Contents
- 1 ✔ 健康保険で被扶養者になるための具体的条件
- 2 ✔ 「130万円の壁」「106万円の壁」の正しい理解
- 3 ✔ 経営者の配偶者の場合はどうなる?
- 4 ✔ 学生・パート・同居親などケース別の要件
- 5 ✔ 実務で扶養から外れる典型ケース
- 6 ✔ 扶養に入れない“落とし穴”
- 7 ✔ 扶養申請の手続き・注意点
- 8 ■ 1. 健康保険の被扶養者とは?
- 9 ■ 2. 健康保険の被扶養者になるための要件(2025年)
- 10 ◆【要件1】収入要件(年間収入130万円未満が原則)
- 11 ◆【要件2】生計維持要件(被保険者が主に生活費を負担)
- 12 ■ 3. 130万円の壁・106万円の壁の違い(超重要)
- 13 ◆ 130万円の壁(健康保険の扶養)
- 14 ◆ 106万円の壁(社会保険の加入義務)
- 15 【結論】
- 16 ■ 4. 経営者の配偶者は被扶養者になれるのか?
- 17 ■ 5. ケース別:扶養に入れるかどうか
- 18 ■ 6. 実務でよくある「扶養から外れる」典型ケース
- 19 ■ 7. 健康保険の扶養手続き(提出書類)
- 20 ■ 8. まとめ:扶養制度の理解は“家計”と“会社の制度設計”に直結する
- 21 ✔ 130万円の壁は「見込み収入」で判断
- 22 ✔ 106万円の壁は“社会保険強制加入”の基準
- 23 ✔ 経営者の配偶者でも扶養に入れるケースはある
- 24 ✔ 親や子どもを扶養に入れるには「生活実態」が重要
- 25 ✔ 収入が増えると扶養から外れる可能性が高い
- 26 ✔ 扶養手続きを怠ると会社も従業員も損をする
──経営者・役員が必ず押さえておくべき“年間収入130万円の壁”と実務ポイント
健康保険における「被扶養者制度」は、
会社経営者・役員・従業員の家族にとって、
家計に大きな影響を与える重要な仕組みです。
被扶養者に認定されれば──
- 保険料の負担なしで保険証を持てる
- 医療費の自己負担が 3 割 → 1~2 割に軽減(年齢に応じて)
- 出産育児一時金、埋葬料などの給付が受けられる
という大きなメリットがあります。
一方で、近年はパートで働く配偶者が増え、
“130万円の壁” “106万円の壁” などの話題が多く、
制度の誤解やトラブルが増えています。
そこで本記事では、2025年の最新ルールをふまえながら、
✔ 健康保険で被扶養者になるための具体的条件
✔ 「130万円の壁」「106万円の壁」の正しい理解
✔ 経営者の配偶者の場合はどうなる?
✔ 学生・パート・同居親などケース別の要件
✔ 実務で扶養から外れる典型ケース
✔ 扶養に入れない“落とし穴”
✔ 扶養申請の手続き・注意点
を経営者目線で整理します。
■ 1. 健康保険の被扶養者とは?
──「保険料を払わずに加入できる家族」のこと
健康保険では、加入者(被保険者)の収入で生活している家族について、
保険料負担なしで加入できる仕組みを設けています。
これが「被扶養者(家族)」です。
被扶養者に認定されると、
保険証が発行され、医療費の自己負担が軽減されるなど多くのメリットがあります。
健康保険の扶養と、税金の扶養は別物
税法上の扶養の基準(年収103万円など)とは異なり、
健康保険の被扶養者は 独自のルール で判断されます。
よくある誤解:
「年収103万円以内なら健康保険の扶養に入れる」
これは 誤り です。
健康保険は 130万円(または106万円)基準 が適用されます。
■ 2. 健康保険の被扶養者になるための要件(2025年)
被扶養者には 収入基準 と 生活実態基準 の2つがあります。
◆【要件1】収入要件(年間収入130万円未満が原則)
原則として、次の条件を満たす必要があります。
◎ 年間収入が 130万円未満(※月額108,333円)
かつ
◎ 被保険者の収入の半分未満(生計維持されている)
【重要】130万円の基準は「今後の見込み収入」で判断
直近の収入額ではなく、
今後1年間の収入見込みで判断される という点が重要です。
パートで時給が上がった場合など、
“月収 11 万円を超えた時点で扶養から外れる可能性が出る”
ことを意味します。
【例外】60歳以上・障害者の場合
→ 年収180万円未満が基準(150万円 → 月額15万円)
◆【要件2】生計維持要件(被保険者が主に生活費を負担)
被扶養者は、生活費を主に被保険者に依存している必要があります。
◎ 配偶者
同居していなくても可。
◎ 子ども・両親
同居が要件(別居でも仕送り実績があれば認められることもある)
仕送り額の目安
被扶養者の生活費をまかなえる程度の仕送りが必要。
【経営者向けポイント】
「仕送りはしているが極端に少ない」場合は
扶養認定されないケースもあります。
■ 3. 130万円の壁・106万円の壁の違い(超重要)
◆ 130万円の壁(健康保険の扶養)
年間収入130万円以上になると 扶養に入れない。
→ 保険料が自己負担に。
→ パート主婦に最も影響する基準。
◆ 106万円の壁(社会保険の加入義務)
次の条件をすべて満たせば、
年収106万円以上で本人が社会保険に加入義務が発生。
- 従業員101人以上の会社(2024年→51人以上、今後5人以上へ拡大予定)
- 週20時間以上勤務
- 月額8.8万円以上の給与(年収106万円相当)
- 学生でない
つまり、
【結論】
✔ 年収106万円以上 → 社会保険の強制加入(被扶養者になれない)
✔ 年収106万円未満でも → 年収130万円以上の見込みなら扶養NG
両者は似ているようで まったく別の基準 なので注意が必要です。
■ 4. 経営者の配偶者は被扶養者になれるのか?
経営者の場合、
- 会社に「従業員として」勤務している
- 給与をもらっている
という場合は、
配偶者が扶養に入れないケースが出てきます。
◆ ケース1:配偶者が役員
→ 被扶養者になれる
(収入要件を満たし、役員報酬が低額であれば可)
◆ ケース2:配偶者が従業員として給与を受けている
→ 年収130万円未満であれば扶養可能
◆ ケース3:配偶者が社会保険の加入要件(106万円の壁)に該当
→ 扶養には入れず、自身が社会保険加入となる
【経営者がよくやってしまう誤り】
「配偶者の給与を増やしたが、扶養には入れたまま」
これは 完全にアウト です。
給与額を増やすと扶養から外れる可能性が極めて高くなるため、
配偶者の給与設計は慎重に行う必要があります。
■ 5. ケース別:扶養に入れるかどうか
以下、よくあるケースを整理します。
◆ パートで月10万円 → 扶養OK
(年間120万円 → 130万円未満)
◆ パートで月12万円 → 扶養NG
(年間144万円 → 130万円以上)
◆ 学生 → 原則として扶養OK
収入要件を満たしていればOK。
◆ 親を扶養に入れたい → 同居が基本
別居でも仕送りや生活費負担の証明が必要。
◆ 海外留学中の子 → 扶養OK
生活費を仕送りしている場合。
◆ 同居していない妻 → 扶養OK
夫の収入で生活していれば問題なし。
■ 6. 実務でよくある「扶養から外れる」典型ケース
以下は現場で極めて多い事例です。
① パートの「シフト増加」で年収見込みが130万円超
→ 月収が11万円を越えると危険ゾーン。
② ボーナスが増えて基準超え
→ 臨時収入も見込みに含まれる。
③ 副業収入が増加
→ メルカリ・フリマ収入は除外だが、事業性があれば収入扱いに。
④ 会社が社会保険適用拡大に該当
→ 106万円の壁で強制加入へ。
⑤ 扶養のまま働いていたのに会社が放置
→ 後から保険料をまとめて請求される最悪パターン。
■ 7. 健康保険の扶養手続き(提出書類)
手続きでは以下の提出が必要です。
- 被扶養者届
- 続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
- 収入証明(給与明細、源泉徴収票)
- 仕送り証明(通帳コピーなど)
審査は厳格化しており、
扶養認定まで数週間かかるケースもあります。
■ 8. まとめ:扶養制度の理解は“家計”と“会社の制度設計”に直結する
2025年以降、健康保険制度はさらに精緻化し、
適用拡大が進む流れにあります。
経営者にとって重要なポイントは次の通り。
✔ 130万円の壁は「見込み収入」で判断
✔ 106万円の壁は“社会保険強制加入”の基準
✔ 経営者の配偶者でも扶養に入れるケースはある
✔ 親や子どもを扶養に入れるには「生活実態」が重要
✔ 収入が増えると扶養から外れる可能性が高い
✔ 扶養手続きを怠ると会社も従業員も損をする
扶養制度は、
家計の負担だけでなく、
会社の社会保険コスト・賃金設計・人事制度にも直結するテーマ です。
経営層としては、
単なる「保険制度の理解」に留まらず、
会社全体の人件費最適化にも関係する知識として
正しく理解しておく必要があります。