Contents
- 1 ✔ 会社が社会保険料を削減できる場合がある
- 2 ✔ 従業員の採用・定着に強力な武器になる
- 3 ✔ 従業員の退職金制度として合理的に運用できる
- 4 ■ 1. 企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?
- 5 ■ 2. 企業型DCと iDeCo の違い
- 6 ■ 3. 企業型DCの掛金上限(2025年)
- 7 ■ 4. 企業型DCを導入するメリット(経営視点で徹底解説)
- 8 ✔ 会社が掛金を拠出した時点で会社の責任は完了
- 9 ✔ 運用結果は本人の自己責任
- 10 ✔ 退職金制度を明確化できる
- 11 ✔ 給与として支払うよりも、
- 12 ✔ DC掛金として支払ったほうが、
- 13 ✔ 会社も従業員も社会保険料が減る
- 14 ■ 5. 企業型DCのデメリット(導入時に注意すべき点)
- 15 ■ 6. 企業型DC導入の流れ(2025年)
- 16 ■ 7. 経営者が知っておくべき「企業型DC × iDeCo の併用」
- 17 ■ 8. 他の制度との比較(企業型DC・中退共・小規模企業共済)
- 18 ■ 9. まとめ:企業型DCは、採用・定着・財務・福利厚生すべてにプラス
- 19 ✔ 会社の退職金制度を明確化できる
- 20 ✔ 社会保険料の負担軽減につながる
- 21 ✔ 採用・定着に強力な武器
- 22 ✔ 従業員の金融リテラシー向上
- 23 ✔ 経営者も老後資産形成が可能
- 24 ✔ 制度導入は中小企業でも簡単になっている
──節税・退職金制度・採用力強化・経営安定化につながる“最強の企業年金制度”を徹底解説
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、
会社が従業員のために掛金を拠出し、
従業員が自ら運用する年金制度です。
制度自体は以前からありますが、
2025年現在、改めて経営者が注目すべき理由は次の3つです。
✔ 会社が社会保険料を削減できる場合がある
✔ 従業員の採用・定着に強力な武器になる
✔ 従業員の退職金制度として合理的に運用できる
そして近年、労働市場の流動化・採用競争の激化・福利厚生の多様化によって、
企業型DCは 「中小企業でも導入しないと不利になる制度」 になりつつあります。
本記事では、
経営者が企業型DCを理解し、
導入すべきかどうかを判断できるレベルまで、
わかりやすく丁寧に整理します。
■ 1. 企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?
企業型DCとは、
会社が従業員のために掛金を拠出し、
従業員がその掛金を投資信託などで運用し、
60歳以降に老後資金として受け取る制度です。
企業にとっては 退職金制度のひとつ と考えることができます。
◆ 企業型DCの特徴(ポイント)
-
掛金は会社が負担
-
従業員が自分で運用先を選ぶ(自己責任)
-
運用益は非課税
-
受け取る時も税制優遇あり
-
労務管理(退職金制度の明確化)がしやすい
-
中小企業でも導入しやすい制度設計になっている
従来の退職金制度(中退共など)と比べても管理がしやすく、
企業型DCは中小企業にとっても導入メリットが大きい制度です。
■ 2. 企業型DCと iDeCo の違い
以下の表が最も分かりやすい比較です。
| 制度 | 掛金負担 | 運用指示 | 節税効果 | 対象者 | 経営者への影響 |
|---|---|---|---|---|---|
| iDeCo(個人型) | 個人 | 個人 | 所得控除 | 個人で加入 | 経営者の資産形成向き |
| 企業型DC | 会社 | 個人 | 会社の経費化 | 従業員・役員 | 退職金制度・採用強化 |
◎ 経営者が両方利用できるケースも多い
企業型DCを導入しつつ、
役員・従業員が個人として iDeCo を併用することも可能です(条件あり)。
これは資産形成の面で非常に強力。
■ 3. 企業型DCの掛金上限(2025年)
企業型DCの掛金は会社が設定できますが、
法令により上限額が決まっています。
◆ 掛金上限(月額)
● 企業型DCのみ導入している場合
→ 月額55,000円(年額66万円)
● 企業型DC + iDeCo併用(従業員が加入可能)
→ 上限は企業の制度設計により
・月30,000円
・月20,000円
などに制限されるケースが多い。
掛金額の設定は、
企業の財務状況と退職金制度の設計方針に合わせて
自由度高く決めることができます。
■ 4. 企業型DCを導入するメリット(経営視点で徹底解説)
企業型DCが注目される最大の理由は、
企業側にも大きなメリットがあるから です。
◆ ① 退職金制度をシンプルに設計できる(会社のリスクが減る)
従来の退職金制度は、
-
在職年数
-
給与水準
-
勤続年数
-
賃金制度の変動
など、多くの変数で退職金額が不足するリスクがありました。
しかし企業型DCは、
✔ 会社が掛金を拠出した時点で会社の責任は完了
✔ 運用結果は本人の自己責任
✔ 退職金制度を明確化できる
という、会社にとって大きなメリットがあります。
企業にとっての「退職給付債務の抑制」にもなり、
財務上の見通しが極めて立てやすくなる。
◆ ② 社会保険料の負担が軽減されるケースがある
企業型DCの掛金は 給与扱いではない ため、
厚生年金・健康保険の対象外です。
つまり、
✔ 給与として支払うよりも、
✔ DC掛金として支払ったほうが、
✔ 会社も従業員も社会保険料が減る
という効果が期待できます。
中小企業にとって、
社員一人あたりの社会保険料負担は大きいですから、
これは非常に強力です。
◆ ③ 採用力・定着率が向上する(福利厚生として強い)
若手の採用市場では、
-
福利厚生の差
-
退職金制度の有無
-
将来への安心感
が強く求められています。
企業型DCは、
-
会社が老後資産形成を支援している
-
長く働くメリットがある
-
“退職金の見える化”ができる
という点で、採用力を強化します。
◆ ④ 従業員の金融教育につながる(長期視点の醸成)
従業員はDCの運用選択を通じて、
-
投資
-
長期積立
-
リスク管理
-
資産形成
などの金融リテラシーが高まります。
金融知識が高まると、
従業員のマネー不安が減り、
仕事に集中できるメリットがあります。
◆ ⑤ 経営者自身の退職金戦略として利用できる
企業型DCは従業員だけでなく、
会社役員も対象になります。
経営者は、
-
iDeCo
-
企業型DC
-
小規模企業共済
-
役員退職金制度
など複数制度を組み合わせることで、
老後資産の最適化が可能です。
■ 5. 企業型DCのデメリット(導入時に注意すべき点)
メリットが多い一方で、
以下のデメリットも理解しておく必要があります。
◆ ① 60歳まで引き出せない
これはiDeCoと同じ。
しかし、企業側からするとメリットでもある。
→ 「退職金の前払い防止」になる。
◆ ② 導入・運営に一定のコストがかかる
導入企業数が増えたことで費用は低下しているが、
-
導入費
-
管理費
-
運用サポート費
などが発生します。
◆ ③ 運用結果が個人に委ねられる
従業員によっては「投資が怖い」という声もある。
教育やサポート体制の整備が必要。
◆ ④ 制度変更時に従業員説明が必要
規程変更や掛金額の見直しなどは、
従業員と丁寧なコミュニケーションが必要。
■ 6. 企業型DC導入の流れ(2025年)
導入は以下のステップで行います。
-
制度設計(掛金額、対象範囲、マッチング拠出など)
-
労使合意(就業規則への記載)
-
金融機関選定
-
導入手続き
-
運用商品の選択・従業員説明
-
事務運用開始
近年は 中小企業向け簡易型DC も増えており、
導入ハードルは大幅に下がっています。
■ 7. 経営者が知っておくべき「企業型DC × iDeCo の併用」
企業型DCを導入しても
個人として iDeCo に加入できるケースは多いです。
-
マッチング拠出あり → iDeCo加入不可
-
マッチング拠出なし → 条件付きでiDeCo加入可
経営者自身の老後資産形成を最適化するために、
併用可否のルールを理解することが重要です。
■ 8. 他の制度との比較(企業型DC・中退共・小規模企業共済)
企業型DCは、
次のような制度と比較されます。
| 制度 | 税制優遇 | 社保負担 | 引出時期 | 誰が対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 企業型DC | 高い | 掛金は社保対象外 | 60歳 | 全従業員・役員 | 退職金制度+採用力向上 |
| 中退共 | 中程度 | 対象 | 退職時 | 従業員 | 伝統的な退職金制度 |
| 小規模企業共済 | 高い | 対象外 | 廃業・退任 | 経営者のみ | 経営者専用の退職金制度 |
企業型DCは「従業員向けの退職金制度」として、
現代の企業に最も適した仕組みと言える。
■ 9. まとめ:企業型DCは、採用・定着・財務・福利厚生すべてにプラス
最後に、企業型DCの本質をまとめます。
✔ 会社の退職金制度を明確化できる
✔ 社会保険料の負担軽減につながる
✔ 採用・定着に強力な武器
✔ 従業員の金融リテラシー向上
✔ 経営者も老後資産形成が可能
✔ 制度導入は中小企業でも簡単になっている
企業型DCは 企業価値を高める制度 であり、
今後、導入する企業が急増することは間違いありません。
企業の成長フェーズに応じて、
「いつ導入するか」
「掛金をどう設計するか」
「iDeCoや小規模企業共済とどう組み合わせるか」
を検討することが、
経営者にとってきわめて重要な意思決定になります。