【2025年最新版】経営者が必ず知っておくべき「年金請求の手続き」

更新日:

Contents

──老齢・障害・遺族年金の申請方法、必要書類、注意点まで完全ガイド

年金は 請求しなければ支給されない制度 です。
これは意外に理解されていません。

特に経営者は、

  • 会社設立前の加入記録

  • 法人成り後の厚生年金

  • 役員報酬の変動

  • 家族の第3号期間

  • 持病や事故による障害年金の可能性

  • 配偶者の遺族年金

など、人生設計に関わる要素が複雑になることが多いため、
「年金請求の手続き」を押さえておくことは極めて重要です。

本記事では、
老齢年金・障害年金・遺族年金の全体像を理解しながら、
2025年時点での最新情報に基づき“実務で使える形”で整理します。


■ 1. 年金は“請求しなければ支給されない”制度

まずもっとも重要なことは、


✔ 年金は自動で支給されない

✔ 自分で「請求手続き」をする必要がある


という点です。

特に、

  • 会社員 → 自営業になった人

  • 法人化して役員になった人

  • 専業主婦の第3号期間がある人

  • 海外勤務経験がある人

などは、加入記録が複数にまたがるため、
手続きが複雑になりやすい。


■ 2. 年金請求の種類(老齢・障害・遺族)

年金の請求手続きは、大きく3つの種類があります。


① 老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)

通常は 65歳になったとき に請求。


② 障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)

病気やケガで所定の障害認定日に要件を満たしたとき。


③ 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)

家族が亡くなったとき。


それぞれ手続きが異なるため、ここから順番に説明します。


■ 3. 老齢年金の請求手続き(65歳時点の基本形)

最も一般的なのが、この老齢年金の請求です。


◆ 3-1. 手続き開始時期

手続きは 65歳の誕生日の前日以降 に可能です。
日本年金機構から「年金請求書」が届くのは通常、


✔ 65歳到達の約3ヶ月前


です。


◆ 3-2. 老齢年金の請求窓口

加入状況により窓口が異なります。

● 国民年金(自営業・専業主婦期間あり):市区町村役場

● 厚生年金加入者:年金事務所

● 両方加入していた人:年金事務所

経営者は 厚生年金加入と国民年金第1号の両方の期間があるケースが多い ため、
実質的には年金事務所での手続きとなります。


◆ 3-3. 老齢年金の請求に必要な書類

一般的な必要書類は以下:

  • 年金請求書(届いた書類)

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)

  • 振込先金融機関の通帳またはキャッシュカード

  • 印鑑(不要の場合もある)

海外勤務歴、旧姓期間、厚生年金基金加入などがある場合、
追加資料が必要になるケースもあります。


◆ 3-4. 老齢年金の受給開始時期(繰上げ・繰下げ)

老齢年金は、

  • 60歳から繰上げ

  • 65歳から標準

  • 70歳まで繰下げ

が可能です。

繰下げは1ヶ月あたり0.7%増額(2025年時点)。
最大42%増。

手続きの際に「いつ受け取るか」の相談が可能です。


■ 4. 障害年金の請求手続き(最も複雑な手続き)

障害年金は、
老齢年金に比べると複雑で、
書類作成の負担が大きいことが特徴です。


◆ 4-1. 障害年金の手続きはどこで行う?

原則として、本人の住所地の 年金事務所 で行います。

必要に応じて、市区町村でも相談できますが、
提出は最終的に年金事務所です。


◆ 4-2. 障害年金請求の3つのポイント

(1)初診日がいつか

最も重要。
この日が基準になり、

  • 国民年金か

  • 厚生年金か

どちらの障害年金になるかが決まります。


(2)保険料納付要件を満たしているか

初診日の前日に「保険料納付要件」があるかを確認します。


(3)障害認定日の等級(1~3級)

障害年金の可否・金額を決める最重要要素。


◆ 4-3. 障害年金請求に必要な書類

障害年金は書類が多く、次のような構成です。

  • 年金請求書

  • 診断書(障害の種類に応じた書式)

  • 病歴・就労状況等申立書

  • 初診日の証明

  • 加入記録の確認書類

  • 本人確認書類

特に 初診日の証明 が取れず、
申請が遅れるケースが最も多い。


■ 5. 遺族年金の請求手続き(遺族基礎年金・遺族厚生年金)

家族が亡くなると支給される遺族年金は、
対象者によって手続きが異なります。


◆ 5-1. 遺族年金の請求窓口

老齢年金・障害年金と同じく、
年金事務所が中心となります。

対象者は以下:

  • 妻(条件あり)

  • 子ども

  • 夫(妻が厚生年金加入者で亡くなった場合)

  • 父母・祖父母(条件付き)


◆ 5-2. 遺族年金の種類(簡易整理)

種類 誰が対象? 必要条件
遺族基礎年金 子のある配偶者・子 子が18歳年度末まで
遺族厚生年金 主に妻(または夫) 被保険者が厚生年金加入期間あり

◆ 5-3. 遺族年金の必要書類

  • 年金請求書

  • 死亡診断書(原本)

  • 戸籍謄本

  • 住民票

  • 本人確認書類

  • 振込口座

家族の状況によって追加書類が必要になることがあります。


■ 6. 2025年時点の「オンライン申請」対応状況

老齢年金の一部はオンライン請求に対応しています。
マイナポータルからアクセスし、

  • 本人確認

  • 基礎年金番号の連携

  • 必要情報の入力

が可能。

ただし、以下はまだオンライン非対応(2025年):

  • 障害年金

  • 遺族年金

今後、段階的にオンライン化が進む予定です。


■ 7. 年金請求で“最も多いミス”

年金請求に関する相談で、
特に多いミスをまとめておきます。


◆ ① 手続きが遅れる

年金は“請求”が必要なため、忘れると未支給になる。


◆ ② 加入記録の誤りに気づかない

ねんきん定期便・ねんきんネットで事前に要確認。


◆ ③ 初診日の証明が取れず障害年金が遅れる

障害年金請求で最も多い問題。


◆ ④ 遺族年金の要件を誤解している

子どもの年齢、妻の年齢などにより権利が変わる。


◆ ⑤ 年金事務所に予約せず長時間待つ

障害・遺族年金は必ず予約したほうがよい。


■ 8. 経営者だからこそ知るべき「年金請求の実務ポイント」

経営者の年金制度は複雑になりがちです。
以下の観点は必ず押さえてください。


◆ 経営者特有の注意点

✔ 法人成りの前後で加入記録が分かれている

→ 国民年金と厚生年金の履歴を統合して確認する必要あり。


✔ 役員報酬の変動で老齢厚生年金額が変わる

→ 特に50歳以降の報酬は将来の年金額に直接影響。


✔ 会社の休業・役員報酬ゼロ期間の扱い

→ 厚生年金の資格喪失に注意。


✔ 家族の第3号期間に誤りが多い

→ 妻の年金が減るケースがよくある。


✔ 海外移住・駐在の期間

→ 社会保障協定国との加入関係が複雑。


■ 9. まとめ:年金請求は“準備がすべて”

最後に要点をまとめます。


✔ 年金は請求しないと支給されない

✔ 老齢・障害・遺族で手続きが大きく異なる

✔ 必要書類と窓口を理解しておくことが重要

✔ 経営者は加入記録が複雑になるため特に注意

✔ ねんきんネット・定期便を活用すると手続きがスムーズ


年金請求は人生で数回しか行わないため、
事前に理解しておくことが最も重要です。

老後の資産形成や、
ご家族を守るためにも、
“正しいタイミングで正しい請求” を行うことが大切です。

Copyright© 株式会社RAD , 2025 All Rights Reserved.