Contents
- 1 ■ 1. 年金は“請求しなければ支給されない”制度
- 2 ✔ 年金は自動で支給されない
- 3 ✔ 自分で「請求手続き」をする必要がある
- 4 ■ 2. 年金請求の種類(老齢・障害・遺族)
- 5 ■ 3. 老齢年金の請求手続き(65歳時点の基本形)
- 6 ✔ 65歳到達の約3ヶ月前
- 7 ■ 4. 障害年金の請求手続き(最も複雑な手続き)
- 8 ■ 5. 遺族年金の請求手続き(遺族基礎年金・遺族厚生年金)
- 9 ■ 6. 2025年時点の「オンライン申請」対応状況
- 10 ■ 7. 年金請求で“最も多いミス”
- 11 ■ 8. 経営者だからこそ知るべき「年金請求の実務ポイント」
- 12 ■ 9. まとめ:年金請求は“準備がすべて”
- 13 ✔ 年金は請求しないと支給されない
- 14 ✔ 老齢・障害・遺族で手続きが大きく異なる
- 15 ✔ 必要書類と窓口を理解しておくことが重要
- 16 ✔ 経営者は加入記録が複雑になるため特に注意
- 17 ✔ ねんきんネット・定期便を活用すると手続きがスムーズ
──老齢・障害・遺族年金の申請方法、必要書類、注意点まで完全ガイド
年金は 請求しなければ支給されない制度 です。
これは意外に理解されていません。
特に経営者は、
-
会社設立前の加入記録
-
法人成り後の厚生年金
-
役員報酬の変動
-
家族の第3号期間
-
持病や事故による障害年金の可能性
-
配偶者の遺族年金
など、人生設計に関わる要素が複雑になることが多いため、
「年金請求の手続き」を押さえておくことは極めて重要です。
本記事では、
老齢年金・障害年金・遺族年金の全体像を理解しながら、
2025年時点での最新情報に基づき“実務で使える形”で整理します。
■ 1. 年金は“請求しなければ支給されない”制度
まずもっとも重要なことは、
✔ 年金は自動で支給されない
✔ 自分で「請求手続き」をする必要がある
という点です。
特に、
-
会社員 → 自営業になった人
-
法人化して役員になった人
-
専業主婦の第3号期間がある人
-
海外勤務経験がある人
などは、加入記録が複数にまたがるため、
手続きが複雑になりやすい。
■ 2. 年金請求の種類(老齢・障害・遺族)
年金の請求手続きは、大きく3つの種類があります。
① 老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)
通常は 65歳になったとき に請求。
② 障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)
病気やケガで所定の障害認定日に要件を満たしたとき。
③ 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)
家族が亡くなったとき。
それぞれ手続きが異なるため、ここから順番に説明します。
■ 3. 老齢年金の請求手続き(65歳時点の基本形)
最も一般的なのが、この老齢年金の請求です。
◆ 3-1. 手続き開始時期
手続きは 65歳の誕生日の前日以降 に可能です。
日本年金機構から「年金請求書」が届くのは通常、
✔ 65歳到達の約3ヶ月前
です。
◆ 3-2. 老齢年金の請求窓口
加入状況により窓口が異なります。
● 国民年金(自営業・専業主婦期間あり):市区町村役場
● 厚生年金加入者:年金事務所
● 両方加入していた人:年金事務所
経営者は 厚生年金加入と国民年金第1号の両方の期間があるケースが多い ため、
実質的には年金事務所での手続きとなります。
◆ 3-3. 老齢年金の請求に必要な書類
一般的な必要書類は以下:
-
年金請求書(届いた書類)
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年金手帳または基礎年金番号通知書
-
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
-
振込先金融機関の通帳またはキャッシュカード
-
印鑑(不要の場合もある)
海外勤務歴、旧姓期間、厚生年金基金加入などがある場合、
追加資料が必要になるケースもあります。
◆ 3-4. 老齢年金の受給開始時期(繰上げ・繰下げ)
老齢年金は、
-
60歳から繰上げ
-
65歳から標準
-
70歳まで繰下げ
が可能です。
繰下げは1ヶ月あたり0.7%増額(2025年時点)。
最大42%増。
手続きの際に「いつ受け取るか」の相談が可能です。
■ 4. 障害年金の請求手続き(最も複雑な手続き)
障害年金は、
老齢年金に比べると複雑で、
書類作成の負担が大きいことが特徴です。
◆ 4-1. 障害年金の手続きはどこで行う?
原則として、本人の住所地の 年金事務所 で行います。
必要に応じて、市区町村でも相談できますが、
提出は最終的に年金事務所です。
◆ 4-2. 障害年金請求の3つのポイント
(1)初診日がいつか
最も重要。
この日が基準になり、
-
国民年金か
-
厚生年金か
どちらの障害年金になるかが決まります。
(2)保険料納付要件を満たしているか
初診日の前日に「保険料納付要件」があるかを確認します。
(3)障害認定日の等級(1~3級)
障害年金の可否・金額を決める最重要要素。
◆ 4-3. 障害年金請求に必要な書類
障害年金は書類が多く、次のような構成です。
-
年金請求書
-
診断書(障害の種類に応じた書式)
-
病歴・就労状況等申立書
-
初診日の証明
-
加入記録の確認書類
-
本人確認書類
特に 初診日の証明 が取れず、
申請が遅れるケースが最も多い。
■ 5. 遺族年金の請求手続き(遺族基礎年金・遺族厚生年金)
家族が亡くなると支給される遺族年金は、
対象者によって手続きが異なります。
◆ 5-1. 遺族年金の請求窓口
老齢年金・障害年金と同じく、
年金事務所が中心となります。
対象者は以下:
-
妻(条件あり)
-
子ども
-
夫(妻が厚生年金加入者で亡くなった場合)
-
父母・祖父母(条件付き)
◆ 5-2. 遺族年金の種類(簡易整理)
| 種類 | 誰が対象? | 必要条件 |
|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 子のある配偶者・子 | 子が18歳年度末まで |
| 遺族厚生年金 | 主に妻(または夫) | 被保険者が厚生年金加入期間あり |
◆ 5-3. 遺族年金の必要書類
-
年金請求書
-
死亡診断書(原本)
-
戸籍謄本
-
住民票
-
本人確認書類
-
振込口座
家族の状況によって追加書類が必要になることがあります。
■ 6. 2025年時点の「オンライン申請」対応状況
老齢年金の一部はオンライン請求に対応しています。
マイナポータルからアクセスし、
-
本人確認
-
基礎年金番号の連携
-
必要情報の入力
が可能。
ただし、以下はまだオンライン非対応(2025年):
-
障害年金
-
遺族年金
今後、段階的にオンライン化が進む予定です。
■ 7. 年金請求で“最も多いミス”
年金請求に関する相談で、
特に多いミスをまとめておきます。
◆ ① 手続きが遅れる
年金は“請求”が必要なため、忘れると未支給になる。
◆ ② 加入記録の誤りに気づかない
ねんきん定期便・ねんきんネットで事前に要確認。
◆ ③ 初診日の証明が取れず障害年金が遅れる
障害年金請求で最も多い問題。
◆ ④ 遺族年金の要件を誤解している
子どもの年齢、妻の年齢などにより権利が変わる。
◆ ⑤ 年金事務所に予約せず長時間待つ
障害・遺族年金は必ず予約したほうがよい。
■ 8. 経営者だからこそ知るべき「年金請求の実務ポイント」
経営者の年金制度は複雑になりがちです。
以下の観点は必ず押さえてください。
◆ 経営者特有の注意点
✔ 法人成りの前後で加入記録が分かれている
→ 国民年金と厚生年金の履歴を統合して確認する必要あり。
✔ 役員報酬の変動で老齢厚生年金額が変わる
→ 特に50歳以降の報酬は将来の年金額に直接影響。
✔ 会社の休業・役員報酬ゼロ期間の扱い
→ 厚生年金の資格喪失に注意。
✔ 家族の第3号期間に誤りが多い
→ 妻の年金が減るケースがよくある。
✔ 海外移住・駐在の期間
→ 社会保障協定国との加入関係が複雑。
■ 9. まとめ:年金請求は“準備がすべて”
最後に要点をまとめます。
✔ 年金は請求しないと支給されない
✔ 老齢・障害・遺族で手続きが大きく異なる
✔ 必要書類と窓口を理解しておくことが重要
✔ 経営者は加入記録が複雑になるため特に注意
✔ ねんきんネット・定期便を活用すると手続きがスムーズ
年金請求は人生で数回しか行わないため、
事前に理解しておくことが最も重要です。
老後の資産形成や、
ご家族を守るためにも、
“正しいタイミングで正しい請求” を行うことが大切です。