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はじめに:「賞与の給与化」が日本企業を変える
2025年、中小企業経営者にとって見逃せない報道が相次ぎました。
ソニー、バンダイ、大和ハウスといった日本を代表する大企業が「賞与の一部または全部を月給に組み込む=賞与の給与化」を実施したのです。
これは単なる給与体系の話に留まりません。
年功序列の崩壊、成果主義への転換、雇用慣行の見直し…
多くの変化の“引き金”となる可能性があります。
そしてこの流れは、やがて中小企業にも影響を及ぼします。
本記事では、「賞与の給与化」が何を意味し、なぜ今注目されているのかを解説するとともに、中小企業経営者が今すぐすべき対応策を提案します。
第1章:大企業が賞与を給与に組み込む理由とは?
◆ ソニーの報酬改革:冬の賞与廃止
2024年末、ソニーが一部社員の冬の賞与を廃止し、月給に移行する方針を発表しました。
背景には、すでに導入されている「ジョブグレード制(職務等級制度)」があり、役割・責任に応じた給与体系を強化するためとされています。
◆ バンダイ:賞与一部を給与へ
2025年、バンダイは一部賞与を固定給与へ移行し、初任給30万円という大胆な数値を掲げました。
これは採用市場での訴求力を強めるためとされています。
◆ 大和ハウス:月給増額、賞与比率調整
住宅大手の大和ハウスも、月給に比重を移し、賞与依存を減らす方向性を示しました。
第2章:「賞与=ボーナス」ではもうない時代へ
■ そもそも賞与とは?
もともと賞与(ボーナス)は「臨時報酬」であり、企業の利益の一部を還元するものでした。
しかし、現代では「賞与ありき」でライフプランを組む人が多く、実質的には給与の一部のように扱われています。
■ 賞与を給与化する企業の狙い
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採用力を高める:月給が高く見えることで求人の目を引く
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若手人材の転職リスクを下げる:賞与制度があると転職タイミングが限定されがち
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人件費の平準化:業績連動報酬を減らし、計画的な人件費管理が可能に
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成果主義への移行:賞与という“ご褒美型”報酬から、業績連動・責任連動の制度へ
第3章:賞与の給与化がもたらすメリット・デメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
経営側 | ・人件費計画が立てやすい ・評価制度と連動しやすい |
・固定費増により赤字リスク増 ・インセンティブ設計が難しくなる |
従業員側 | ・収入が安定する ・転職時の損失が少ない |
・“ボーナス感”が薄れる ・モチベーション低下の可能性 |
このように、給与化は単純な“良し悪し”ではなく、経営戦略に沿った制度設計が不可欠なのです。
第4章:中小企業が今すぐ見直すべきポイント
◆ ① 給与の「見せ方」を工夫する
求人における月給表示や、年収の内訳をどう見せるかで印象が変わります。
実際の月収が高く見えるよう、インセンティブを含めたモデル提示が有効です。
◆ ② 賞与の位置づけを明文化する
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「どのような基準で支給されるのか」
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「何をすれば評価されるのか」
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「何割が固定/変動なのか」
このように曖昧になりがちな“賞与の基準”を、明文化し共有しましょう。
◆ ③ 評価制度を整備する
ソニーや大和ハウスが行っているような「ジョブグレード制」までは難しくとも、役割・責任に応じた評価指標の整備は重要です。
中小企業こそ、「社長の勘と感情」ではなく、仕組みで人を評価する文化が求められています。
第5章:中小企業の“制度疲労”を防ぐ3つのヒント
✅ 社員が納得できるルールを作る
給与・賞与・昇格がすべてブラックボックスだと、どんなに待遇が良くても人は辞めます。
✅ 「等級=役割」を明確にする
ポスト数に限りがあっても、責任範囲や期待役割を設定することで、評価の軸が生まれます。
✅ 「思い」だけでは人はついてこない
理念・想い・覚悟があるのは当然。それを“制度”に落とし込む努力が経営者には必要です。
経営者のあなたへ:制度設計は“攻め”の経営の第一歩
今回の賞与給与化の波は、一部の大企業だけの話ではありません。
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今後さらに採用が難しくなる
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若手人材の価値観が大きく変わる
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「給与が全て」ではなく「納得感」が重視される
そんな時代に、制度疲労を起こしている中小企業が生き残るには、「報酬制度の再構築」が急務です。
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まとめ:報酬制度を見直すのは“今”がチャンス
「ウチは中小企業だから関係ない」
そう思っていたら手遅れになります。
賞与の給与化という変化の波は、“制度の見直し”という重要テーマを中小企業にも突きつけています。
この機会に、あなたの会社も報酬制度の棚卸しをしてみてはいかがでしょうか?