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はじめに|「人が足りない」企業ほど検討すべき補助金
人手不足が慢性化する中小企業にとって、
- 採用ができない
- 教育が追いつかない
- 現場が回らない
という悩みは、もはや一時的な問題ではありません。
こうした背景の中でスタートしたのが
**省力化投資補助金(一般型)**です。
そして今回、第15回公募が開始されました。
本記事では、
- 制度の概要
- 対象となる投資内容
- 申請時・採択後の注意点
- 「落ちやすい事業計画」の特徴
を、公募要領・事業計画書作成ガイドをもとに、実務目線で解説します。
省力化投資補助金(一般型)とは?
制度の目的
省力化投資補助金(一般型)は、
人手不足に悩む中小企業が
IoT・ロボット・専用設備などを導入し
省力化 → 生産性向上 → 付加価値向上 → 賃上げ
につなげること
を目的とした補助金です 中小企業省力化投資補助事業(一般型) 公募要領 (第5回公募) 。
単なる「設備補助」ではなく、
**経営改善と賃上げまで含めた“経営型補助金”**である点が最大の特徴です。
一般型とカタログ注文型の違い
省力化投資補助金には大きく分けて2種類あります。
| 区分 | 一般型 | カタログ注文型 |
|---|---|---|
| 設備内容 | 自社専用・カスタマイズ設備 | 国が認めた標準設備 |
| 事業計画 | 詳細な計画が必要 | 比較的簡易 |
| 審査 | 厳格(革新性・独自性重視) | 簡易 |
| 向いている企業 | 業務が複雑・独自工程あり | 定型業務が中心 |
**第15回公募は「一般型」**です。
つまり、
- 「うちの業務は特殊だから既製品では合わない」
- 「複数設備を組み合わせて省力化したい」
といった企業向けの制度です 中小企業省力化投資補助事業(一般型) 公募要領 (第5回公募) 。
補助対象となる事業・設備の考え方
補助対象の基本
対象となるのは、
- 人手不足解消に直結する
- 自社業務に合わせた
- 専用性・独自性のある設備投資
です。
たとえば、
- 業務フローに合わせて設計された自動化装置
- 複数の汎用設備を組み合わせた省力化ライン
- IoT・システム連携による業務削減
などが想定されます。
「市販品をそのまま買うだけ」では
一般型では評価されにくい点に注意が必要です。
事業計画書で必ず問われる5つの視点
事業計画書作成ガイドでは、審査の視点が明確に示されています 事業計画書作成の参考ガイド_中小企業省力化投資補助事業(一…。
① 現状の業務とボトルネック
- どこに人手が取られているのか
- なぜそこが問題なのか
が具体的に説明できているか。
② 省力化投資の内容
- なぜその設備が必要なのか
- なぜ自社専用なのか
が論理的につながっているか。
③ 省力化効果(定量)
- 作業時間〇%削減
- 人員〇人分の余力創出
など、数字で説明できているか。
④ 創出された余力の使い道
ここが非常に重要です。
省力化で空いた人材・時間を
何に再配分し、どう付加価値を生むのか
まで説明できない計画は、評価が下がります。
⑤ 賃上げ・生産性向上への道筋
- 付加価値額の増加
- 労働生産性年平均4%以上
といった数値要件を満たす根拠が示されているかが問われます 事業計画書作成の参考ガイド_中小企業省力化投資補助事業(一…。
第15回公募で特に注意すべきポイント
① 「採択=満額交付」ではない
採択後に行う交付申請・審査で、
- 補助対象外経費の除外
- 金額減額
が起こるケースは珍しくありません 中小企業省力化投資補助事業(一般型) 公募要領 (第5回公募) 。
② 実績報告・現地調査がある
- 導入設備
- 証憑書類
が確認できない場合、その分は補助対象外になります。
③ 事業計画は「自社作成」が原則
- 丸投げ
- 不透明な成功報酬
は明確にNGとされています。
支援を受ける場合も、
支援者名・報酬額の記載は必須です 中小企業省力化投資補助事業(一般型) 公募要領 (第5回公募) 。
「通りやすい計画」と「落ちやすい計画」の違い
落ちやすい計画の特徴
- 設備の説明が中心
- 省力化後の活用が曖昧
- 数字の根拠が弱い
評価されやすい計画の特徴
- 業務フロー全体を俯瞰している
- 省力化 → 再配置 → 付加価値創出が一貫
- 経営戦略として筋が通っている
**「補助金をもらうための計画」ではなく
「補助金を使った経営改善計画」**になっているかが分かれ目になります。
まとめ|第15回公募は「経営力」が問われる
省力化投資補助金(一般型)第15回公募は、
- 人手不足に悩む企業
- 業務改革を本気で進めたい企業
にとって非常に有効な制度です。
一方で、
- 設備ありき
- 省力化だけで終わる
計画では、採択は難しくなっています。
経営課題 → 省力化 → 付加価値 → 賃上げ
この一本のストーリーを描けるかどうか。
それが、第15回公募の最大のポイントです。
次のアクションとしておすすめ
- 自社の業務棚卸し
- ボトルネック整理
- 「省力化後、何に人を使うのか」の言語化
を、早めに進めておくことを強くおすすめします。