Contents
- 1 ✔ 高額療養費制度の仕組み
- 2 ✔ 所得区分別の限度額
- 3 ✔ 経営者・役員に特有の注意点
- 4 ✔ 自営業者(国保加入者)との違い
- 5 ✔ 70歳以上の負担上限
- 6 ✔ 多数回該当(4回目以降)で負担が下がる理由
- 7 ✔ 民間の医療保険との役割分担
- 8 ✔ 高額療養費と医療費控除の違い
- 9 ■ 1. 高額療養費制度とは?
- 10 ■ 2. 70歳未満の高額療養費制度(2026年最新版)
- 11 ■ 3. 70歳以上の高額療養費制度(2026年)
- 12 ■ 4. 多数回該当(4回目以降の負担軽減)の仕組み
- 13 ■ 5. 世帯合算(家族の医療費を合算できる)
- 14 ■ 6. 「限度額適用認定証」を使えば窓口負担が抑えられる
- 15 ✔ これを病院に提示すれば、その場で支払う金額が限度額までに抑えられる
- 16 ■ 7. 国民健康保険と協会けんぽ・健保組合の違い
- 17 ■ 8. 医療費控除との違い
- 18 ■ 9. 経営者が注意すべき5つのポイント
- 19 ■ 10. まとめ:高額療養費制度は“日本最強の医療保険”
- 20 ✔ 医療費には月額上限がある
- 21 ✔ 所得に応じて上限は変動
- 22 ✔ 多数回該当(4回目以降)はさらに軽減
- 23 ✔ 家族の医療費は合算できる
- 24 ✔ 70歳以上は負担が大幅に軽減
- 25 ✔ 健康保険組合の付加給付があると最強
──突然の医療費に備える“日本最強のセーフティネット”を経営者視点で理解する
大きな病気や怪我をすると、
医療費は一気に高額になります。
- 入院費
- 手術費
- 抗がん剤治療
- 放射線治療
こうした医療費は、数十万円〜数百万円になることも珍しくありません。
しかし、日本には 「高額療養費制度」 という非常に強力な仕組みがあり、
これを活用すれば自己負担は大幅に軽減されます。
本記事では、2026年の最新内容を踏まえて、
✔ 高額療養費制度の仕組み
✔ 所得区分別の限度額
✔ 経営者・役員に特有の注意点
✔ 自営業者(国保加入者)との違い
✔ 70歳以上の負担上限
✔ 多数回該当(4回目以降)で負担が下がる理由
✔ 民間の医療保険との役割分担
✔ 高額療養費と医療費控除の違い
について、視点を「経営者」に合わせて徹底解説します。
■ 1. 高額療養費制度とは?
──1カ月の医療費に“上限”を設ける国の制度
高額療養費制度は、公的医療保険に加入していれば誰でも使える制度で、
同じ月の医療費が一定額を超えた分は、後から払い戻される
という仕組みです。
例えば、
手術と入院で医療費が50万円かかったとしても、
所得に応じた「上限額」を超えた分は戻ってきます。
この「上限額」は次の3つによって変動します。
- 総所得(課税所得)
- 年齢(70歳未満 / 70歳以上)
- 加入している医療保険
経営者の場合、役員報酬や事業所得で上限区分が変動するため、
正確な理解が必要です。
■ 2. 70歳未満の高額療養費制度(2026年最新版)
70歳未満の自己負担限度額は、
所得区分(標準報酬月額・課税所得)によって次のように分かれています。
【70歳未満】所得区分別の自己負担限度額(2026年)
| 所得区分(年収の目安) | 自己負担限度額(月額) |
|---|---|
| 区分ア(年収1,160万円〜) | 252,600円 +(医療費−842,000円)×1% |
| 区分イ(年収770万〜1,160万円) | 167,400円 +(医療費−558,000円)×1% |
| 区分ウ(年収370万〜770万円) | 80,100円 +(医療費−267,000円)×1% |
| 区分エ(年収〜370万円) | 57,600円 |
| 区分オ(住民税非課税) | 35,400円 |
※ 健康保険組合によって支給ルールが若干異なる場合あり。
◆ 例:年収800万円の経営者が医療費50万円かかった場合
区分イ(167,400円が基準)に該当。
医療費50万円 → 自己負担 50,000 × 30% = 15万円
→ 限度額以下のため払い戻しはなし
→ 実質の負担は 150,000円
もし医療費が100万円の場合は:
100万 × 30% = 30万
→ 限度額式:167,400円 +(1,000,000 − 558,000)×1%
= 約171,820円
→ 差額(約12万円)が戻ってくる。
■ 3. 70歳以上の高額療養費制度(2026年)
70歳以上は医療費負担割合が 1〜3割に変わるため、
限度額も別設定になります。
【70歳以上】所得区分別の自己負担限度額(月額)
| 区分 | 年収の目安 | 限度額 |
|---|---|---|
| 現役並みⅢ | 約1,160万円〜 | 252,600円 |
| 現役並みⅡ | 約770万〜1,160万円 | 167,400円 |
| 現役並みⅠ | 約370万〜770万円 | 80,100円 |
| 一般 | 約370万円未満 | 18,000円(外来は年間上限144,000円) |
| 低所得Ⅱ | 住民税非課税 | 8,000円 |
| 低所得Ⅰ | 住民税非課税で条件満たす | 15,000円 |
70歳を境に限度額が大幅に下がるため、
70歳以降の医療費負担は驚くほど軽くなります。
経営者のセカンドライフで非常に重要なポイントです。
■ 4. 多数回該当(4回目以降の負担軽減)の仕組み
同じ人が 過去12カ月以内に3回以上、高額療養費の払い戻しを受けた場合、
4回目から限度額がさらに下がる制度 があります。
【70歳未満の多数回該当】
区分ウの人なら:
80,100円 → 44,400円に軽減
ガン治療など長期治療が必要な人にとって、
非常に強力な救済制度です。
■ 5. 世帯合算(家族の医療費を合算できる)
同じ健康保険に加入している家族であれば、
1カ月の医療費を合算 することができます。
- 本人 5万円
- 子ども 4万円
- 妻 3万円
なら、合算で12万円となり
限度額を超える可能性が高まります。
特に大きな家族を持つ経営者には大きなメリットです。
■ 6. 「限度額適用認定証」を使えば窓口負担が抑えられる
高額療養費は、本来は一度“まとまった医療費を払ってから”
後日払い戻しされる仕組みです。
しかし高額な医療費を一時的に立て替えるのは大きな負担……
そこで使えるのが 「限度額適用認定証」 です。
✔ これを病院に提示すれば、その場で支払う金額が限度額までに抑えられる
→ 立て替え不要
→ キャッシュフローへの影響が大幅に軽減
経営者は治療費が高額になる可能性もあるため、
あらかじめ取得しておく習慣が重要 です。
■ 7. 国民健康保険と協会けんぽ・健保組合の違い
高額療養費はどの医療保険でも使えますが、
細かな給付内容に違いがあります。
◆ 協会けんぽ・健保組合
- 限度額は国民健康保険と統一
- 組合によっては付加給付があり、負担額が実質2万円程度になるケースも
大手企業の健康保険組合は付加給付が手厚く、
高額療養費制度を超えて独自に負担を軽減してくれる場合があります。
◆ 国民健康保険
- 原則として高額療養費制度のみ
- 自営業者は負担が増えやすい
経営者が独立後に国保に加入した場合、
医療費負担が大きく変わるため注意が必要です。
■ 8. 医療費控除との違い
よく混同されるのが 医療費控除(税金) との違い。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 高額療養費制度 | 医療費の自己負担のうち、上限を超える分を払い戻す制度 |
| 医療費控除 | 年末調整・確定申告で所得控除され、税金が減る |
ポイント
高額療養費で払い戻された分は、
医療費控除の対象から「除外」されます。
■ 9. 経営者が注意すべき5つのポイント
◆(1)役員報酬の増減で限度額が変わる
→ 高所得になれば限度額が引き上がる。
→ 報酬設計が医療費負担に影響する。
◆(2)退職後に健康保険を任意継続するか国保にするかで給付が変わる
→ 国保は付加給付がない
→ 任意継続は給付内容が安定
◆(3)家族の医療費も合算できる
→ 大家族ほどメリットが大きい。
◆(4)限度額適用認定証は早めに取得
→ 大きな手術が決まった時点で取得する。
◆(5)民間医療保険の入り方が変わる
→ 高額療養費があるため、「実費補償型」より「入院日額型」の必要性が高い。
■ 10. まとめ:高額療養費制度は“日本最強の医療保険”
日本の医療保険制度の中で、
もっとも生活を守る力があるのが 高額療養費制度 です。
✔ 医療費には月額上限がある
✔ 所得に応じて上限は変動
✔ 多数回該当(4回目以降)はさらに軽減
✔ 家族の医療費は合算できる
✔ 70歳以上は負担が大幅に軽減
✔ 健康保険組合の付加給付があると最強
経営者・役員は、
自分だけでなく従業員が安心して働ける環境を整えるうえでも
この制度の理解が欠かせません。
高額療養費制度を適切に活用することは、
家計防衛・会社経営・福利厚生のすべてにおいて
極めて重要な要素なのです。