【2025年最新版】経営者が必ず理解すべき「障害年金」

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──障害基礎年金・障害厚生年金の仕組み、条件、金額、併給のルールを徹底解説

経営者や会社役員にとって「障害年金」は、自分自身だけでなく、
従業員・家族・事業承継にまで影響する重要な社会保障制度です。

しかし現実には、

  • 「障害年金は重い障害の人だけの制度」

  • 「会社役員でも受け取れるのか分からない」

  • 「保険料の未納があるとどうなる?」

といった誤解・知識不足が非常に多い。

実は、突然の事故・病気で就業不能になった場合、経営者の生活を救う最後のセーフティネットが障害年金と言っても過言ではありません。

特に、経営者は会社の給与設計や社会保険加入の判断によって、
受給額が大きく変わるため、正しく理解しておく必要があります。

本記事では、2025年時点の最新制度を基に、
「障害基礎年金」「障害厚生年金」 の違い、条件、金額、経営者特有の注意点まで徹底的に解説します。


■ 1. 障害年金とは?(超シンプルに理解する)

障害年金は、


✔ 病気やケガで「生活」または「仕事」に重大な制限が残ったとき

✔ 年金として毎月お金が支給される制度


であり、
労災保険や民間保険とはまったく別物 です。

経営者の場合、

  • 運転中の事故

  • 心疾患・脳血管疾患

  • メンタル疾患

  • ガン治療による長期離脱

こうした“いつでも起こり得るリスク”に対し、
障害年金は極めて大きな役割を果たします。


■ 2. 障害基礎年金と障害厚生年金の違い(図で理解)

障害年金には 2 種類あります。


● 障害基礎年金

→ 国民年金に基づく
→ 自営業者・無職・学生なども対象
→ 原則「1級・2級」のみ


● 障害厚生年金

→ 厚生年金に基づく
→ 会社員・役員が対象
→ 「1級・2級・3級」まで


つまり経営者の場合、

  • 役員報酬があり厚生年金加入 → 障害厚生年金

  • 個人事業主で国民年金のみ → 障害基礎年金だけ

という違いが出ます。

会社の形態変更(法人成り)、役員報酬設定は
そのまま障害年金の受給額に影響するため、
経営者は特に注意が必要です。


■ 3. 障害年金を受け取るための「3つの条件」

障害年金には、以下の3つの条件があります。


① 初診日要件

「初めて医師の診療を受けた日」に加入していた年金制度が決定権を持ちます。

例:

  • ケガ → 会社員 → 厚生年金 → 障害厚生年金

  • うつ病 → 個人事業主 → 国民年金 → 障害基礎年金

経営者の場合、

  • 法人成り前後で制度が変わる

  • 役員報酬ゼロ期間の扱い

など判定が複雑になるため注意。


② 保険料納付要件

初診日の前日において、

  • A:直近1年間に未納なし
    または

  • B:保険料納付率が2/3以上

このどちらかを満たしている必要があります。

経営者は次のケースで要注意です:

● 役員報酬ゼロで国民年金未払い

→ 保険料未納扱いで障害年金が受け取れない可能性

● 法人成り後の未加入期間

→ 初診日がその期間に当たると不支給


③ 障害等級(1級~3級)

医師の診断書に基づき、
日常生活の制限・就労能力の制限から等級が決まります。

  • 1級:ほぼ常時介護が必要

  • 2級:日常生活に著しい制限

  • 3級:労働に制限(厚生年金のみ)

メンタル疾患・心疾患・視力障害などでも対象になります。


■ 4. 障害基礎年金の金額(2025年)

障害基礎年金は、国民年金に基づく年金で、
自営業者・学生・無職でも対象です。


【障害基礎年金(2025年)】

■ 2級:年額 約 87万4,000円
■ 1級:2級の1.25倍 → 約 109万円


さらに、
子ども1人につき約22万円が加算 されるため、
子が3人いれば年額150万円を超えることもあります。


■ 5. 障害厚生年金の金額(2025年)

障害厚生年金は、厚生年金加入者(会社員・役員)に支給され、
“現役時代の給与額(標準報酬月額)”が金額に反映されます。


【障害厚生年金 2級】

標準報酬 × 5.481/1000 × 加入月数

【障害厚生年金 1級】

2級の1.25倍

【障害厚生年金 3級】

最低保障額:年額 約59万円(2025年)


会社役員の場合、
役員報酬の高さがそのまま障害厚生年金額に反映 されます。

つまり、

  • 高報酬 → 障害厚生年金の支給が多い

  • 低報酬 → 障害厚生年金が少ない

という構造。

役員報酬設計は、
実は事故・病気のリスク対策にも直結しています。


■ 6. 経営者に多い「障害厚生年金 × 併給」の誤解

経営者が理解しておくべき併給ルールは以下の通り。


✔ 老齢基礎年金 × 障害厚生年金

併給できる(○)


✔ 老齢厚生年金 × 障害厚生年金

併給不可(×) → どちらか選ぶ


✔ 障害基礎年金 × 老齢厚生年金

併給できる(○)


年齢によって選択制になる場合があります。
特に65歳前後で注意が必要。

経営者は「役員報酬 × 年金 × 障害」という総合最適化が必要になります。


■ 7. 経営者が“特に注意すべき6つのポイント”


① 役員報酬ゼロ期間はリスク

役員報酬ゼロ → 厚生年金の資格喪失
→ 初診日がこの期間にあると障害厚生年金が受け取れない


② 法人成り前後で初診日を跨ぐと複雑化

  • 個人事業 → 法人化 → 発症
    というケースでは、
    厚生年金 or 国民年金どちらが適用されるか慎重に判断が必要。


③ メンタル疾患が急増

経営ストレス・過労・トラブルによる
適応障害・うつ病などでの申請が非常に増えている。


④ ガン治療で就労困難になった場合も対象

抗がん剤治療、長期離脱などで
障害年金の対象になるケースは多い。


⑤ 健康診断で異常があった場合も「初診日」が争点に

例えば、血液検査の異常 → 再検査 → 精密検査
これらが初診日認定に影響するため、
経営者は記録管理が重要。


⑥ 障害年金は“非課税”

受け取っても所得税がかからない。
会社経営における生活費確保の観点で極めて重要。


■ 8. 従業員の福利厚生としての活用価値

経営者にとって、障害年金は自分だけでなく従業員にとっても重要。

  • メンタル疾患の増加

  • 交通事故

  • ケガによる離脱

  • 長期病気休職

こうした場面で障害年金は従業員の生活を支える。

さらに、
適切な社会保険加入は「優良企業の証明」にもなる。

  • 厚生年金加入

  • 社保完備

  • 休職制度整備

は採用・定着・長期雇用に大きく影響する。


■ 9. まとめ:経営者が障害年金を理解することは“自分と家族を守る経営判断”

障害年金は、経営者にとって単なる社会保障ではありません。

  • 事故

  • 病気

  • メンタル不調

  • ガン

  • 脳疾患

こうした「突然の就労不能リスク」から
自分と家族を守る“最後のセーフティネット”です。

この記事のポイントをまとめます。


✔ 障害年金は病気・ケガで働けなくなったときの年金

✔ 障害基礎年金=国民年金

✔ 障害厚生年金=厚生年金

✔ 役員報酬が障害厚生年金の金額に直結

✔ 初診日の扱いは経営者ほど注意が必要

✔ 老齢年金との併給は複雑 → 仕組みを理解するほど有利

✔ 社会保険加入は経営リスク管理そのもの


経営者のリスク管理は「会社」だけでは不十分です。
“経営者本人”のリスク管理こそ、
家族と事業の未来を守る基盤となります。

障害年金は、その最も重要な柱の一つと言えるでしょう。

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