期限の利益の喪失事由とは?企業経営者が知っておくべきリスクと対策を徹底解説!

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1. はじめに

「期限の利益の喪失」 という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは企業が借入やリース契約などで 「一定の条件を満たせなくなった場合に、期限付きで認められていた支払猶予がなくなる」 という意味です。

もし期限の利益を喪失すると、債務の即時弁済を求められるリスクがあるため、資金繰りに大きな影響を与えます。

本記事では、
期限の利益とは何か?
どのような事由で期限の利益を喪失するのか?
期限の利益を喪失した場合の影響と対策

を分かりやすく解説します。


2. 期限の利益とは?

2-1. 期限の利益の基本的な考え方

企業が銀行から融資を受ける場合、通常は分割払いの契約が結ばれます。

例えば、「毎月100万円を5年間で返済する」 という契約があった場合、
契約通りに返済している間は、残債を即時返済する義務はない
しかし、契約違反があると、全額を一括請求される可能性がある

この 「分割払いが認められる権利」「期限の利益」 といいます。


2-2. 期限の利益を喪失するとどうなる?

企業が 期限の利益を喪失すると、次のような影響を受ける可能性があります。
借入金やリース契約が一括請求される
金融機関との信用が低下し、新たな融資が困難になる
他の取引先からの信用も低下し、取引条件が悪化する
場合によっては倒産のリスクが高まる


3. 期限の利益の喪失事由とは?

契約違反が発生すると、金融機関や取引先は 契約に基づき「期限の利益の喪失」を通知することができます。

以下、代表的な期限の利益の喪失事由 を解説します。


3-1. 支払いの遅延(債務不履行)

最も一般的な喪失事由は、借入金の返済やリース料の支払いの遅延です。

金融機関は契約書に基づき、一定回数の支払い遅延が発生した場合に期限の利益を喪失させることができます。

例:3回以上の支払い遅延が発生した場合
例:1回の大幅な遅延が発生し、督促に応じない場合


3-2. 担保の価値の著しい低下

金融機関から融資を受ける際、担保として不動産や有価証券を提供するケースがあります。

しかし、担保の価値が急激に下落した場合、金融機関は契約違反と判断し、期限の利益を喪失させることがあります。

例:担保に設定していた不動産の価格が大幅に下落した
例:担保に設定されていた株式が急落し、担保価値を下回った


3-3. 破産・民事再生・事業再生の申し立て

会社が破産手続きを開始した場合、通常は 契約上の期限の利益を喪失 することになります。

例:会社が民事再生法の適用を申し立てた場合
例:倒産手続きが開始された場合


3-4. 財務状況の著しい悪化

金融機関は、融資先の財務状況をチェックしています。

資金繰りが悪化し、支払い能力に疑問が生じた場合
貸借対照表の自己資本比率が著しく低下した場合
主要取引先が倒産し、収益が大幅に減少した場合

このような場合、金融機関は契約を解除し、期限の利益を喪失させる可能性があります。


3-5. 会社の合併・事業譲渡など

事業の売却や合併など、大きな組織変更が発生した場合
取締役の変更や経営方針の変更が金融機関の想定と大きく異なる場合

契約上、事前の金融機関の承認が必要な場合があり、違反すると期限の利益を喪失することになります。


4. 期限の利益を喪失しないための対策

企業経営者として、期限の利益を喪失しないためには、以下のような対策が必要 です。

資金繰り計画を徹底し、債務返済の遅延を防ぐ
金融機関と密に連携し、財務状況の悪化を早めに相談する
担保に依存せず、企業の財務健全性を高める
破産や民事再生のリスクを回避するための経営戦略を持つ


5. まとめ

「期限の利益」とは、企業が借入金や契約を分割払いできる権利のこと
支払い遅延・財務悪化・担保価値の低下などにより、期限の利益を喪失することがある
期限の利益を喪失すると、債務が即時一括請求される可能性があるため、慎重な資金管理が必要
定期的な財務チェックと金融機関との良好な関係構築が、リスク回避の鍵

企業経営者として、期限の利益の喪失リスクを理解し、適切な経営管理を行うことが、財務健全性を保つ重要なポイント となります。

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