増加:150,000円
- FCF = 1,500,000円 + 250,000円 - 400,000円 - 150,000円 = 1,200,000円
このように、フリーキャッシュフローの算出にはさまざまなアプローチがあります。状況や目的に応じて、適切な方法を選ぶことが大切です。