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はじめに|「最終回」から「新時代」へ。補助金制度が大きく変わる
中小企業の大胆な挑戦を後押ししてきた「事業再構築補助金」。
その最終回となった第13回公募(2025年6月発表)の採択結果が公表されました。
この公募をもって制度は終了し、今後は「新事業進出補助金」へと引き継がれます。新制度では新市場性や高付加価値性がより重視され、採択のハードルが一段と上がることが予想されます。
本記事では、第13回の分析を通じて、これまでの傾向とこれからの対策を解説します。
1. 採択率は35.5%|事業再構築補助金の終幕を飾る最終回
第13回の応募件数は3,100件、うち1,101件が採択されました。
採択率は35.5%で、過去と比べてやや厳しめの結果です。
主要類型別の採択件数:
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通常枠:739件
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成長分野進出枠:244件
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コロナ回復加速化枠:118件
上乗せ措置(卒業促進類型など)はわずか13件の採択にとどまり、制度の収束が明確に現れています。
2. 業種別傾向|製造業・小売業・建設業が主力を維持
応募・採択が多かった業種は以下の通りです:
業種 | 応募割合 | 採択割合 |
---|---|---|
製造業 | 33.8% | 22.9% |
卸売業・小売業 | 14.4% | 14.9% |
建設業 | 14.2% | 13.4% |
一方、宿泊業・飲食業、医療福祉、運輸業などの採択割合は低く、従来のコロナ影響業種への優遇が終了しつつある傾向がうかがえます。
3. 地域別|都市圏は激戦も採択数は多い
都道府県別で見ると、やはり大都市圏が上位を占めました。
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東京都:601件応募/178件採択
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大阪府:308件応募/121件採択
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愛知県:231件応募/99件採択
地方は応募数・採択数ともに少ないものの、申請書の質次第で十分チャンスはあります。
4. 補助金申請額|3,000万円未満が7割超。中規模案件が主流
補助金申請額は以下のような分布になっています:
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1,500~3,000万円未満:40.1%(採択者)
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1,000~1,500万円未満:15.6%
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500~1,000万円未満:16.0%
全体の72.4%が3,000万円未満で、過度な設備投資ではなく、収益性・再現性のある事業計画が支持されていることが分かります。
5. 認定支援機関の関与で採択率アップ
第13回では、応募者の53.5%が認定経営革新等支援機関の支援を受けて申請。
その中でも、士業やコンサルタントによる支援で高い採択率を記録しています。
今後の新制度でも、専門家の関与は不可欠です。
6. 今後は「新市場性」と「高付加価値性」が問われる時代に
事業再構築補助金は今回で終了し、今後は「新事業進出補助金」へと移行します。
新制度では以下が重視されると明言されています:
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新市場性(=まったく新しい顧客・ターゲットへの展開)
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高付加価値性(=粗利や労働生産性の向上が明確)
このため、「同業種で設備だけ入れ替える」「既存顧客向けの新商品」では通用しなくなります。
7. 次回補助金に向けた3つの対策ポイント
今後の公募で採択されるためには、次の3点を意識した事業計画が求められます:
①「誰に売るか」の市場の新しさを明確にする
ターゲット市場が既存事業と重ならないことを明示しましょう。
②「どう稼ぐか」の利益構造を具体化
利益率や回収見込み、再現性の高さなどをロジカルに示すことが必要です。
③「誰と一緒にやるか」の支援体制を整える
認定支援機関との連携や専門家チームの存在も重要な評価ポイントです。
まとめ|“最後の再構築”を超えて、次の挑戦へ
第13回公募は、事業再構築補助金の最後の大きなチャンスでした。
その結果から見えてきたのは、「計画の質」と「時代の要請に応じた構想」が重視されているという点です。
次なる「新事業進出補助金」では、より高いレベルでの革新性が問われます。
単なる設備投資ではなく、顧客と価値の“革新”がカギです。
補助金の活用を検討している方は、今こそ「自社にとっての“新市場”とは何か?」を見つめ直すタイミングといえるでしょう。
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