【2025年最新版】経営者が必ず知っておくべき「在職老齢年金」──働きながら年金を受け取る時代の“減額・全額停止制度”を完全解説

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経営者にとって、年金制度は「会社員のための制度」という印象が強く、“自分には関係ない” と感じがちな分野です。しかし、2025年の今、企業経営者・自営業の社長・役員であっても、公的年金は 老後資金の“最も確実な収入源” であり、その受給制度を理解しておくことは経営戦略の一部と言っても過言ではありません。

特に重要なのが 在職老齢年金制度

これは、

  • 働きながら年金を受け取る人

  • 会社役員として給与を受け取りつつ年金を受給する人

  • 高齢になっても事業継続する経営者

が対象となる制度で、

「働きつつ年金を受給する際に、給与額に応じて年金が減額・全額停止される仕組み」です。

2025年現在、労働環境や人口構造の変化により制度改正が続いており、
特に経営者は 在職中に年金の何%がもらえるのか?減額になるのか?
を理解しておかないと、

  • 老後資金の不足

  • 相続時の財産計画の乱れ

  • 役員報酬設定のミス

  • 不要な年金停止

につながりかねません。

今回は、2025年時点の最新情報を基に、
経営者が押さえておくべき「在職老齢年金の減額・全額支給停止制度」を
徹底的にわかりやすく解説します。


Contents

1. 在職老齢年金とは何か?【2025年時点の定義】

まずは制度の基本から整理します。


■ 在職老齢年金とは

「年金を受け取りながら働くと、給与+年金の合計額に応じて年金の一部または全部が減額される制度」


ここで大事なのが

  • “働くと減らされる”

  • “働くほど損をする”

というイメージを持つ人が多いことですが、
実際はそう単純ではありません。

経営者・役員の場合、

  • “給与や役員報酬”

  • “事業所得”

  • “賞与”

  • “勤務形態”

などが複雑に絡むため、正確な仕組みを理解する必要があります。

2025年時点での制度概要は次の通りです。


2. 在職老齢年金は「2つの制度」に分かれる(2025年版)

在職老齢年金は、次の2種類に分類されます。


① 65歳未満の在職老齢年金(特に注意)

基準額:給与+年金の合計が「28万円」を超えると減額


② 65歳以上の在職老齢年金

基準額:給与+年金の合計が「47万円」を超えると減額


2025年現在、この基準額は重要ポイントです。


3. 実際にどうやって減額されるのか?(計算式をシンプルに解説)

経営者でも理解しやすいように“シンプル計算式”で説明します。


■ 65歳未満の場合

基準額:28万円

計算式は次の通り。


(給与+賞与の月換算額+年金)-28万円

→ この超過額の「1/2」が年金から減額される


例:

給与30万円
厚生年金8万円
合計38万円 → 基準28万円を10万円超過

→ 10万円 ÷ 2 = 5万円減額

→ 本来8万円受給 → 3万円支給


■ 65歳以上の場合

基準額:47万円


(給与+賞与の月換算額+年金)-47万円

→ 超過額の「1/2」減額


同様に、役員報酬が高すぎると「年金ゼロになる」ことも普通に起こります。


4. 経営者が注意すべき5つのポイント(ここが最重要)

在職老齢年金は、会社員よりも 事業主や役員の方が複雑になります。

以下に経営者が必ず押さえるべきポイントをまとめます。


① 役員報酬が高い=年金がほぼゼロになる可能性がある

65歳以上でも、役員報酬が月50万円以上あると、
ほぼ確実に年金支給額はゼロになります。

しかし、ここが誤解されがちなのですが…


■ 年金が「減額」されるのは“その年だけ”

■ 将来の年金額が減るわけではない


つまり「損していない」のです。

これは経営者が最も誤解しやすい点。


② 役員報酬の設定で年金受給額が変わる

経営者は自分で役員報酬を決められます。

  • 47万円を大きく超える報酬
    → 年金ゼロ

  • 47万円ギリギリ
    → 年金を最大限もらえる

  • 報酬を意図的に抑える
    → 年金増える&会社の社会保険料が下がる

という戦略的なコントロールが可能です。


③ 65歳以上でも雇用保険を払うケースでは給付との調整が必要

特に「高年齢雇用継続給付」との併用は複雑です。

2025年の制度では、
給付と在職老齢年金が“両方減額される”場合があります。


④ 事業所得だけでは減額されない(役員報酬とは別)

経営者の多くが誤解しているのがここ。


■ 事業所得(個人事業の利益)は対象外

■ 減額に関係するのは「給与・役員報酬・賞与」


つまり、
「利益は大きいが自分への役員報酬を低めに設定している」
場合は、年金を満額受け取れるケースがあります。


⑤ 年金の“停止”は意外と損ではない

「働いたら年金止められた…損した」と考える人がいますが、それは誤解です。

在職老齢年金の停止は

  • 受給資格を失うわけではない

  • 将来の年金額が減るわけではない

  • 停止分が“穴”になるわけでもない

つまり 長く働くほど、将来の年金額はむしろ増える 仕組みになっています。


5. 経営者がやるべき“在職老齢年金の最適化戦略”

では、経営者はこの制度をどう活用すればよいか?

具体的な戦略を紹介します。


■ 戦略①:役員報酬・給与額のコントロール

“47万円ライン”を把握して
「もらえる年金」と「必要な給与」のバランスを取ることが大切。

特に、自分の生活費・事業資金・税金を考慮して、
役員報酬の設定は慎重に行う必要があります。


■ 戦略②:70歳まで働く場合の年金増額を計算する

在職中の減額があっても、
70歳まで厚生年金に加入し続けると年金額は増えます。

経営者の場合は70歳以上も働くことが多いので、


「減額よりも、長く働くことで受け取る総額の方が増える」


というケースが多い。


■ 戦略③:事業所得と役員報酬のバランスを最適化

事業所得(個人事業主利益)は減額に関係しないため、

  • 法人と個人の比率

  • 自分への報酬額

  • 会社利益の蓄積

などを見直すことで、
“年金を最大限取りながら働く”ことも可能。


■ 戦略④:相続まで視野に入れた老後資金戦略

在職老齢年金は「老後資金の入り口」に過ぎません。

経営者は以下を統合的に考える必要があります。

  • 公的年金

  • 私的年金(iDeCo・基金)

  • 不動産収入

  • 事業所得

  • 退職金

  • 会社の売却益(M&A)

これらをどう組み合わせるかで、
老後のキャッシュフローも相続設計も大きく変わります。


6. 経営者が知るべき最新情報:2025年以降の制度改正の方向性

政府は次のような方向で制度改正を進めています。

■ ① 65歳未満の基準額“28万円”の引き上げ議論

働くシニアが増えているため、
「もっと働けるようにする」方向で調整が進んでいます。

■ ② 70歳以上の加入義務議論

厚生年金加入年齢の引き上げ議論が継続中。

■ ③ 年金制度全体の改革

少子高齢化により、年金支給の見直しが続く見込み。

経営者は毎年最新情報をチェックする必要があります。


7. まとめ:経営者は「働きながら年金をどう受け取るか」が資産戦略の重要テーマになる

日本の人口構造は、

  • 長く働くのが当たり前

  • 70歳以上の就労が普通

  • 経営者はほとんどが引退しない

という方向に動いています。

その中で、
在職老齢年金の減額・全額停止制度を理解しているかどうか
は、老後資金だけでなく、事業継続・相続戦略に大きく影響します。


◎ 経営者こそ、在職老齢年金の知識が必要

◎ 報酬設定次第で受給額が大きく変わる

◎ 在職中の減額は損ではない

◎ 働き続ければ年金額はむしろ増える

◎ 相続まで考えるなら制度理解は必須


将来の資産の柱をつくるためにも、
経営者自身のキャッシュフロー戦略の一部として、
在職老齢年金制度を活用してください。

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