【離職率激減の秘密】部下が上司を選ぶ「逆指名人事制度」とは?中小企業も導入できる方法を徹底解説!

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はじめに:なぜ今「上司ガチャ」が問題なのか

近年、多くの若手社員が入社後3年以内に会社を辞める「早期離職」が大きな課題となっています。厚生労働省のデータによれば、2021年卒の新卒社員の3年以内離職率は35%にものぼり、その理由の多くは「上司との相性」だと言われています。
SNSでも「上司ガチャに外れた」という表現が使われるほど、上司と部下の関係は離職を左右する重要な要素になっているのです。

そこで注目されているのが、「部下が上司を選ぶ制度」、いわゆる逆指名制度です。本記事では、この劇薬的人事制度の仕組み、メリットとリスク、そして中小零細企業が導入するための具体的な方法について詳しく解説します。


1. 部下が上司を選ぶ制度の概要

この制度は、単純に言えば「社員が自分の上司を選べる仕組み」です。具体的には次のような特徴があります。

  • 上司ごとの「通信簿」が作成され、人柄・能力・得意不得意が○△×で示される

  • 部下は年に一度、自分が希望する上司を選び、異動希望を出せる

  • 選ばれなかった上司は部下ゼロになる可能性もある

この仕組みを導入した企業の一つが札幌のさくら構造。同社では、導入前の離職率が11.3%だったのに対し、導入後はわずか0.9%にまで低下しました。


2. 具体的な導入事例

制度の実践例を見てみましょう。

  • さくら構造(札幌):室長7人の中から部下が選ぶ方式。導入後に離職率が劇的に改善。

  • 平成建設(静岡):創業当初から「上司は部下が選ぶ」というCL制度を導入。

  • 赤城乳業(埼玉):部下による上司評価シートを年1回提出し、社長・役員がチェック。

  • ドクターストレッチ:上司選挙イベントを開催。候補者が演説し、部下が投票で選出。

これらの事例に共通するのは、「部下の声を人事制度に反映させる仕組み」を整備した点です。


3. メリット:なぜ離職率が下がるのか?

この制度を導入すると、次のようなメリットが得られます。

  • 上司と部下の相性ミスマッチが減る

  • 部下が「自分で選んだ」という意識を持ち、主体性が向上

  • 上司が「選ばれる立場」として成長意欲を高める

  • 結果として離職率が低下し、人材定着につながる

特に中小企業にとって、採用コストを抑えて人材を定着させることは死活問題。離職率の改善は、経営に直結する大きな効果をもたらします。


4. デメリット・リスク

一方で、注意しなければならないリスクもあります。

  • 上司が「嫌われない」ことを優先し、指導力が低下する

  • 人気投票化して、実力不足の人物が選ばれる可能性

  • 公平性や成果主義とのバランスが崩れるリスク

そのため、導入にあたっては「制度をそのまま真似する」のではなく、会社の規模や文化に合った形にアレンジする必要があります。


5. 中小零細企業が導入する際のステップ

中小企業がいきなり「総選挙」型の上司選択を導入するのは現実的ではありません。まずは段階的に取り入れることをおすすめします。

  1. 匿名アンケートで上司に関する意見を収集する

  2. 経営層からフィードバックを実施し、改善点を共有

  3. 年1回、異動希望ヒアリングを行い、配置に反映する

  4. 部署限定で試験的に上司選択制を導入

このように段階を踏むことで、制度の定着と効果測定がしやすくなります。


6. 成功のポイント

成功させるためのカギは、次の3つです。

  • 「人気投票」ではなく信頼投票にする仕組みづくり

  • 上司の教育・育成をセットで行う

  • 360度評価など多面的な評価制度と組み合わせる

さらに、経営者自身も「社員に選ばれている意識」を持つことで、組織文化そのものが変わっていきます。


7. 具体的な中小企業での応用例

例えば従業員30名規模の製造業なら、まずは「上司通信簿」を作成し、部下が自由に評価できる仕組みを導入。その結果を上司にフィードバックし、改善策を考えることで「上司改善制度」として活用できます。
また、飲食業やサービス業のように人材の流動性が高い業界では、異動希望を柔軟に取り入れることで「働きやすさ」を提供でき、定着率アップにつながります。


まとめ:上司ガチャを終わらせるか?

「部下が上司を選ぶ制度」は、劇薬的でありながら効果的な人事制度です。

  • 離職率の改善

  • 組織の透明性向上

  • 上司の成長促進

といった効果が期待でき、中小企業でもアレンジ次第で十分導入可能です。

最後に問いかけです。
「あなたの会社では、部下に選ばれる上司になれていますか?」

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