中小企業が知っておきたい「株主権」とは? その概要とポイントを解説

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株主権とは?

株主権とは、企業の株式を保有する株主が持つ一連の権利を指します。中小企業においても、株主はその持株数に応じて会社に対してさまざまな権利を有します。株主権は、主に「共益権」と「自益権」の2つに分けられます。

  1. 共益権
     株主が企業経営に関与できる権利で、主に以下のような権利が含まれます:

    • 議決権:株主総会において、議案に対する賛否を表明できる権利。議案の種類によって決議の要件が異なるため、重要な意思決定の場となります。
    • 株主提案権:株主総会で自ら議案を提出することができる権利。
    • 取締役や監査役の選任・解任権:株主総会で、取締役や監査役の選任・解任に関する議案に対して賛否を表明する権利。
  2. 自益権
     株主が利益を享受するための権利です。以下のような権利が含まれます:

    • 配当請求権:企業が利益を上げた際、株主はその利益の一部を配当として受け取る権利があります。配当の額は株主総会で決定されます。
    • 残余財産分配請求権:会社が解散した際に、残った資産を株主に分配する権利です。
    • 新株引受権:新株が発行される際に、既存の株主が優先的に新株を購入できる権利です。

株主総会における権利

株主は、株主総会を通じて企業に対して大きな影響力を行使することができます。株主総会には、通常以下の3種類の決議方法があります。

  1. 普通決議
     通常の議案を決議する際に用いられる最も一般的な決議方法です。議決権を持つ株主の過半数が出席し、その出席した株主の議決権の過半数が賛成することで可決されます。これにより、配当金の決定や取締役の選任などが行われます。

  2. 特別決議
     より重要な議案に対して用いられる決議方法です。例えば、定款変更や事業譲渡、資本金の減少などが該当します。特別決議は、議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

  3. 特殊決議
     企業の運営において特に重要な事項に対して行われる決議で、より高いハードルを設定しています。例えば、株主全員に対して不利益を与えるような行為(全株式譲渡の承認など)が該当します。特殊決議では、通常、議決権の75%以上の賛成が求められます。

株主の義務と責任

株主は、利益を享受するだけではなく、一定の責任も負うことがあります。中小企業の株主であれば、以下の点に注意する必要があります。

  • 出資額の責任
     株主は、会社が債務超過に陥ったとしても、自身の出資額を超えて責任を負うことはありません。これを「有限責任」と呼び、株主のリスクは出資額に限定されます。

  • 取締役会での責任追及
     取締役が企業に損害を与えた場合、株主は取締役の責任を追及することができます。これにより、経営の健全性を確保し、株主利益を保護する役割を果たします。

まとめ

株主権は、企業の経営に対する影響力を行使できる強力なツールであり、中小企業においても重要な要素です。共益権によって経営に関与し、自益権によって利益を享受することで、株主は企業の成長に貢献しながら自らの利益も確保できます。株主としての権利や責任を理解することは、将来的な事業承継やM&Aにおいても重要な意味を持つため、早期からの知識の習得が求められます。

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