【第3回採択結果速報】新事業進出補助金の採択率・採択企業の傾向を徹底分析|第4回・新制度「新事業進出・ものづくり補助金」も解説

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令和8年7月、中小企業新事業進出補助金「第3回公募」の採択結果が公表されました。

さらに、第4回公募はすでに募集を終了しており、この制度としての募集は一区切りとなります。

今後は、「新事業進出・ものづくり補助金」という新制度へ移行することが公表されており、新事業進出補助金は大きな転換点を迎えています。

今回の記事では、

・第3回採択結果の概要

・第1回から第3回までの推移

・採択企業一覧から読み取れる傾向

・採択されやすい事業の特徴

・第4回公募への影響

・新制度への展望

まで、補助金支援を行う立場から詳しく分析していきます。

これから補助金を活用した設備投資を検討している企業はもちろん、第4回へ申請された企業にとっても参考になる内容です。


Contents

第3回公募の採択結果

まずは今回発表された数字を確認しましょう。

項目 件数
応募件数 1,212件
採択件数 423件
採択率 約34.9%
関税加点対象 176件

採択率は約35%となり、第1回・第2回とほぼ同水準でした。

一方で、応募件数は前回よりさらに減少しています。

このことから、

「応募が減ったから簡単になった」

というよりも、

一定水準の競争率を維持しながら、質の高い計画が採択されている制度

であることが分かります。


第1回から第3回までの推移

これまで3回実施された結果を比較すると、次のようになります。

公募 応募件数 採択件数 採択率
第1回 3,006件 1,118件 37.2%
第2回 2,350件 832件 35.4%
第3回 1,212件 423件 34.9%

第1回は制度開始直後ということもあり、多くの企業が応募しました。

しかし、第2回、第3回と応募件数は減少しています。

一方で、採択率は35%前後でほぼ一定です。

つまり、

「応募数が減っている=採択されやすくなった」ではありません。

審査基準は引き続き厳しく、一定以上の完成度を持つ事業計画だけが採択されていると考えられます。

また、第1回・第2回の採択結果でも、応募件数・採択件数・業種別構成を見ると、製造業・建設業・卸売・小売業が中心となっており、第3回も同様の傾向が続いています。


採択企業一覧から見える全体傾向

採択企業一覧を確認すると、非常に興味深い特徴があります。

一見すると、

「様々な業種が採択されている」

ように見えますが、詳しく見ると共通点があります。

それは、

既存事業の強みを活かしながら、新市場へ進出している

ということです。

例えば、

・機械加工会社が半導体部品へ進出

・食品メーカーが高付加価値食品市場へ進出

・建設会社が新素材・新工法を活用した新サービスへ進出

・金属加工会社が医療機器部品へ進出

・印刷会社がパッケージ製造へ進出

・商社が自社ブランド商品の製造へ進出

など、

全く異業種への挑戦ではなく、

「自社の強みを活かした隣接市場への展開」

が非常に多く見られます。

これは、本補助金が求める「新市場・高付加価値事業への進出」という趣旨と一致しています。公募要領でも、既存事業とは異なる事業でありながら、自社の成長・付加価値向上につながる新市場への挑戦を支援する制度であることが明記されています。


採択企業に共通して見られる5つの特徴

採択企業を分析すると、次の5つの特徴が浮かび上がります。

① 既存技術を活かしている

完全にゼロから始める事業ではなく、

既存設備

既存ノウハウ

既存人材

既存顧客との関係

を応用しています。

つまり、

「強みの延長線上にある新事業」

が評価されています。


② 市場が明確

採択企業は、

誰に売るのか

どの市場なのか

市場規模はどの程度なのか

を明確に説明しています。

「良い商品を作ります」

だけでは評価されません。

「誰が購入するか」

まで具体的に描けていることが重要です。


③ 高付加価値

価格競争ではなく、

技術

品質

独自性

ブランド

環境性能

DX

AI

などを活用し、

利益率の高い市場へ進出する計画が目立ちます。


④ 成長性

審査では、

設備投資を行う理由だけではなく、

「会社全体がどう成長するのか」

が重視されています。

そのため、

新規売上

付加価値額

賃上げ

地域経済への波及効果

まで一貫したストーリーを持つ企業が採択されています。


⑤ 実現可能性

夢物語ではなく、

設備

人員

販売方法

営業体制

資金計画

まで現実的に設計されている企業が多いことも特徴です。

単に新しいことを始めるのではなく、

「実際に売上を作れる」

ことが説明できている点が共通しています。

採択企業一覧を分析して見えた「本当に採択される事業」の特徴

第3回の採択企業一覧を確認すると、一見すると製造業からサービス業まで幅広い業種が採択されています。

しかし、事業内容まで読み込んでいくと、いくつかの共通する傾向が見えてきます。

ここでは、採択企業に多く見られた特徴を整理します。


① 製造業が依然として中心

今回も採択企業の中心となったのは製造業でした。

これは第1回、第2回から続く傾向でもあります。

製造業は、

・設備投資による生産性向上

・高付加価値製品の開発

・新市場への展開

との親和性が高く、本補助金の趣旨と一致しやすいことが理由です。

採択企業では、

・半導体関連

・医療機器関連

・食品加工

・自動車部品

・精密機械

・金属加工

などが多く見受けられました。

特に近年は、

半導体

脱炭素

GX

医療

防災

食品

といった成長市場へ進出する案件が増えています。

つまり、

単なる設備更新ではなく、

「市場そのものが伸びる分野へ参入している」

ことが大きな特徴と言えます。


② 「新しい商品」ではなく「新しい市場」が評価されている

採択一覧を見ると、

新商品を作った会社

ではなく、

新しい市場へ参入した会社

が数多く採択されています。

例えば、

同じ加工技術でも

自動車部品

医療部品

へ進出する。

食品製造でも

業務用食品

高級ギフト市場

へ進出する。

つまり、

商品そのものよりも

顧客が変わること

が重要なのです。

これは公募要領で示されている

「市場の新規性」

そのものです。

逆に、

既存顧客へ商品を追加するだけでは、

採択されにくい傾向があります。


③ 自社の強みを最大限活かしている

採択企業のほぼ全てに共通していたのは、

今まで積み上げた経営資源を活用していることです。

例えば

・加工技術

・営業力

・ブランド

・設備

・特許

・ノウハウ

・人材

これらを活かして、

別市場へ展開しています。

つまり、

「ゼロから始める新事業」

ではありません。

審査員が見ているのは、

「成功する可能性」

です。

成功する可能性を高めるためには、

既存の強みを活かすことが重要になります。


④ AI・DX・自動化を組み合わせた案件が増加

第3回では、

AI

IoT

DX

ロボット

自動化

画像解析

クラウド

などを活用した案件も数多く見られました。

ただし、

ここで勘違いしてはいけないのは、

AIを導入したから採択された

のではありません。

AIを使って

どんな新しい価値を提供するのか

が評価されています。

つまり、

AIは目的ではなく手段です。

例えば、

AI画像診断

AI検査

AI品質管理

AI需要予測

AI設計

など、

事業モデル全体を変える取り組みが高く評価されています。


⑤ 「自社ブランド化」は引き続き有望テーマ

これまで第1回・第2回の採択企業を分析してきましたが、

今回も自社ブランド

という流れは数多く見られます。

これは、

付加価値向上

利益率向上

価格決定権の獲得

という補助金の目的に合致するためです。

また、

外注していた工程を

自社製造

自社加工

自社工場

へ切り替える案件も見られます。

もちろん、

単なる内製化では対象になりません。

重要なのは、

その結果、

新市場へ進出し、

新たな顧客へ販売できることです。

この点は、多くの企業が誤解しているポイントでもあります。

第3回採択企業一覧だけでは、OEMから自社ブランド・自社製造へ転換した案件数までは判別できません。

一方で、本補助金は「新市場への進出」と「高付加価値化」を重視する制度であり、自社ブランド化や内製化を通じて新たな顧客へ展開するビジネスモデルは、制度趣旨との親和性が高いと考えられます。

そのため、このような構想を持つ企業は、事業計画の組み立て方次第で十分採択を目指せるテーマと言えるでしょう。


業種別に見る採択傾向

採択一覧からは、次のような業種別の特徴も読み取れます。

製造業

もっとも採択件数が多い分野。

設備投資による高付加価値化が中心。


建設業

建設業そのものではなく、

製造

新素材

防災

リサイクル

住宅関連製品

などへ展開する案件が目立ちます。


食品業

近年急増しています。

特に

高級食品

冷凍食品

健康食品

海外展開

ギフト

などが増えています。


サービス業

サービスそのものより、

設備投資を伴う

高付加価値サービス

DX

体験型事業

宿泊

医療

福祉

などが多く見られます。


第4回公募への影響

第4回公募はすでに締め切られています。

そのため、

今から内容を変更することはできません。

しかし、

今回の採択結果を見る限り、

第4回も同様の審査基準で評価されている可能性が高いと考えられます。

特に、

・市場の新規性

・高付加価値

・実現可能性

・付加価値向上

・賃上げ

この5つは引き続き重視されているでしょう。

採択発表まで不安な企業も多いと思いますが、

今回の傾向を見る限り、

事業の一貫性が高い企業ほど期待できると言えそうです。


そして制度は次のステージへ

第4回公募をもって、

新事業進出補助金は一区切りとなります。

次回からは

「新事業進出・ものづくり補助金」

として制度が一本化されます。

これは単なる名称変更ではありません。

これまで別々だった

・ものづくり補助金

・新事業進出補助金

それぞれの特徴を活かした制度へ再編される予定です。

そのため、

今後は、

製造業だけではなく、

サービス業

食品業

建設業

IT企業

医療関連企業

など、

より幅広い企業が設備投資による成長戦略を描くことが求められるでしょう。

第1回から第3回までを分析して見えた「採択される企業」の7つの共通点

第1回から第3回までの採択企業を分析すると、採択される事業計画には明確な共通点があります。

もちろん業種や事業内容は様々ですが、審査員が評価しているポイントは一貫しています。

ここでは、採択企業に共通する7つのポイントをご紹介します。


① 新市場が明確である

最も重要なのが「市場」です。

「新しい設備を導入します」

「新商品を販売します」

だけでは評価されません。

重要なのは、

「これまでとは異なる顧客へ、どのような価値を提供するのか」

が明確になっていることです。

採択企業は、自社の新しい顧客像、市場規模、市場成長性まで具体的に説明しています。


② 自社の強みが活かされている

採択企業は、まったく新しい事業を始めるのではなく、

  • 技術
  • 人材
  • ブランド
  • 顧客基盤
  • 生産体制
  • ノウハウ

など、これまで培ってきた経営資源を活かしています。

つまり、「新事業」ではありますが、「強みの延長線上」にある事業であることが特徴です。


③ 高付加価値化が明確

単価競争ではなく、

  • 高品質
  • 高機能
  • 独自性
  • ブランド力
  • DX
  • AI
  • 環境対応

などによって利益率を高める計画が多く見られます。

補助金の目的そのものが「付加価値向上」であるため、この視点は欠かせません。


④ 数字に説得力がある

採択企業の事業計画には、

  • 売上予測
  • 利益計画
  • 市場規模
  • 販売数量
  • 販売単価
  • 設備稼働率

など、数値に裏付けがあります。

「頑張ります」

ではなく、

「なぜその数字になるのか」

まで説明できていることが重要です。


⑤ 設備投資の必要性が明確

設備ありきではなく、

「新事業を実現するために、この設備が必要である」

というストーリーになっています。

例えば、

  • 生産能力不足
  • 精度向上
  • 新素材への対応
  • 新規市場の品質要求

など、設備導入の必然性が明確です。


⑥ 会社全体の成長戦略になっている

補助金は設備を買う制度ではありません。

会社全体がどのように成長するかを支援する制度です。

採択企業は、

  • 売上拡大
  • 利益率向上
  • 人材育成
  • 賃上げ
  • 地域貢献

まで一貫して説明しています。


⑦ 「実現できる」と審査員が判断できる

最後は実現可能性です。

どれだけ夢のある事業でも、

  • 人材
  • 資金
  • 販売方法
  • 技術

が不足していれば採択されません。

採択企業は、

「この会社なら実現できる」

と思わせる計画になっています。


新制度「新事業進出・ものづくり補助金」で求められること

第4回公募をもって、新事業進出補助金は一区切りとなり、次回からは「新事業進出・ものづくり補助金」へ移行します。

制度名称は変わりますが、本質は変わらないと考えています。

今後も重要になるのは、

  • 新市場への挑戦
  • 高付加価値化
  • 生産性向上
  • 賃上げ
  • 成長戦略

です。

一方で、AI、GX、DX、人手不足への対応など、社会課題を解決する事業の重要性はさらに高まるでしょう。

設備投資そのものではなく、「企業がどう成長するのか」を示せるかが、今後も採択の鍵になります。


補助金は「申請書の勝負」ではなく、「経営戦略の勝負」

補助金支援をしていると、「文章がうまければ採択される」と思われることがあります。

しかし、実際はそうではありません。

採択される企業は、

  • なぜ新事業なのか
  • なぜ今なのか
  • なぜ自社が取り組むのか
  • なぜ成功できるのか

という問いに、経営者自身が明確な答えを持っています。

その考えを事業計画書に落とし込んだ結果として、採択につながっているのです。

だからこそ、補助金申請は単なる書類作成ではなく、自社の未来を描く経営戦略づくりでもあります。


まとめ

第3回採択結果を分析すると、採択率は約35%で推移しており、引き続き競争率の高い補助金であることが分かりました。

一方で、採択企業には共通する特徴も明確に見られます。

  • 新市場への進出
  • 高付加価値化
  • 既存の強みの活用
  • 成長戦略との一貫性
  • 実現可能性

これらを高いレベルで備えた企業が採択されています。

そして、第4回公募で本制度は一区切りを迎えますが、その考え方は次の「新事業進出・ものづくり補助金」にも引き継がれていくでしょう。

これから補助金を検討する企業は、「設備を導入する」ことだけを目的にするのではなく、「会社をどう成長させるか」という視点から事業計画を組み立てることが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q. 第3回の採択率はどれくらいでしたか?

約34.9%です。第1回(37.2%)、第2回(35.4%)と比較しても大きな変化はなく、概ね35%前後で推移しています。

Q. 応募件数が減っているので採択されやすくなっていますか?

応募件数は減少していますが、採択率はほぼ横ばいです。そのため、「応募者が減ったから簡単になった」とは言えません。引き続き質の高い事業計画が求められます。

Q. どのような事業が採択されやすいですか?

既存事業の強みを活かしながら、新市場・高付加価値市場へ進出する事業です。単なる設備更新や既存事業の延長ではなく、新たな顧客や市場への挑戦が重要になります。

Q. 次回制度では何が変わりますか?

第4回公募を最後に、新事業進出補助金は「新事業進出・ものづくり補助金」へ移行します。制度の詳細は今後公表されますが、生産性向上や高付加価値化、新市場への挑戦といった考え方は引き続き重視されると考えられます。


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