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■はじめに:なぜ「組織戦略」が重要なのか?
中小企業においても「組織戦略」は大企業と同じくらい、いや、それ以上に重要です。
なぜなら、経営資源が限られる中小企業こそ、「人」と「組織の動かし方」が成否を大きく左右するからです。
売上を上げる、サービスを強化する、コストを下げる…。そのすべては「人」が実行します。
つまり、戦略を描くだけではなく、それを組織で動かす仕組み=「組織戦略」が不可欠なのです。
■組織戦略とは何か?シンプルに言うと…
組織戦略とは、「会社の目標を実現するために、人をどのように配置・育成・評価・報酬し、組織をどのように機能させるか?」を定める方針のことです。
もっとわかりやすく言えば、
「どんな人材に、どんな役割を与え、どう育て、どう活躍してもらうか?」という考え方の地図です。
■組織戦略の基本ステップは5つ
中小企業の社長が押さえておくべき「組織戦略」づくりの5つの基本ステップは以下の通りです。
① 経営戦略と組織の整合性をとる
まず大前提として、「経営戦略」ありきです。
たとえば、以下のような問いを立ててください:
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今後3年で何を実現したいのか?
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どんな事業で成長したいのか?
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どの顧客に何を売るのか?
これらに対して、
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「その実現のために、どんな人材・チーム体制が必要か?」
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「既存の体制で足りないものは何か?」
を明らかにしていくことが出発点になります。
② 必要な組織の構造(組織図)を設計する
経営戦略に沿った組織体制を考えます。重要なのは次の2点:
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「役割」と「責任」が明確に分かれているか?
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社長が全ての判断をしていないか?
中小企業では、「なんでも社長に聞かないと決められない」組織がよく見られます。
これではスピードが遅く、部下も育ちません。
小さくても、営業・管理・製造・開発などの機能単位で役割と責任を切り分ける組織設計を行いましょう。
③ 人材要件と採用・育成方針を定める
組織が決まったら、そこに必要な人材像を描きます。
例:
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営業には提案型のスキルと対話力
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管理部門には数値の扱いと正確性
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開発には粘り強さと発想力
それに応じて採用・育成・研修の方針も決まります。
中小企業では「どんな人でもOK」という採用が後々のトラブルを招くこともあります。
④ 評価制度と報酬制度を連動させる
人材を活かすためには、評価・報酬制度が不可欠です。
ありがちなのは、「頑張っても報われない」「評価が曖昧でモチベーションが下がる」といった声。
以下のようなポイントをおさえて設計します。
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成果(数字)だけでなく、プロセス(行動)も評価
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役割に応じた明確な期待と目標設定
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評価に基づいた昇給・賞与・昇格の仕組み
特に成長段階では、数値7割+行動評価3割のようなバランスが効果的です。
⑤ 組織文化・価値観の浸透
意外と軽視されがちなのが「組織文化」です。
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「うちはスピード重視の文化です」
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「チームワークが大事だと考えています」
など、日々の言動や社内コミュニケーション、評価、社内表彰などを通じて、組織の価値観や文化を浸透させていくことで、社員が同じ方向を向いて動けるようになります。
■中小企業の「組織戦略あるある」失敗例
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✅ 組織図がなく、誰が何をしているのか不明瞭
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✅ すべて社長判断、部下が育たない
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✅ 評価があいまいでやる気が出ない
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✅ 離職が続く、採用が定着しない
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✅ 業績が伸びても組織がついてこない
これらは、戦略がないことではなく、「組織戦略」がないことが原因の場合がほとんどです。
■組織戦略を成功させる3つのコツ
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まずは“組織図”を見直すことから始める
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評価・報酬のルールを“シンプルに”整備する
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理念や価値観を“言語化”し、全員に共有する
■まとめ
組織戦略は、大企業だけのものではありません。
中小企業こそ、「人材が財産」であり、「仕組みで動く会社」へと進化するために、組織戦略の考え方が欠かせません。
まずは、社長ご自身が「どんな組織をつくりたいか?」を言語化するところから始めてみてください。
そこから採用・育成・評価・体制が整っていきます。
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