Contents
- 1 ✔ 葬祭費・埋葬料とは何か
- 2 ✔ 国民健康保険・健康保険(協会けんぽ・健保組合)でどう違う?
- 3 ✔ 具体的な支給額はいくら?(自治体差・組合差を含む)
- 4 ✔ 誰が受け取れるのか
- 5 ✔ 申請期限
- 6 ✔ 葬儀をしない「直葬・火葬のみ」の場合でももらえる?
- 7 ✔ 経営者が実務上注意すべきポイント
- 8 ■ 1. 葬祭費・埋葬料とは?
- 9 ■ 2. 葬祭費(国民健康保険)の特徴
- 10 ■ 3. 埋葬料(協会けんぽ・健保組合)の特徴
- 11 ✔ 家族埋葬料:5万円(協会けんぽの場合)
- 12 ■ 4. 「葬祭費」と「埋葬料」の違いを整理
- 13 ■ 5. どんなケースで給付が受けられないのか?
- 14 ■ 6. 申請に必要な書類
- 15 ■ 7. 直葬・家族葬・無宗教葬などでももらえるのか?
- 16 ■ 8. 経営者が知っておくべき実務ポイント
- 17 ■ 9. まとめ:葬祭費・埋葬料は必ず申請すべき給付金
- 18 ✔ 国民健康保険 →「葬祭費」(3〜7万円)
- 19 ✔ 協会けんぽ →「埋葬料」「家族埋葬料」(原則5万円)
- 20 ✔ 健康保険組合 → 上乗せ給付あり
- 21 ✔ 申請は喪主でなくても可
- 22 ✔ 期限は2年以内
- 23 ✔ 直葬(火葬のみ)でも受給可能
- 24 ✔ 税金は一切かからない
- 25 ✔ 経営者は自分と従業員の両方のケースを理解しておくべき
──家族が亡くなった時に受け取れる“公的な葬儀補助”を知らないと損をする
経営者や個人事業主にとって、
「家族の死亡時にどんな公的給付が受けられるのか?」というテーマは
実は極めて重要です。
特に突然の死亡・事故・病気などは、
心の準備ができないまま多額の葬儀費用(平均120〜150万円)が発生し、
さらに準確定申告・相続税などの税務手続きも同時に進みます。
このとき、多くの人が知らないまま放置しているのが
国民健康保険の「葬祭費」
および
協会けんぽ・健康保険組合の「埋葬料/家族埋葬料」
です。
制度の存在を知らずに請求しない人が実は非常に多く、
“申請しないと一切もらえない” という点で、
知識があるかどうかで数万円の損得が生じます。
本記事では以下を体系的に解説します。
✔ 葬祭費・埋葬料とは何か
✔ 国民健康保険・健康保険(協会けんぽ・健保組合)でどう違う?
✔ 具体的な支給額はいくら?(自治体差・組合差を含む)
✔ 誰が受け取れるのか
✔ 申請期限
✔ 葬儀をしない「直葬・火葬のみ」の場合でももらえる?
✔ 経営者が実務上注意すべきポイント
2025年の最新ルールに基づき、
実務的でわかりやすい形で解説します。
■ 1. 葬祭費・埋葬料とは?
──健康保険法に基づく「葬儀費用の補助給付」
人が亡くなったときに、
加入していた医療保険(健康保険・国保)から支給される給付のことを指します。
加入していた制度によって名称が異なります。
| 医療保険の種類 | 給付名称 |
|---|---|
| 国民健康保険(自治体加入) | 葬祭費 |
| 協会けんぽ・健康保険組合 | 埋葬料 または 家族埋葬料 |
【重要】公的年金の遺族給付とは別
葬祭費・埋葬料はあくまで「医療保険」の給付であり、
-
遺族厚生年金
-
遺族基礎年金
-
死亡一時金(国民年金)
とは別制度です。
■ 2. 葬祭費(国民健康保険)の特徴
自治体の国民健康保険に加入していた人が亡くなった場合、
葬儀を行った喪主(または喪主に準ずる人)に給付されます。
◆ 支給額:3〜7万円(自治体によって異なる)
全国一律ではなく、市区町村ごとに支給額が異なります。
例)
-
東京都港区:7万円
-
大阪市:5万円
-
名古屋市:5万円
-
札幌市:3万円
※2025年時点の情報(支給額は随時変更あり)
◆ 受給できる対象者
-
喪主
-
葬儀を主宰した人
-
遺族(喪主がいない場合)
※必ずしも戸籍上の続柄で判断するわけではありません。
◆ 葬儀をしていなくても支給されるのか?
「直葬(火葬のみ)」でも支給されます。
葬儀を行わなくても構いません。
領収書の有無については自治体によるものの、
基本的には火葬許可証・死亡診断書のコピーで足ります。
◆ 申請期限:死亡日の翌日から2年以内
国民健康保険の時効は 2年。
2年を過ぎると一切受け取れません。
■ 3. 埋葬料(協会けんぽ・健保組合)の特徴
会社員(被保険者)が加入する健康保険では、
「埋葬料」と呼ばれます。
◆ 支給額:原則5万円
健康保険法により、協会けんぽの場合は 5万円が一律。
◆ 家族が亡くなった場合の「家族埋葬料」
被保険者本人ではなく、
扶養に入っている家族が亡くなった場合、
✔ 家族埋葬料:5万円(協会けんぽの場合)
健保組合の場合は、
独自に「上乗せ給付」をしている場合もあります。
例)
-
組合によっては 10万円〜20万円支給
-
福利厚生としてさらに上乗せ給付金を設定している企業もあり
◆ 受給対象者
-
埋葬を行った人(喪主)
-
被保険者
-
配偶者・親族
-
埋葬を費用負担した人
◆ 申請期限:2年
協会けんぽも健保組合も、原則 2年以内 に申請が必要です。
■ 4. 「葬祭費」と「埋葬料」の違いを整理
| 項目 | 葬祭費(国保) | 埋葬料(健康保険) |
|---|---|---|
| 加入区分 | 国民健康保険 | 会社員(協会けんぽ・健保組合) |
| 給付名称 | 葬祭費 | 埋葬料 / 家族埋葬料 |
| 支給額 | 3万円~7万円(自治体差) | 原則5万円(健保組合は上乗せあり) |
| 受給者 | 喪主・葬祭を行った人 | 葬祭を行った人または遺族 |
| 申請期限 | 2年 | 2年 |
| 葬儀の有無 | 不問(直葬でも可) | 不問 |
| 上乗せ給付 | なし | 健保組合によってはあり |
■ 5. どんなケースで給付が受けられないのか?
◆ ① 加入していた健康保険が「資格喪失」していた場合
例:
-
退職後、任意継続に加入していなかった
-
退職日の翌日に死亡した(資格喪失後)
健康保険の資格がなければ給付されません。
◆ ② 生活保護受給者
生活保護の葬祭扶助が優先されるため、
葬祭費・埋葬料は支給されない自治体が多い。
◆ ③ 葬儀を行った日が大幅に遅れている
火葬や葬儀が不自然に遅れた場合など、
自治体判断で調査が入ることがあります。
◆ ④ 海外死亡の場合
-
帰国時の書類が整えば支給されるケースが多い
-
ただし自治体・健保によって扱いが変わるため要確認
■ 6. 申請に必要な書類
制度によって異なりますが、共通するものは次のとおり。
◆ 国民健康保険(葬祭費)
-
葬祭費支給申請書
-
葬儀を行ったことが分かる書類
-
火葬許可証
-
葬式の領収書 or それに相当するもの
-
-
死亡診断書のコピー
-
喪主の本人確認書類
-
振込先口座
◆ 協会けんぽ・健保組合(埋葬料)
-
埋葬料支給申請書
-
死亡診断書のコピー
-
火葬許可証
-
健康保険証
-
振込先口座
健保組合の場合は独自の必要書類が追加されることがあります。
■ 7. 直葬・家族葬・無宗教葬などでももらえるのか?
答えは もらえる です。
葬祭費・埋葬料は、
葬儀の規模や内容は問われません。
-
家族葬
-
直葬(火葬のみ)
-
無宗教葬
-
お別れ会など簡易葬儀
すべて対象です。
領収書が必要かどうかは自治体によりますが、
火葬許可証などで代用できることが多いです。
■ 8. 経営者が知っておくべき実務ポイント
経営者は従業員の福利厚生や家族の対応など、
通常の家庭よりも複雑な対応をする必要があります。
① 従業員が亡くなった場合も支給対象
協会けんぽや健保組合に加入していた従業員が亡くなった場合、
家族埋葬料 が支給されます。
会社として、家族から相談されるケースも多い。
② 健康保険組合は“上乗せ給付”がある
企業型健保組合は
5万円以上が支給されるケースも多い。
経営者自身が加入している健保組合の給付内容を
事前に確認しておくべきです。
③ 相続の死亡日ではなく「保険資格喪失日」が重要
退職して資格が切れた直後に亡くなった場合、
給付が受けられない場合があります。
これは非常に見落としやすい点です。
④ 申請できるのは“喪主ではなくてもよい”
葬儀費を実際に負担した人であれば申請可能です。
⑤ 葬祭費・埋葬料は“非課税”
受け取っても税金はかかりません。
相続税の対象にもなりません。
■ 9. まとめ:葬祭費・埋葬料は必ず申請すべき給付金
葬儀という急な出来事の中で、
行政手続きや税務手続きはどうしても後回しになりがちです。
しかし、葬祭費・埋葬料は
申請しないと受け取れない給付金 であり、
2年の申請期限を過ぎれば消滅してしまいます。
最後にポイントをまとめます。
✔ 国民健康保険 →「葬祭費」(3〜7万円)
✔ 協会けんぽ →「埋葬料」「家族埋葬料」(原則5万円)
✔ 健康保険組合 → 上乗せ給付あり
✔ 申請は喪主でなくても可
✔ 期限は2年以内
✔ 直葬(火葬のみ)でも受給可能
✔ 税金は一切かからない
✔ 経営者は自分と従業員の両方のケースを理解しておくべき
葬儀は誰にとっても突然やってきます。
事前に制度を理解し、
いざというときに確実に手続きができるよう準備しておくことが、
家族の負担を大きく減らすことにつながります。