【2025年最新版】総報酬月額+基本月額>51万円で年金はどうなる?

更新日:

Contents

経営者のための「在職老齢年金:支給停止基準額51万円」完全ガイド

2025年から、在職老齢年金制度における
「支給停止基準額」――“総報酬月額相当額+基本月額” の基準が51万円
となりました。

特に、

  • 会社経営者

  • 役員

  • 自営業から法人化した人

  • 65歳以降も働き続ける人

  • 不動産収入や事業所得がある人

にとって、この“51万円ルール”は老後資金戦略に直結します。

働きながら年金を受け取ることが当たり前になっている現代では、
「給与や役員報酬をどれだけ受け取ると年金が減るのか?」
を理解することは、会社の資金戦略と同じくらい重要です。

本記事では、2025年時点の最新制度をもとに、
経営者が押さえるべき “在職老齢年金 × 51万円ルール” を
徹底的にわかりやすく整理します。


■ 1. まず結論:2025年から“51万円を超えると減額が始まる”

2025年の在職老齢年金の基準額は次の通りです。


【在職老齢年金:2025年基準】

● 総報酬月額相当額(給与+賞与の月換算)

● 基本月額(年金の月額)


> 51万円


→ 超えた分の「1/2」が年金減額
→ 条件によっては全額停止もあり


2024年までの基準額は「47万円」。
2025年より 4万円引き上げ → 51万円 へ。

これにより、
多くの経営者・高齢社員の「年金減額リスク」は緩和されています。


■ 2. そもそも“総報酬月額相当額”とは何か?

経営者が必ず理解しておくべきキーワードが
総報酬月額相当額(総報酬)

これは、

  • 月給

  • 役員報酬

  • 各種手当

  • 賞与(年間を12で割る)

すべてを“月額換算”したもの。

つまり、
社長や役員は賞与を出していなくても、役員報酬が高ければ総報酬も高くなる
という仕組みです。

例:

役員報酬 賞与 総報酬月額相当額
40万円 0円 40万円
30万円 年間60万円 30万円+(60万円÷12)=35万円
55万円 0円 55万円(→すでに51万円超)

経営者は役員報酬調整で年金額が大きく変わることを
理解しておく必要があります。


■ 3. “基本月額”とは何か?(経営者が勘違いしやすいポイント)

基本月額とは、
老齢厚生年金の年額 ÷ 12

例えば、老齢厚生年金が年間120万円なら:

120万円 ÷ 12 = 10万円(基本月額)

これが計算式に組み込まれます。

ここで重要なのが、


● 基本月額とは「厚生年金」の部分だけ

● 「老齢基礎年金」(国民年金の部分)は含まれない


多くの人が「全部の年金額で計算」と誤解しているため注意。


■ 4. 経営者・役員に一番影響する“51万円ルール”を図で理解する

2025年の在職老齢年金は、
以下のように考えると極めてシンプルです。


【総報酬月額相当額】+【基本月額】

→ 合計が 51万円以内

= 年金は満額受給可能


合計が 51万円超

= 超過額の「1/2」年金カット


超過額が大きい

= 年金がゼロ(支給停止)


例:

役員報酬 40万円
厚生年金の基本月額 8万円

→ 合計 48万円 → 51万円以内 → 年金満額


例:

役員報酬 45万円
基本月額 10万円

合計 55万円 → 4万円超過
→ 4万円 ÷ 2 = 2万円減額


例:

役員報酬 70万円
基本月額 10万円

合計 80万円 → 29万円超過
→ 29万円 ÷ 2 = 14.5万円減額

老齢厚生年金が14万円なら → 全額停止

このように、
役員報酬が高すぎると支給はゼロになります。


■ 5. 経営者が見落としがちな 3つの誤解

経営者の相談を受けていて特に多いのがこの誤解です。


❌ 誤解①:年金が減らされると“損”

正しくは、損ではない。将来の年金額には一切影響しない。

停止された年金が将来の額から引かれるわけではありません。
むしろ、働き続けることで増額されるケースがほとんど。


❌ 誤解②:事業所得・不動産所得も計算に入る

正しくは “給与(役員報酬)と賞与だけ” が対象。

事業所得
不動産所得
配当所得
雑所得

これらは 総報酬に含まれない ため、
高所得者の経営者でも年金受給可能なケースは多い。


❌ 誤解③:65歳以上は減額されない

正しくは、65歳以上も減額される(基準額が51万円に緩和された)。


■ 6. 経営者のための「役員報酬 × 年金」最適化戦略

在職老齢年金の本質は、
「役員報酬の設定が、年金の増減を直接左右する」
という点。

ここでは経営者に特化した最適化戦略を紹介します。


戦略①:年金満額を受けたいなら“51万円以内”に調整

総報酬+基本月額 = 51万円以内
に収めれば減額ゼロ。

→ 報酬を自由に調整できる経営者だからこそ可能。


戦略②:あえて“年金ゼロ”で働く選択も合理的

年金停止になっても

  • 受給資格は維持

  • 将来の年金額が減るわけではない

  • 働き続けることで年金額はむしろ増える

ため、
高報酬で働きつつ70歳以降の増額を狙う戦略も有効。


戦略③:役員報酬+事業所得の2本立てが最強

役員報酬を低めに抑えて事業所得で利益を取ると

  • 年金は減らない

  • 税金計画がしやすい

  • 社会保険負担が減る

というメリットがある。


戦略④:法人売却(M&A)直後の役員報酬設計が重要

事業売却後に役員として残るケースでは

  • 売却時のキャピタルゲイン

  • 新会社からの報酬

  • 年金受給額

を総合調整する必要がある。


■ 7. 2025年以降の制度改正の方向性(経営者が特に注意)

厚労省は次の方向で議論を進めています。

● 支給停止基準額をさらに引き上げる可能性

→ “70歳まで働く社会” を事実上前提にした制度改正。

● 70歳以上の厚生年金加入義務化の議論

→ 役員・経営者は特に影響大。

● 年金増額制度の強化

→ 働けば働くほど年金額が増える仕組みへ。

● 高齢者雇用の拡大

→ 会社経営にも労働力確保として重要。

経営者は毎年制度をアップデートしておく必要がある。


■ 8. まとめ:経営者にとって「51万円ルール」は老後資産戦略の基盤

2025年からの“51万円ルール”は、
働き続ける経営者・役員にとって極めて重要です。

改めて本記事の要点をまとめます。


◎ 【総報酬月額+基本月額 ≦ 51万円】 → 年金満額

◎ 51万円を超えた分の「1/2」 → 年金減額

◎ 年金停止は“損ではない”

◎ 役員報酬を調整すれば年金は自由に最適化可能

◎ 事業所得は計算に入らない(経営者に有利)

◎ 相続・事業承継にも影響する重要制度


働き続ける経営者にとって、
在職老齢年金制度は
“年金をどう最大化するか”
“役員報酬をどう最適化するか”
という経営戦略そのものです。

今後、70歳以上まで働き続けることが当たり前になる時代に向けて、
経営者は自分自身のキャッシュフロー設計を
会社経営と同じレベルで戦略的に考えることが求められます。

ぜひ、この記事を参考に、
「役員報酬 × 年金 × 老後資金 × 相続」
の最適な設計を進めてください。

Copyright© 株式会社RAD , 2025 All Rights Reserved.