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──経営者が「相続・事業承継」で使うべきか、慎重に判断すべきか
少子高齢化が進む中、
経営者や資産家の間で再び注目されている制度が
✔ 普通養子縁組
です。
普通養子縁組は、
- 家族関係の形成
- 相続人の確保
- 事業承継の選択肢
として活用される一方、
使い方を誤ると、相続トラブル・税務否認・親族間紛争につながる
非常にデリケートな制度でもあります。
この記事では、
2026年時点の最新法制・実務運用を前提に、
- 普通養子縁組の仕組み
- 特別養子縁組との違い
- 相続・税務への影響
- 経営者が検討すべきケース/避けるべきケース
を、経営者目線でわかりやすく解説します。
■ 1. 普通養子縁組とは?
普通養子縁組とは、
血縁関係がない者(またはあっても)を、法律上の親子関係にする制度です。
民法に基づく制度で、
日本では最も一般的な養子縁組の形態です。
【普通養子縁組の基本構造】
- 養親:縁組をする側(親)
- 養子:縁組される側(子)
👉 縁組成立後、
**養子は養親の「実子と同じ身分」**を取得します。
■ 2. 特別養子縁組との違い(必須整理)
経営者が混同しやすいため、最初に明確にしておきます。
| 項目 | 普通養子縁組 | 特別養子縁組 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 家族形成・相続 | 子の福祉 |
| 実親との関係 | 継続 | 終了 |
| 相続権 | 実親・養親の両方 | 養親のみ |
| 年齢制限 | 原則なし | 原則15歳未満 |
| 手続き | 市区町村届出 | 家庭裁判所 |
| 経営者向き | ⭕ | ❌ |
👉 **相続・事業承継で使われるのは「普通養子縁組」**です。
■ 3. 普通養子縁組が成立すると何が変わるのか?
✔ 法律上の親子関係が発生
✔ 戸籍に記載される
✔ 扶養義務が相互に発生
✔ 相続権が発生(実子と同等)
特に重要なのは、
✔ 養子は「法定相続人」になる
という点です。
■ 4. 普通養子縁組と相続の関係(経営者必須知識)
● 相続順位
普通養子縁組をすると、
- 実子
- 養子
は すべて第1順位の相続人 になります。
● 法定相続分
養子は、
✔ 実子と「完全に同じ割合」で相続する
という扱いになります。
● 実親の相続権も残る(重要)
普通養子の最大の特徴は、
✔ 実親の相続権が消えない
点です。
つまり、
- 養親の相続人
- 実親の相続人
両方になる可能性があります。
■ 5. 相続税対策としての普通養子縁組
経営者が普通養子縁組を検討する最大の理由はここです。
【相続税の基礎控除】
✔ 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人が増えると、
- 基礎控除が増える
- 税率区分が下がる
などの効果があります。
【養子の数の制限(重要)】
相続税計算上、
法定相続人としてカウントできる養子の数には制限があります。
| 状況 | カウント可能な養子数 |
|---|---|
| 実子がいる | 1人まで |
| 実子がいない | 2人まで |
👉 これを超える養子は、
相続税計算上はカウントされません。
■ 6. 経営者が普通養子縁組を使う典型パターン
✔ ケース①:後継者がいない
- 甥・姪
- 長年の右腕
を養子にして事業承継。
✔ ケース②:相続人が配偶者だけ
→ 養子を迎え、相続人を増やす。
✔ ケース③:相続税の基礎控除を増やしたい
→ 節税目的(ただし注意点あり)。
✔ ケース④:内縁関係の子を法的に保護
→ 相続権を確保。
■ 7. 税務署が否認するケース(最重要)
普通養子縁組は、
節税目的が露骨すぎると否認されるリスクがあります。
❌ 否認されやすい例
- 相続直前の養子縁組
- 高齢者が、相続税対策だけの目的で縁組
- 実態のない親子関係
- 養子がほぼ同時に複数人
👉 この場合、
✔ 相続税計算上、養子を「相続人と認めない」
という判断がされる可能性があります。
■ 8. 普通養子縁組の注意点(経営者向け)
⚠ 注意点①:一度すると原則解消できない
→ 離縁は可能だが、全員の合意が必要。
⚠ 注意点②:親族トラブルの火種になりやすい
→ 実子との対立。
⚠ 注意点③:扶養義務・介護義務が発生
→ 将来の責任関係を考慮すべき。
⚠ 注意点④:遺留分問題
→ 実子の遺留分侵害に注意。
⚠ 注意点⑤:事業承継税制との整合性
→ 株式承継と必ずセットで設計。
■ 9. 普通養子縁組をする前のチェックリスト
経営者は、縁組前に必ず以下を確認してください。
- □ 本当に後継者として適任か
- □ 実子・配偶者の理解は得られているか
- □ 相続税だけでなく遺留分対策は十分か
- □ 相続直前になっていないか
- □ 事業承継計画と矛盾しないか
- □ 税理士・弁護士と事前検討したか
■ 10. まとめ|普通養子縁組は「相続の切り札」だが万能ではない
最後に要点を整理します。
✔ 普通養子縁組は実子と同等の相続権を持つ
✔ 実親・養親の両方の相続人になり得る
✔ 相続税の基礎控除を増やせる
✔ 養子の数には相続税上の制限あり
✔ 節税目的が強すぎると否認リスク
✔ 親族・事業承継トラブルに要注意
普通養子縁組は、
✔ 家族
✔ 相続
✔ 税務
✔ 事業承継
すべてに影響する 強力だが危険性も高い制度 です。
経営者が使う場合は、
「節税」ではなく「承継設計」として
必ず専門家と一体で進めることが不可欠です。