Contents
【令和8年度最新】新事業進出・ものづくり補助金とは?制度改正で何が変わったのか徹底解説
令和8年度、中小企業向け補助金制度が大きく生まれ変わりました。
これまで別々に実施されていた
- ものづくり補助金
- 新事業進出補助金
この2つの考え方を取り入れ、新たにスタートしたのが
「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」
です。
従来のものづくり補助金は「設備投資による生産性向上」を中心に支援していました。一方、新事業進出補助金では「新市場への挑戦」や「高付加価値事業への転換」が重視されていました。
今回の新制度では、これらを一体化し、「革新的な新製品・サービスの開発」「新市場への進出」「海外展開」を総合的に支援する制度へと進化しています。
つまり、
設備投資を支援する制度から、企業の成長戦略そのものを支援する制度へと大きく方向転換したと言えるでしょう。
この記事では、公募要領の内容をもとに、制度概要から補助額、申請要件、補助対象経費、審査のポイントまで分かりやすく解説します。
新事業進出・ものづくり補助金とは?
本補助金は、中小企業等が
- 革新的な新製品・新サービスの開発
- 新市場への進出
- 高付加価値事業への転換
- 海外市場への展開
などに取り組み、生産性向上と企業規模の拡大を図ることを目的とした補助金です。
さらに、その成果を付加価値向上や賃上げへつなげることが制度の大きな目的となっています。
これまで以上に「成長する企業」を重点的に支援する制度設計となっていることが特徴です。
3つの補助枠
今回の制度では、目的に応じて3つの申請枠が設けられています。
| 補助枠 | 内容 |
|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービスの開発を支援 |
| 新事業進出枠 | 新市場・高付加価値事業への進出を支援 |
| グローバル枠 | 海外市場開拓・輸出拡大を支援 |
それぞれ対象となる事業内容や補助率が異なるため、自社の事業内容に適した枠を選択することが重要です。
補助額・補助率
① 革新的新製品・サービス枠
| 従業員数 | 補助上限 |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円 |
| 6~20人 | 1,000万円 |
| 21~50人 | 1,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 |
※賃上げ特例適用で最大3,500万円
補助率
- 中小企業:1/2
- 小規模事業者・再生事業者:2/3
② 新事業進出枠
| 従業員数 | 補助上限 |
|---|---|
| 20人以下 | 2,500万円 |
| 21~50人 | 4,000万円 |
| 51~100人 | 5,500万円 |
| 101人以上 | 7,000万円 |
※賃上げ特例適用で最大9,000万円
補助率
- 中小企業:1/2
③ グローバル枠
補助上限
2,500万円~7,000万円
※賃上げ特例適用で最大9,000万円
補助率
- 中小企業:2/3
基本要件
本補助金では、設備を導入するだけでは対象となりません。
補助事業終了後3~5年間の事業計画を策定し、以下の要件を満たす必要があります。
① 付加価値額要件
付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を
年平均4.0%以上
成長させること。
② 賃上げ要件
一人当たり給与支給総額を
年平均3.5%以上
増加させる計画が必要です。
交付申請時には従業員への表明も求められます。
③ 最低賃金要件
事業場内最低賃金を
地域別最低賃金+30円以上
維持する必要があります。
④ ワークライフバランス要件
一般事業主行動計画を策定・公表していることが必要です。
⑤ 職場環境整備要件
子育て支援や働きやすい職場づくりに関する取り組みも要件となっています。
⑥ 金融機関確認要件
金融機関から資金提供を受ける場合には、金融機関による事業計画の確認が必要となります。
賃上げ特例
一定以上の賃上げを実施する企業は
補助上限額が最大2,000万円引き上げられます。
対象となるには
- 給与支給総額:年平均6%以上
- 事業場内最低賃金:+50円以上
という高い目標を達成する計画が必要です。
なお、特例部分については、目標未達の場合に返還対象となる場合があります。
地域別最低賃金特例
最低賃金近傍で雇用している従業員が一定割合以上いる企業については、
補助率が
1/2 → 2/3
へ引き上げられる特例も設けられています。
補助対象経費
対象となる経費は次のとおりです。
- 機械装置・システム構築費
- 建物費(新事業進出枠・グローバル枠)
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 広告宣伝・販売促進費
- 海外旅費(グローバル枠)
- 通訳・翻訳費(グローバル枠)
一方で、
- 汎用パソコン
- タブレット
- スマートフォン
- 車両
- 家具・家電
- 土地
- 自社人件費
- 消費税
などは対象外となります。
第1回公募スケジュール
| 内容 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 令和8年6月29日 |
| 電子申請受付開始 | 令和8年8月頃(予定) |
| 申請締切 | 令和8年9月30日(水)18:00 |
| 採択発表 | 令和8年12月頃(予定) |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内) |
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。取得まで約1週間かかるため、早めの準備をおすすめします。
この補助金は「設備投資」ではなく「経営改革」を支援する制度
ここまで制度の概要を紹介しましたが、今回の制度を一言で表すなら、
「設備投資補助金」から「企業変革支援制度」への進化
です。
重要なのは、どの設備を導入するかではありません。
その設備を活用して、
- どの市場へ挑戦するのか
- どのような価値を提供するのか
- どのように利益を生み出すのか
- どのように賃上げにつなげるのか
という経営戦略そのものが問われます。
3つの補助枠を理解しよう
今回の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、目的に応じて3つの申請枠が設けられています。
それぞれ対象となる事業が異なるため、まずは自社がどの枠に該当するのかを理解することが重要です。
| 補助枠 | 対象となる事業 |
|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービスの開発 |
| 新事業進出枠 | 新市場・高付加価値事業への進出 |
| グローバル枠 | 海外市場開拓・輸出拡大 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
革新的新製品・サービス枠とは?
革新的新製品・サービス枠は、
既存事業をさらに発展させるために、革新的な新製品や新サービスを開発する企業を支援する制度です。
単なる設備更新や能力増強では対象になりません。
例えば、
- 新素材を活用した新製品開発
- 独自技術を活かした新サービス
- AI・IoTを活用した革新的サービス
- これまでにない製造方法による製品開発
など、
顧客へ新たな価値を提供すること
が求められます。
つまり、
「設備を新しくする」
ではなく、
「新しい価値を生み出す」
ことが重要になります。
また、公募要領では
既存製品の単なる性能向上や既存プロセスの改善だけでは対象にならない
ことも明記されています。
このような企業におすすめ
✔ 製造業
✔ ソフトウェア開発会社
✔ IT企業
✔ 新製品を開発したい企業
✔ 独自技術をさらに伸ばしたい企業
新事業進出枠とは?
今回最も注目されている制度です。
既存事業とは異なる
新市場
へ進出し、
さらに
高付加価値
な商品・サービスを提供する企業を支援します。
ポイントは
「新商品」
だけではありません。
審査では
① 製品・サービスの新規性
② 市場の新規性
この両方が必要になります。
例えば
建設会社が
新たに
防災用品市場へ参入する。
食品メーカーが
医療向け食品市場へ参入する。
OEMメーカーが
自社ブランド製品を立ち上げる。
このようなケースが対象となる可能性があります。
一方で、
既存商品の販売量を増やすだけ
既存商品の色違いを作るだけ
既存顧客向けの新メニュー追加
などは対象外となります。
このような企業におすすめ
✔ 新規事業を始める
✔ 新市場へ進出する
✔ OEMから自社ブランドへ転換
✔ 新サービスを開始する
✔ AI・DXを活用して新たな市場へ挑戦する
グローバル枠とは?
グローバル枠は、
海外市場への展開を本格的に進める企業を支援する制度です。
単なる輸出ではありません。
海外市場で継続的に販売していくための
国内体制整備
まで含めて支援されます。
例えば、
海外向け商品の開発
海外向け設備投資
海外展示会出展
海外販路開拓
海外認証取得
輸出拡大
などが対象になります。
つまり、
国内で売れたから海外でも売る、
というレベルではなく、
海外市場を本格的に開拓する
企業向けの制度と言えます。
このような企業におすすめ
✔ 海外展開したい
✔ 輸出を増やしたい
✔ 海外展示会へ出展したい
✔ 海外市場向け商品を開発したい
✔ 海外売上を伸ばしたい
3つの補助枠の違い
簡単にまとめると、
革新的新製品・サービス枠
今の事業を進化させる制度
新事業進出枠
新しい市場へ挑戦する制度
グローバル枠
海外市場へ挑戦する制度
どの枠を選ぶべきか?
迷った場合は、次のように考えると分かりやすいでしょう。
- 既存事業の技術やサービスを進化させる → 革新的新製品・サービス枠
- 新しい市場・新規事業へ挑戦する → 新事業進出枠
- 海外市場を本格的に開拓する → グローバル枠
認定経営革新等支援機関としてのポイント
実務上は、「どの設備を導入するか」ではなく、**「その設備を使って何を実現するのか」**から考えることが重要です。
例えば、最新設備を導入するだけでは「革新的新製品・サービス枠」の対象にはなりません。新市場へ進出するだけでも「新事業進出枠」に該当するとは限りません。
設備投資は手段であり、その設備を活用してどのような価値を生み出し、どの市場で、どのような顧客に提供するのかというストーリーが審査の中心になります。