Contents
- 1 ■ 1. 後期高齢者医療制度とは?
- 2 ■ 2. 医療費の自己負担割合(1割・2割・3割)
- 3 ■ 3. 後期高齢者医療制度の保険料(2026年最新版)
- 4 保険料 = 均等割額 +(所得 − 基礎控除)× 所得割率
- 5 ■ 4. 高額療養費制度(後期高齢者)はさらに優遇される
- 6 ■ 5. 65~74歳(前期高齢者)から「75歳への切替」で起きる変化
- 7 ■ 6. 同居家族の保険料負担に影響する
- 8 ■ 7. 経営者が特に注意すべきポイント
- 9 ■ 8. 介護保険との関係(重要)
- 10 ■ 9. まとめ:後期高齢者医療制度は“老後資金戦略の中心”となる制度
- 11 ✔ 75歳になると全員が加入
- 12 ✔ 負担割合は1〜3割で所得に応じて変動
- 13 ✔ 保険料は「均等割+所得割」で決定
- 14 ✔ 健康保険組合の付加給付は使えなくなる
- 15 ✔ 高額療養費の限度額はむしろ低くなり安心
- 16 ✔ 役員報酬の多寡で負担が増減
- 17 ✔ 世帯分離で負担区分が変わるケースがある
──75歳を超えたら健康保険はどうなる?医療費負担を最小化するための“経営者が知るべき基礎知識”
人生100年時代、
75歳以降の医療費は高額化しやすく、
家計だけでなく企業経営にも間接的に影響する重要テーマです。
従業員・家族・経営者自身がいつか必ず対象となる
「後期高齢者医療制度」 は、
75歳以上のすべての人が加入する医療保険制度です。
しかし実際には──
-
「75歳になると健康保険(協会けんぽ)はどうなる?」
-
「自己負担は1割?3割?何が違う?」
-
「現役並み所得者って誰?」
-
「高額療養費の上限はどう変わる?」
-
「住民税非課税の優遇ってどれくらい?」
といった疑問を持つ経営者は非常に多いです。
そこで本記事では、
2026年の最新制度をもとに、
後期高齢者医療制度を経営者の視点でわかりやすく体系化 します。
■ 1. 後期高齢者医療制度とは?
──75歳以上の全員が加入する“独立した医療保険制度”
後期高齢者医療制度(正式名:後期高齢者医療広域連合制度)は、
75歳以上(または一定の障害がある65歳以上)の人が加入する医療保険です。
加入は強制で、
75歳の誕生日当日に自動的に加入し、
それまでの健康保険(協会けんぽ・健保組合)から脱退します。
【ポイント】
✔ 75歳になる本人の意思に関係なく加入
✔ 保険証が自治体発行の「後期高齢者医療被保険者証」に変更
✔ 健康保険組合の付加給付などは利用できなくなる
つまり、
経営者や従業員が どれだけ手厚い企業健康保険に入っていても、75歳で制度が切り替わる
ということです。
■ 2. 医療費の自己負担割合(1割・2割・3割)
後期高齢者医療制度の最も重要なポイントは、
医療費の窓口負担割合が所得によって変動する という点です。
2026年時点の負担割合は次の通り。
【2026年の負担割合】
| 負担割合 | 対象者 |
|---|---|
| 1割負担 | 年金中心などで所得が低い多くの高齢者 |
| 2割負担 | 一定所得のある人(原則) |
| 3割負担 | 現役並み所得者(課税所得145万円以上の人など) |
◆ 基本は「2割」
2022年から段階的に「2割負担」が拡大され、
2026年時点では 75歳以上の半数近くが2割負担 になると見込まれています。
◆ 「現役並み所得者」は3割負担
所得の高い高齢者(主に年金+不動産収入+金融所得)が該当。
基準の目安は、
-
課税所得145万円以上
-
世帯収入が一定額以上
の条件を満たす人。
経営者・役員は該当しやすいため注意が必要です。
■ 3. 後期高齢者医療制度の保険料(2026年最新版)
後期高齢者の保険料は、
「均等割(定額)」+「所得割(所得に応じて変動)」で決まります。
【保険料の計算式】
保険料 = 均等割額 +(所得 − 基礎控除)× 所得割率
2026年時点では、多くの自治体で以下のような傾向があります。
◆ 均等割額:年額45,000~60,000円前後
◆ 所得割率:7%~10%前後
つまり、年金や事業収入が多い人ほど保険料が高くなります。
経営者が引退後に役員報酬や不動産収入を持っている場合は
保険料が年20万円以上になるケースも多いです。
■ 4. 高額療養費制度(後期高齢者)はさらに優遇される
後期高齢者制度でも「高額療養費制度」が適用されますが、
限度額が健康保険よりも低く設定されています。
【後期高齢者の高額療養費:限度額(2026年)】
| 所得区分 | 月額限度額 |
|---|---|
| 現役並みⅢ | 252,600円 |
| 現役並みⅡ | 167,400円 |
| 現役並みⅠ | 80,100円 |
| 一般(最も多い) | 18,000円(外来年額上限144,000円) |
| 住民税非課税Ⅱ | 8,000円 |
| 住民税非課税Ⅰ | 15,000円 |
「一般区分」(最も人数が多い高齢者)は、
たとえ入院・手術で医療費が30万円かかっても
1ヶ月 18,000円までの負担 で済みます。
70歳以上は医療費負担が非常に軽くなるため、
老後資金の計画を立てる上で重要な要素です。
■ 5. 65~74歳(前期高齢者)から「75歳への切替」で起きる変化
経営者が押さえるべきは次の3つ。
① 健康保険組合の付加給付は消滅
企業により手厚い給付が用意されているが、
後期高齢者制度には 付加給付がない。
② 高額療養費の上限はむしろ下がる
→ 医療費負担が軽くなる(安心)
③ 保険料は“年金天引き”が基本
→ 口座引落ではなく、年金支給額から自動控除
→ 保険料滞納のリスクが減る
■ 6. 同居家族の保険料負担に影響する
後期高齢者の保険料は「本人単位」で計算されますが、
住民税の申告状況によって負担区分(1割・2割・3割)が変わるため、
家族の税務戦略に影響するケースがあります。
例えば:
-
配偶者が扶養に入っている
-
家族の所得が多い
-
世帯分離をすると負担区分が変わる
など、経営者の家族では調整余地が大きいテーマです。
■ 7. 経営者が特に注意すべきポイント
以下は現場でよく問題になる点です。
◆(1)役員報酬を高く設定しすぎると「現役並み所得者」になり3割負担
→ 医療費負担が大きく跳ね上がる
→ 老後の報酬設計は慎重に
◆(2)退職後、国民健康保険に加入しても75歳で強制切替
→ “保険を選べる期間”は退職後〜75歳の間だけ
◆(3)配偶者の所得によっては負担割合が上がる
→ 世帯分離で調整できるケースあり
◆(4)後期高齢者でも、医療費が高額になれば上限があり安心
→ 介護とセットで資金設計が必要
◆(5)健保組合からの付加給付は本当に大きい
→ 75歳を迎えるとそれが消える
→ 企業の健康保険の魅力が薄くなる
■ 8. 介護保険との関係(重要)
後期高齢者になると、介護保険も「第1号被保険者」として扱われます。
介護保険料は
✔ 65歳から発生
✔ 所得区分に応じて決定
✔ 75歳以降も継続して徴収
医療・介護の負担は切れ目なく続くため、
後期高齢者医療制度と介護保険のバランスを合わせて理解する必要があります。
■ 9. まとめ:後期高齢者医療制度は“老後資金戦略の中心”となる制度
後期高齢者医療制度は、
経営者自身の老後、従業員の家族、会社の福利厚生に直結する重要制度です。
✔ 75歳になると全員が加入
✔ 負担割合は1〜3割で所得に応じて変動
✔ 保険料は「均等割+所得割」で決定
✔ 健康保険組合の付加給付は使えなくなる
✔ 高額療養費の限度額はむしろ低くなり安心
✔ 役員報酬の多寡で負担が増減
✔ 世帯分離で負担区分が変わるケースがある
“老後の医療費の見通しが立てやすくなる”
という意味で、制度理解によるメリットは非常に大きいです。
経営者としては、
自分の老後だけでなく家族・従業員の将来まで見据え、
医療制度も経営戦略の一部として把握しておくべきでしょう。