ものづくり補助金の「グローバル枠」は、中小企業・小規模事業者が海外事業(海外直接投資、輸出、インバウンド対応、海外企業との共同事業)を通じて国内拠点の生産性を高める取組を支援するものです。
以下にその概要を整理して解説します。
Contents
1. 対象となる4つの海外事業(グローバル要件)
グローバル枠に申請する場合、以下のいずれかの事業に該当し、国内拠点の生産性を向上させる必要があります。
- ① 海外への直接投資に関する事業: 国内本社と海外拠点が一体となってグローバルな製品・サービス開発体制を構築し、国内生産性を高める事業。
- ② 海外市場開拓(輸出)に関する事業: 製品・サービスの開発・改良やブランディング、新規販路開拓等により、海外市場を開拓する事業。
- ③ インバウンド対応に関する事業: 製品・サービス開発により、訪日外国人の需要を獲得する事業。
- ④ 海外企業と共同で行う事業: 外国法人との共同研究や共同事業開発により、新たな成果物を生み出す事業。
2. 補助金額・補助率・実施期間
- 補助上限額: 3,000万円(補助下限額は100万円)。
- 補助率: 中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者は2/3。
- 補助事業実施期間: 交付決定日から12か月以内(ただし、採択発表日から14か月後の日まで)。
3. 主な要件(基本要件 + グローバル枠追加要件)
グローバル枠では、通常の「基本要件」に加えて、「グローバル枠追加要件」を満たす必要があります。
基本要件(共通)
- 付加価値額: 年平均成長率(CAGR)3.0%以上増加の計画。
- 給与支給総額: 1人あたり給与支給総額を年平均成長率3.5%以上増加。
- 事業所内最低賃金: 地域別最低賃金より+30円以上の水準。
- 仕事・子育て両立: 従業員21名以上の場合、一般事業主行動計画の策定・公表。
グローバル枠追加要件
- 実現可能性調査 (F/S): 市場調査や規制調査などの実施。
- 専門性の確保: 社内に海外事業の専門人材を有するか、外部専門家と連携すること。
- 具体的な事業別要件: 例えば「輸出」の場合は製品等の販売先の1/2以上が海外顧客であることや、「直接投資」の場合は国内拠点でも50万円以上の設備投資を行うことなどの詳細ルールがあります。
4. 補助対象経費
必須となる機械装置・システム構築費のほか、技術導入費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費が対象です。 また、海外市場開拓(輸出)に関する事業に限って、以下の経費も認められます。
- 海外旅費(1人あたり最大50万円、最大5名まで)
- 通訳・翻訳費(最大30万円まで)
- 広告宣伝・販売促進費(ブランディング・プロモーション等)
5. 審査のポイント(グローバル枠特有の視点)
書面審査では、通常の項目に加えて以下の点が評価されます。
- 海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか。
- 事前の市場調査分析が十分か。
- 国内の地域経済への寄与や、将来的な国内需要・雇用の創出が見込まれるか。
- マーケティング戦略(ブランディング・プロモーション等)が具体的か。
6. スケジュール(第23次公募)
- 電子申請受付: 2026年4月3日 17:00〜
- 申請締切: 2026年5月8日 17:00(厳守)
- 採択発表: 2026年8月上旬頃予定
申請には、GビズIDプライムアカウントの取得が必須となりますので、早めの準備が推奨されます。
海外市場開拓(輸出)に関する事業
ものづくり補助金のグローバル枠における「海外市場開拓(輸出)に関する事業」の具体的な要件は、以下の通りです。
1. 事業内容の定義
海外展開を目的とし、製品・サービスの開発・改良、ブランディングや新規販路開拓等に取り組む事業を指します。
2. 具体的な達成要件
以下の条件をすべて満たす事業計画である必要があります。
- 国内拠点の関与: 日本国内に補助事業の実施場所を有していること。
- 販売先の割合: 製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となること。
- 売上目標: 事業計画期間中の補助事業の売上累計額が、補助金額を上回ること。
3. グローバル枠共通の追加要件
輸出事業特有の要件に加え、グローバル枠として以下の要件も満たす必要があります。
- 実現可能性調査(F/S)の実施: 市場調査や現地規制調査など、海外事業の実現可能性を判断するための調査を事前に行うこと。
- 専門人材の確保: 社内に海外事業の専門人材を有するか、または外部の専門家と連携する体制を整えること。
4. 提出が必要な書類
- 応募申請時: 事前のマーケティング調査に基づき、想定顧客が具体的に分かる「海外市場調査報告書」を提出する必要があります。
- 実績報告時(事業終了時): 想定顧客による試作品等の「性能評価報告書」を提出する必要があります。
5. 輸出事業のみ認められる補助対象経費
通常の機械装置費等に加え、海外市場開拓(輸出)に関する事業に限り、以下の経費も補助対象となります。
- 海外旅費: 海外渡航や宿泊に要する経費(1人あたり最大50万円、最大5名まで)。
- 通訳・翻訳費: 事業遂行に必要な通訳や翻訳の経費(最大30万円まで)。
- 広告宣伝・販売促進費: 海外展開のためのパンフレット作成、動画、展示会出展、ブランディング・プロモーション費用など。
なお、これらは「基本要件」(付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加など)に追加される要件となります。
海外直接投資に関する事業
ものづくり補助金の「グローバル枠」における「海外直接投資に関する事業」の具体的な要件は、以下の通りです。
1. 事業の定義と目的
この事業は、国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めることを目的としています。
2. 主な申請要件(グローバル要件①)
以下のすべてを満たす必要があります。
- 実施場所の要件: 日本国内に本社および補助事業の実施場所を有していることに加え、海外にも補助事業の実施場所を有していることが必要です,。
- 補助対象経費の配分: 補助対象経費の2分の1以上が、以下のいずれかに充てられる必要があります,。
- 海外支店の補助対象経費。
- 海外子会社(補助事業者が発行済株式の半数以上または出資額の2分の1以上を所有する国外会社)への外注費(開発・試作にかかる業務等)。
- 海外子会社に貸与する機械装置・システム構築費。
- 国内拠点での設備投資: 国内の補助事業実施場所においても、海外事業と一体的な単価50万円(税抜き)以上の機械装置等を取得(設備投資)しなければなりません。
3. 実現可能性と専門性の確保(共通要件)
グローバル枠共通の要件として、以下の対応が必須です。
- 実現可能性調査(F/S)の実施: 市場調査や現地規制調査、取引先の信用調査など、海外事業の実現可能性を判断するための調査を事前に行う必要があります。
- 体制の整備: 社内に海外事業の専門人材を有するか、あるいは外部専門家と連携する体制を構築していることが求められます。
4. 提出が必要な書類
- 応募申請時: 海外子会社等の事業概要、財務諸表、株主構成が分かる資料を提出する必要があります,,。
- 実績報告時(事業終了時): 海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書の提出が求められます。
5. その他の留意事項
- 海外子会社に機械装置等を貸与する場合や、経費総額の過半を海外子会社に外注する場合、その価格が市場価格から乖離していると移転価格税制などの税制上の検討が必要になる可能性があるため、注意が必要です。
- 国内の主たる実施場所における「基本要件」(付加価値額の向上や賃上げ要件など)も、通常通り満たす必要があります。