【2025年最新版】雇用保険の3大給付

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「再就職手当」「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」を徹底解説

──50代・60代のキャリア戦略に欠かせない“雇用保険の出口”を経営者視点で整理する

労働人口の減少、雇用延長義務化、人生100年時代のキャリア再構築。
企業と働く人を取り巻く環境は急激に変化しています。

その中で、
雇用保険からの給付制度を正しく使えるかどうか
50代以降のライフプランに大きな影響を与えます。

特に次の3つは、
“キャリア転換・再就職・雇用延長” の局面で非常に重要です。


✔ 再就職手当(早期再就職のボーナス)

✔ 高年齢雇用継続基本給付金(賃金低下の補填給付)

✔ 高年齢再就職給付金(再就職後の給付金)


いずれも雇用保険からの給付ですが、
対象者・給付額・条件は大きく異なります。


本記事では経営者層に向けて、

  • 制度の仕組み

  • 対象者

  • 金額

  • 65歳前後の違い

  • 再雇用制度との関係

  • 会社経営に与える影響

をわかりやすく整理します。


■ 1. 再就職手当とは?

──“早期再就職”をすると最大70%支給されるインセンティブ

再就職手当は、基本手当(失業給付)を受給できる人が
早く再就職することで受け取れる “成功報酬型”の給付金 です。


◆ 支給対象者

次のすべてを満たす必要があります。

【再就職手当の主な条件】

  1. ハローワークに求職申込みをした

  2. 待期7日間が経過した

  3. 失業給付が支給される人(雇用保険加入12ヶ月以上)

  4. 基本手当の支給残日数が 1/3以上 ある

  5. 再就職した会社に 1年以上雇用見込み がある

  6. 自己都合退職の場合:給付制限期間経過後か、特別例に該当

  7. 過去3年以内に再就職手当を受けていない


◆ 支給額(2025年時点)

支給額は、


基本手当の残日数 × 基本手当日額 × 支給率(60〜70%)


● 支給率の違い

基本手当の残日数 支給率
所定給付日数の1/3以上あって、1/2未満 60%
所定給付日数の1/2以上残っている 70%

◆ 【例】

基本手当日額 7,000円
残日数 100日
所定給付日数 150日 → 残日数は 2/3 のため支給率 70%

計算すると:


7,000円 × 100日 × 70% = 49万円


50万円近い給付となり、非常にメリットの大きい制度です。


■ 2. 「高年齢雇用継続基本給付金」とは?

──60歳以降の賃金が75%未満に下がると給付される制度

60歳到達後に賃金が大幅に下がった場合、
雇用保険から補填として支給されるのが
高年齢雇用継続基本給付金 です。

従業員の賃金を守る制度として非常に重要ですが、
制度廃止の議論などにより複雑になっています。


◆ 支給対象者

以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者

  2. 60歳到達時点で雇用保険加入期間が 5年以上

  3. 60歳以降の賃金が、60歳到達時の75%未満に低下

  4. 引き続き同じ事業所で働いている


◆ 支給額の基本計算


賃金低下率に応じて最大15%の給付


賃金低下率の分類は以下の通り。

賃金水準(60歳時との比較) 給付率
75%〜61%未満 賃金低下率に応じて段階的に給付(0〜15%)
60%未満 給付率は一律 15%

【例】

60歳時の賃金月額:40万円
60歳以降の賃金:20万円(50%)

→ 大幅低下のため、給付率 15%
→ 給付額:20万円 × 15% = 3万円/月

1年続けば36万円、5年なら180万円の給付となります。


◆ 2025年の重要ポイント(制度廃止の方向性)

国の方針により、


✔ 高年齢雇用継続基本給付金は “段階的廃止” 予定

✔ ただし経過措置により60歳到達者は引き続き受給可能


政策としては、
賃金補填ではなく「同一労働同一賃金」による待遇改善を促す流れです。

そのため、
“従業員の60歳以降の雇用戦略” を考える企業にとっては
制度依存からの脱却が必要になります。


■ 3. 「高年齢再就職給付金」とは?

──60歳以上で離職し再就職した人の賃金補填

高年齢再就職給付金は、
60歳以上で離職 → 再就職した場合に、
賃金が60歳時の75%未満に低下したときに給付される制度です。

高年齢雇用継続基本給付金と似ていますが、
“再就職した人” が対象 という点が異なります。


◆ 支給対象者

  1. 60歳以上65歳未満で再就職

  2. 再就職の前に雇用保険加入期間が5年以上

  3. 再就職後の賃金が60歳時の75%未満

  4. 1年以上雇用される見込みあり


◆ 給付額

給付額は、
高年齢雇用継続基本給付金と同じく 最大15% です。


◆ 【例】

60歳時点の賃金:40万円
再就職後の賃金:24万円(60%)

→ 給付率は段階的、概ね 8〜10%
→ 給付額:2〜2.4万円/月

再就職後の家計の立ち上がりを支える制度として機能します。


◆ この制度も縮小傾向

高年齢雇用継続基本給付金と同様、
国の方針により縮小・経過措置化が進んでいます。

将来的には制度全体が見直される可能性があります。


■ 4. 3つの給付制度を比較する

制度名 対象年齢 対象者 給付内容 制度の方向性
再就職手当 全年齢(主に65歳未満) 基本手当受給者 残日数×日額×60〜70% 重要制度として継続
高年齢雇用継続基本給付金 60〜65歳 同じ企業で継続雇用 賃金低下分の最大15% 段階的廃止へ
高年齢再就職給付金 60〜65歳 再就職者 賃金低下分の最大15% 段階的廃止へ

経営者が押さえるべきポイント

  • 再就職手当は今後も重要で、金額インパクトも大きい

  • 高年齢雇用継続基本給付金と再就職給付金は縮小方向だが、“経過措置で現行ルールの適用者は多い”

  • 従業員の 60歳以降の賃金設計に制度が直結する

制度自体の縮小は、
企業に「賃金制度の改善」を求める政策的意図でもあります。


■ 5. 経営者・企業が実務上注意すべき点

◆ ① 60歳以降の人材戦略をどう設計するか

給付金に頼れなくなり、
会社側に賃金制度の工夫が求められる時代に。

◆ ② 社員の再就職手当の活用は“離職→再就職”タイミングが鍵

離職票を速やかに発行することは企業の義務。
遅れると社員の不利益になる。

◆ ③ 再雇用制度との整合性

  • 再雇用で賃金が下がりすぎると従業員の不満につながる

  • 給付金が廃止されていく中で“待遇改善”が必要

◆ ④ 経営者自身は受給できる?

  • 再就職手当 → 役員でも実態として労働者なら受給可能

  • 賃金低下補填給付(60歳以降) → 役員は一般に対象外

経営者の老後資金としては期待しにくい制度です。


■ 6. まとめ:雇用保険の給付は“第二のキャリア設計の3本柱”

最後にポイントを整理します。


✔ 再就職手当

早期再就職すると 最大70%の給付。最も活用価値が高い。

✔ 高年齢雇用継続基本給付金

60歳以降の賃金低下を補填。最大15%。制度は縮小・廃止方向。

✔ 高年齢再就職給付金

60歳以上で再就職後に賃金が下がった場合に給付。最大15%


これらは、

  • 定年後も働きたい人

  • 再就職を考えている人

  • 賃金が大きく下がる人

  • キャリア変更を検討する人

にとって極めて重要な制度です。

特に経営者にとっては、

  • 従業員の60歳以降の処遇

  • 再雇用制度

  • 費用対効果の高い雇用戦略

  • キャリア支援制度の設計

に直結するため、正確な理解が不可欠です。

2025年以降、制度の見直しはますます進むため、
「給付に依存するのではなく、企業と個人が自立的にキャリアを設計する時代」
と言えるでしょう。

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