高年齢労働者の安全確保と職場環境の改善を目的とした「エイジフレンドリー補助金」。令和7年度(2025年度)の最新情報が公開されました。本記事では、制度の概要から対象となる取り組み内容、申請の注意点までを詳しく解説します。
Contents
エイジフレンドリー補助金とは?
エイジフレンドリー補助金とは、60歳以上の高年齢労働者が安心・安全に働ける職場環境の整備を目的とし、機器導入や職場改善、専門家による指導等の取り組みにかかる費用を国が補助する制度です。厚生労働省が主導し、一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会が運営を担います。
補助金の申請期間と対象事業者
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申請受付期間: 令和7年5月15日 ~ 令和7年10月31日(当日消印有効)
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支払請求期限: 令和8年1月31日
対象となる中小企業の定義
業種 | 労働者数 | 資本金等 |
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小売・飲食業等 | 50人以下 | 5,000万円以下 |
医療・福祉・教育等 | 100人以下 | 5,000万円以下 |
卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
その他業種 | 300人以下 | 3億円以下 |
※いずれか一方の要件を満たせばOK
4つの補助コースと内容
1. 総合対策コース【補助率4/5、上限100万円】
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対象: 60歳以上の労災保険適用労働者が常時1名以上
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内容:
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労働安全衛生の専門家によるリスクアセスメント
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アセスメント結果に基づく機器導入・設備工事
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申請フロー:
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リスクアセスメント申請・実施
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改善対策の申請・実施
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経費精算・補助金請求
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2. 職場環境改善コース【補助率1/2、上限100万円】
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対象: 同上
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内容:
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転倒・墜落・重量物取扱・熱中症・介護負担軽減などへの対策
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具体例:
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手すり設置、高所作業台、防滑マット、パワーアシストスーツ、スポットクーラー、体温管理デバイス 等
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3. 転倒防止・腰痛予防の運動指導コース【補助率3/4、上限100万円】
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対象: 労災保険適用の労働者が常時1名以上かつ、役員を除く5名以上の労働者が対象
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内容:
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理学療法士等の専門家による身体機能チェック・運動指導(対面限定)
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4. コラボヘルスコース【補助率3/4、上限30万円】
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対象: 同上
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内容:
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健診結果に基づく健康教育(禁煙指導・メンタルヘルス対策等)
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健康管理システムの導入(初期費用のみ)
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注意点・申請時のポイント
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交付決定前の発注・支払はNG!
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必ず交付決定通知書が届いた後に機器発注・指導契約を開始。
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複数コースの同時申請は不可
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年度内で1事業者1申請まで。過去に同一内容で採択された事業は再申請できません。
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機器購入・設置は“誰のためか”が重要
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高年齢労働者が直接使用・恩恵を受ける設備である必要があります。
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支払方法に制限あり
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現金、振込のみ。手形やローン支払いは対象外。
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対象外となる主な設備例
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エアコン、トイレ改修、照明交換、業務用パソコン・タブレット、事務室設備
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おすすめの活用ケース
業種 | 活用例 |
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製造業 | リフト導入で重量物運搬の負担軽減 |
建設業 | 高所作業台の導入、滑り止め施工 |
介護施設 | 入浴補助用機器の導入、移乗支援 |
運送業 | 踏み間違い防止装置の導入 |
飲食業 | 厨房の滑り止めマット、休憩室へのスポットクーラー |
まとめ:高年齢労働者の安全対策は経営の質を高める投資
人手不足が深刻化するなか、高年齢者の雇用はますます重要になります。「エイジフレンドリー補助金」は、単なる費用補填ではなく、職場全体の生産性と安全性を高めるチャンスです。
申請には、具体的なリスク評価と対策の整合性が求められます。制度を正しく理解し、活用することで、高年齢労働者が長く安心して働ける環境を整備していきましょう。