Contents
- 1 ■ 1. ねんきん定期便とは?(まずはシンプルに理解)
- 2 ✔(1)加入記録に漏れがないか確認してもらうため
- 3 ✔(2)将来受け取る年金額の見込みを知らせるため
- 4 ✔(3)年金制度を理解し、自身の老後を考えるきっかけを作るため
- 5 ■ 2. ねんきん定期便は3つのパターンがある(年齢によって違う)
- 6 ✔ 現在の働き方(給与水準)が60歳まで続く前提
- 7 ✔ 60歳以降は加入しない前提
- 8 ■ 3. ねんきん定期便の読み方(重要3ポイント)
- 9 ■ 4. 経営者が特に知るべき「ねんきん定期便の活用法」
- 10 ■ 5. マイナポータル「ねんきんネット」で見られる項目(最新版)
- 11 ■ 6. よくある誤解と注意点
- 12 ■ 7. 経営者が“必ず”やるべきチェックリスト
- 13 ■ 8. まとめ:ねんきん定期便は「老後資産づくりの基礎資料」
- 14 ✔ 年金受給額の唯一の公式試算
- 15 ✔ 加入記録の漏れを発見できる
- 16 ✔ 老後の必要額を把握できる
- 17 ✔ 経営者の資産戦略(退職金・DC・iDeCo)に必須
- 18 ✔ 従業員教育にも使える
──老後資産の見える化・働き方の設計・従業員教育まで活かせる重要ツール
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」。
しかし実際には、
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開封すらしていない
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見方がよく分からない
-
金額が何を意味するのか理解できていない
-
老後の準備にどう役立つか分からない
という方が非常に多いのが実情です。
これは経営者も例外ではありません。
しかし「ねんきん定期便」は、
将来受け取る年金の“公式な見込み額”を確認できる唯一の公的資料 であり、
老後資産を適切に設計するために欠かせないツールです。
本記事では、2025年最新制度に基づき、
「ねんきん定期便の読み方・注意点・経営者としての活用法」を
わかりやすくまとめます。
■ 1. ねんきん定期便とは?(まずはシンプルに理解)
「ねんきん定期便」は、
日本年金機構が毎年、加入者全員に送る通知書のことです。
目的は3つ。
✔(1)加入記録に漏れがないか確認してもらうため
✔(2)将来受け取る年金額の見込みを知らせるため
✔(3)年金制度を理解し、自身の老後を考えるきっかけを作るため
年に一度の通知ですが、内容は非常に重要です。
■ 2. ねんきん定期便は3つのパターンがある(年齢によって違う)
ねんきん定期便は、
どの年齢で受け取るかによって内容が異なります。
◆ パターン①:毎年送られる標準版(35歳・45歳以外の年齢)
主な記載内容は以下:
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これまでの加入期間
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これまでの保険料納付額
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年金加入履歴
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老齢年金の簡易試算額(50歳未満は一部記載なし)
50歳未満の場合、
将来の年金額は「これまでの加入実績」に基づく試算のみです。
◆ パターン②:35歳・45歳の節目年の特別版
35歳・45歳は「節目」のため、
特に重要な情報が記載されます。
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詳細な加入記録
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厚生年金の標準報酬の推移
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納付実績の累計
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保険料未納・保険料免除の期間
加入記録の漏れを見つけるチャンスです。
◆ パターン③:50歳のねんきん定期便(最重要)
50歳の定期便には、
将来受け取る年金の 見込み額(65歳時点)が具体的に表示 されます。
これが最も実務価値が高い。
✔ 現在の働き方(給与水準)が60歳まで続く前提
✔ 60歳以降は加入しない前提
で試算されるため、
老後のキャッシュフローを作る上で欠かせない資料です。
経営者は役員報酬の変更があるため、
試算額が大きく変動する点に注意が必要です。
■ 3. ねんきん定期便の読み方(重要3ポイント)
ねんきん定期便を見るときは、
次の3つを必ず確認してください。
◆ ① 加入記録に漏れがないか
特に注意すべきは次の期間:
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20歳〜学生の時期(国民年金未納が多い)
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転職した年(厚生年金の記録漏れ)
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独立直後の期間
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パート勤務で要件不足時期
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配偶者の第3号の誤登録
一度未納になると、後から追納できない期間があります。
◆ ② 保険料の未納・免除期間がないか
未納期間があると、
老齢基礎年金の金額が減ります。
年金は
満額=40年間(480ヶ月)納付
で計算されるため、未納は老後に大きな差を生みます。
経営者の場合、会社設立当初の収入が不安定で
年金免除を受けていた期間が残るケースも多い。
◆ ③ 将来受け取る年金額の見込み(特に50歳)
50歳の定期便は最重要。
老齢基礎年金 + 老齢厚生年金の見込みが明記されるため、
老後の資金計画を立てるための基礎数値になります。
◎ 経営者は役員報酬の影響が大きい
役員報酬を上げた期間が短いと厚生年金は増えないため、
数字を見る際には「標準報酬月額の推移」を理解しておく必要があります。
■ 4. 経営者が特に知るべき「ねんきん定期便の活用法」
経営者・個人事業主・フリーランスは、
サラリーマンのように厚生年金が強くないため、
ねんきん定期便は老後計画の生命線とも言えます。
◆ 活用法①:老後の資金不足を早期に把握する
定期便を確認するだけで、
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老齢基礎年金(満額約78万円)
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老齢厚生年金の見込み
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合計の年間受給額
がわかります。
日本人の多くは「思ったより少ない」という現実に驚きます。
不足額を早く知ることで、
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iDeCo
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企業型DC
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NISA
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保険
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貯蓄
などの対策が早期に取れます。
◆ 活用法②:役員退職金・企業型DCの受取タイミングを調整
経営者の多くが活用する
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役員退職金
-
iDeCo
-
企業型DC
-
小規模企業共済
は、受取時期を誤ると税負担が数百万円変わる ため
老齢年金の受給額と組み合わせて最適化する必要があります。
ねんきん定期便は、その前提データとなります。
◆ 活用法③:従業員教育・福利厚生にも使える
中小企業では、従業員の金融知識不足により
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将来不安
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転職流動化
-
働き方の不一致
が起きやすい。
ねんきん定期便を使ったライフプラン研修は、
従業員満足度(ES)を大きく向上させます。
■ 5. マイナポータル「ねんきんネット」で見られる項目(最新版)
2025年現在、
紙の定期便よりも圧倒的に情報が多く見られるのが ねんきんネット。
以下が確認できます:
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加入記録の全期間
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年金見込み額(60歳・65歳など)
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老齢年金の将来試算
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障害年金・遺族年金の受給可能性
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保険料納付記録の詳しい履歴
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第3号被保険者期間の確認
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未納・免除期間の確認
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保険料追納のシミュレーション
スマホからでも簡単に確認でき、
経営者は絶対に活用すべきサービスです。
■ 6. よくある誤解と注意点
ねんきん定期便では、以下の誤解が多発します。
◆ 誤解①:ねんきん定期便に書かれた金額が確定だと思っている
→ 実際には「現在の働き方が続いた場合」の試算です。
役員報酬を変更すれば変わる。
◆ 誤解②:未納期間があることに気づいていない
→ ねんきん定期便を放置している人の80%がこれ。
◆ 誤解③:第3号期間が誤って登録されている
→ 配偶者の勤務形態の変化でズレやすい。
◆ 誤解④:離婚や死亡で第3号資格が消滅したのに放置
→ 年金額が減る典型例。
◆ 誤解⑤:定期便の数字だけで老後資金を判断してしまう
→ 退職金やiDeCoなど、総合的に判断する必要がある。
■ 7. 経営者が“必ず”やるべきチェックリスト
✔ 加入記録に漏れがないか
✔ 未納・免除期間はないか
✔ 厚生年金の標準報酬月額は正しいか
✔ 役員報酬変更後の影響を理解しているか
✔ 老齢年金の見込み額を老後資金計画に反映しているか
✔ iDeCo・企業型DC・退職金と合わせて出口戦略を考えているか
✔ 配偶者の第3号資格が適切に登録されているか
経営者は、自分と配偶者の年金制度が
会社員より複雑になるため、特に注意が必要です。
■ 8. まとめ:ねんきん定期便は「老後資産づくりの基礎資料」
✔ 年金受給額の唯一の公式試算
✔ 加入記録の漏れを発見できる
✔ 老後の必要額を把握できる
✔ 経営者の資産戦略(退職金・DC・iDeCo)に必須
✔ 従業員教育にも使える
ねんきん定期便は、
“老後資産の健康診断書” といえるほど重要です。
毎年の誕生月に必ずチェックし、
ねんきんネットと併用することで、
自分と家族、そして従業員のライフプランに大きく役立ちます。