Contents
- 1 ■ 1. 退職所得控除とは?(シンプル解説)
- 2 ✔ 退職金を受け取る時に、
- 3 ✔ 勤続年数に応じて
- 4 ✔ 大きな非課税枠が認められる制度
- 5 ✔ 勤続30年 → 1,500万円が非課税
- 6 ✔ 勤続40年 → 2,200万円以上が非課税
- 7 ■ 2. 退職所得控除の計算方法(2025年)
- 8 ■ 3. 退職金への課税は「1/2 課税」でさらに有利
- 9 (退職金 − 退職所得控除)× 1/2 × 税率
- 10 ■ 4. 経営者にとって「退職所得控除」が重要な理由
- 11 これらの多くが「退職所得控除」を利用すると
- 12 非課税枠が拡大し、節税効果が最大化される。
- 13 1年あたり40万円 → 70万円にアップ
- 14 ✔ いつ退任するか
- 15 ✔ 役員期間を何年にするか
- 16 ✔ 報酬と退職金のバランス
- 17 ✔ 法人成りのタイミング
- 18 退職所得控除の枠を利用
- 19 退職所得控除の大きな優遇を利用できる
- 20 ■ 5. 退職所得控除の落とし穴(経営者が特に注意すべき点)
- 21 ■ 6. 退職所得控除の具体例(わかりやすく解説)
- 22 ■ 7. 経営者が実務で取るべき行動
- 23 ■ 8. まとめ:退職所得控除は「経営者の最重要税制」
- 24 ✔ 勤続年数に応じて大きな非課税枠が認められる
- 25 ✔ 退職金は1/2課税で税負担が非常に軽い
- 26 ✔ 経営者の老後戦略の核となる制度
- 27 ✔ iDeCo・企業型DC・小規模企業共済の出口戦略に直結
- 28 ✔ 退任時期を調整することで控除額が大きく変わる
- 29 ✔ 受取タイミングを誤ると数百万円損をするリスクがある
──役員退職金・節税・事業承継・iDeCoと深く関わる、最重要の税制優遇を徹底解説
退職所得控除は、
日本の税制の中でももっとも強力と言えるほど、
税負担を劇的に軽減してくれる制度 です。
特に経営者にとって:
-
役員退職金
-
企業型DC(企業型確定拠出年金)
-
iDeCo(個人型確定拠出年金)
-
小規模企業共済
-
生命保険の退職金活用
-
事業承継のタイミング
と非常に深く結びつくため、
退職所得控除の理解は“経営者の資産形成と節税戦略の核”になります。
しかし実際には、
-
仕組みを理解していない
-
抜群の節税効果を活用できていない
-
退任時期を誤って数百万円損をする
-
社会保険料や退職金制度と連動できていない
という残念なケースも非常に多い。
この記事では、2025年時点の最新制度を踏まえ、
経営者が絶対に押さえておくべき「退職所得控除」の本質を
徹底的にわかりやすく解説します。
■ 1. 退職所得控除とは?(シンプル解説)
退職所得控除とは、
✔ 退職金を受け取る時に、
✔ 勤続年数に応じて
✔ 大きな非課税枠が認められる制度
です。
全所得の中で、
もっとも優遇されていると言われるほど、
控除額が大きい点が特徴です。
たとえば:
✔ 勤続30年 → 1,500万円が非課税
✔ 勤続40年 → 2,200万円以上が非課税
これほどの優遇を受けられる制度は他にありません。
経営者の場合、
「役員退職金の設計」
「退職タイミング」
「iDeCoや企業型DCの受け取り」
と密接に関わるため、理解は必須です。
■ 2. 退職所得控除の計算方法(2025年)
退職所得控除は、
勤続年数によって以下のように計算します。
◆ 勤続20年以下
40万円 × 勤続年数(最低80万円)
例:10年 → 40万 ×10=400万
例:3年 → 80万円(最低額)
◆ 勤続20年超
800万円 + 70万円 ×(勤続年数−20年)
例:30年 → 800万 + 70万×10年=1,500万
例:40年 → 800万 + 70万×20年=2,200万
この計算式を覚えておくだけで
自社の退職金戦略を設計できるようになります。
■ 3. 退職金への課税は「1/2 課税」でさらに有利
退職金は、
(退職金 − 退職所得控除)× 1/2 × 税率
で課税されます。
つまり、
-
控除で大部分が非課税
-
さらに残った金額も 半分 にして税率を適用
という優遇があります。
例:退職金3,000万円・勤続30年の場合
-
控除:1,500万円
-
課税対象:1,500万円
-
1/2 課税で → 750万円に税率を適用
この結果、
総合課税よりもはるかに税負担が小さくなります。
■ 4. 経営者にとって「退職所得控除」が重要な理由
経営者にとって、この制度が極めて重要な理由を整理します。
◆ ① 役員退職金を最も税効率よく受け取れる制度だから
経営者が老後に大きく資産を受け取る手段として、
-
役員退職金
-
iDeCo
-
企業型DC
-
小規模企業共済(一時金)
-
生命保険の退職金活用
-
養老保険などの積立保険
が使われますが、
これらの多くが「退職所得控除」を利用すると
非課税枠が拡大し、節税効果が最大化される。
役員退職金は金額が大きいため、
控除の恩恵も非常に大きくなります。
◆ ② 勤続年数が長いほど有利(20年超で爆発的にメリット)
勤続20年を超えると、
1年あたり40万円 → 70万円にアップ
経営者は退任時期を選べるため、
20年を境に退任時期を調整するだけで
数百万円単位で控除額が変わります。
これは実務上とても重要。
◆ ③ 事業承継の最適タイミングを決める基準になる
退職所得控除を最大活用するために、
✔ いつ退任するか
✔ 役員期間を何年にするか
✔ 報酬と退職金のバランス
✔ 法人成りのタイミング
などを戦略的に設計すべきです。
◆ ④ iDeCo・企業型DCの一時金受取も退職所得控除が適用
iDeCoや企業型DCを一時金で受け取る場合、
退職所得控除の枠を利用
できます。
ただし、役員退職金と同じ年に受け取ると枠が減るため、
受取タイミングの分離が必須 です。
◆ ⑤ 小規模企業共済も「退職所得扱い」で非常に有利
経営者専用の退職金制度である
小規模企業共済を 一括受取 すると、
退職所得控除の大きな優遇を利用できる
これも老後資金戦略で重要。
■ 5. 退職所得控除の落とし穴(経営者が特に注意すべき点)
◆ 落とし穴①:複数の退職金を同じ年に受け取ると損をする
退職所得控除は 1年に1回しか使えません。
同じ年に、
-
役員退職金
-
小規模企業共済
-
iDeCo
-
企業型DC
-
生命保険の退職金
をまとめて受け取ると、
大幅に控除が減ってしまいます。
これは経営者が最もやりがちな失敗です。
◎ 正解
受け取りを 複数の年に分散 させる。
◆ 落とし穴②:役員在職期間の計算を誤る
「勤続年数の決め方」は実務で揉めるポイント。
-
法人成り前の個人事業期間を算入できるか
-
役員就任日をどう扱うか
-
パートナー企業に常駐していた期間は?
顧問税理士と必ず確認すべきです。
◆ 落とし穴③:分掌変更の給与税制に注意
役員退職金を支給するために
-
代表 → 顧問
-
代表 → 会長
などの変更を行う場合、
変更の実態がなければ税務署に否認されるリスクがあります。
◆ 落とし穴④:高額すぎる退職金は“損金否認リスク”
退職金は節税に有利な制度ですが、
「社会的に妥当な金額」である必要があります。
-
役員報酬
-
勤続期間
-
業績貢献
から逸脱した金額は否認されやすい。
■ 6. 退職所得控除の具体例(わかりやすく解説)
ここでは3つのシミュレーションを示します。
◆ ケース①:勤続30年・退職金3,000万円
退職所得控除:1,500万円
課税対象:3,000 − 1,500=1,500万円
1/2課税 → 750万円に税率を適用
→ 実際の税負担は100万円台で済むケースが多い。
◆ ケース②:勤続40年・退職金4,000万円
控除:2,200万円
課税対象:1,800万円
1/2課税 → 900万円に税率を適用
大部分が控除・軽課される。
◆ ケース③:勤続5年・退職金500万円
控除:40万×5年=200万円
課税対象:300万円
1/2課税 → 150万円に税率
短期間でも優遇は大きい。
■ 7. 経営者が実務で取るべき行動
以下の項目を必ず整理すべきです。
● 役員退職金規程を整備する
→ 税務上の安全性が高まる。
● 退任時期を勤続20年・30年を意識して決める
→ 控除額が変わる。
● iDeCo・企業型DC・小規模企業共済の受取タイミングをずらす
→ 控除枠の最適化。
● 法人成りのタイミングと退職金戦略を連動させる
→ 個人事業→法人で「勤続年数の扱い」が変わる。
● 顧問税理士と退職金の適正額を確認
→ 否認リスクの防止。
■ 8. まとめ:退職所得控除は「経営者の最重要税制」
この記事の要点をまとめると…
✔ 勤続年数に応じて大きな非課税枠が認められる
✔ 退職金は1/2課税で税負担が非常に軽い
✔ 経営者の老後戦略の核となる制度
✔ iDeCo・企業型DC・小規模企業共済の出口戦略に直結
✔ 退任時期を調整することで控除額が大きく変わる
✔ 受取タイミングを誤ると数百万円損をするリスクがある
特に経営者の場合、
退職所得控除を理解しているかどうかで、
老後資産が数百万円〜数千万円変わる ことも珍しくありません。
税金を最も効率よく抑えながら、
人生後半の資産を最大化するために、
退職所得控除の活用は不可欠です。