株式評価における「原則的評価方式」とは?

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概要
株式評価とは、事業承継やM&Aにおいて、その企業の株式の価値を適切に算定するための重要な手段です。特に中小企業においては、事業承継時に株式の評価が非常に重要なポイントとなります。この記事では、株式評価における「原則的評価方式」と、その評価のためのアプローチについて解説します。

原則的評価方式とは?

株式の評価方式は、一般的に原則的評価方式と特例的評価方式に分類されます。原則的評価方式は、上場企業と非上場企業で異なる方法が適用されます。中小企業においても、事業承継やM&Aの場面では、非上場株式の評価が行われるため、原則的評価方式が重要となります。

株式評価の基本的なフレームワーク

株式評価における基本的なフレームワークは以下の通りです:

  1. 純資産価額方式
    企業が持つ資産から負債を引いた純資産額に基づき、株式の価値を算定する方式です。資産と負債の評価を正確に行い、企業の現時点の実際価値を算定します。この方法は、特に資産が多い企業や不動産を保有している企業において有効です。

  2. 類似業種比準方式
    類似する業種の上場企業の株価を参考にして、非上場企業の株式価値を算定する方法です。市場で取引される上場企業の株価と業績を基準にして、評価される企業の株式価値を推定します。利益水準や成長性なども考慮されます。

  3. 併用方式
    純資産価額方式と類似業種比準方式を併用して、株式評価を行う方法です。中小企業において、企業の特性や業績に応じて、これらの方式をバランスよく使用することで、株式の適正な価値を評価します。

純資産価額方式の詳細

純資産価額方式では、企業のバランスシート(貸借対照表)をベースに、企業が保有する資産と負債の差額、つまり「純資産」を基準にして株式価値を算定します。
この方法は、資産価値が企業評価の中心となるため、不動産や株式、設備などの資産を多く保有している企業で使われることが多いです。

  • 資産の評価: 企業が保有するすべての資産、現金や不動産、設備などの市場価値を算定。
  • 負債の控除: 負債も適正に評価し、企業の実際の純資産を求めます。

類似業種比準方式の詳細

この方法では、企業の事業内容や規模が類似する上場企業の株価を参考に、評価対象企業の株式価値を決定します。具体的には、利益や売上高、株価収益率(PER)を考慮し、評価を行います。

  • 類似企業の株価を参照: 同業他社の上場企業の株価をベンチマークとする。
  • 業績評価: 企業の利益水準や成長性、将来性を加味し、適切な株式価値を推定します。

併用方式の有効性

中小企業の場合、純資産価額方式と類似業種比準方式を併用することが多いです。企業の状況に応じて、資産価値と収益性をバランスよく評価し、最も適切な株式評価を行います。特に事業承継やM&Aの場面では、株式評価が経営判断に大きく影響するため、慎重な評価が求められます。

株式評価の際の注意点

  1. 経営の安定性
    事業承継やM&Aでは、株式評価を正しく行うことが非常に重要です。適正な評価が行われていない場合、後継者や買収者との間でトラブルが生じる可能性があります。

  2. 税務上の影響
    株式の評価額は、相続税や贈与税にも大きく影響します。事業承継時には、税務上の影響を十分に考慮し、専門家の助言を受けながら評価を行うことが推奨されます。

  3. 専門家の活用
    株式評価は非常に専門的な作業です。中小企業経営者は、事業承継やM&Aにおいて、財務や法務の専門家に相談しながら進めることが必要です。

まとめ

株式評価における「原則的評価方式」とは、企業の純資産価値や類似業種の評価をもとに、適切な株式の価値を算定する方法です。特に中小企業の事業承継やM&Aでは、株式の評価が事業の将来に大きな影響を与えるため、慎重に評価することが求められます。専門家の助言を活用し、税務上の影響も考慮しながら、最適な株式評価を行うことが成功の鍵です。

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