【2025年版】キャリアアップ助成金とは?正社員化・処遇改善で最大120万円!最新制度を徹底解説

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はじめに

日本の労働市場では、有期雇用や派遣、パート・アルバイトといった非正規雇用労働者が全体の約4割を占めています。人手不足や採用コストの上昇を背景に、企業にとって「優秀な人材を確保し、定着させること」は喫緊の課題です。
その中で国が設けている制度のひとつが「キャリアアップ助成金」です。この助成金は、有期雇用労働者や派遣労働者などの非正規雇用者を正社員に転換したり、処遇改善を図ったりする企業に対して支給されます。

本記事では、令和7年度(2025年度)の最新情報をもとに、キャリアアップ助成金の概要・助成額・対象となる取組・申請の流れをわかりやすく解説します。


キャリアアップ助成金の目的

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化処遇改善を促進し、安定した雇用を実現することを目的としています。
企業にとっては助成金を活用することでコスト負担を抑えながら人材定着を強化でき、労働者にとっては安心して働ける環境を得られる「双方にメリットのある制度」です。


キャリアアップ助成金の主なコース

助成金は大きく分けて「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2つに分かれています。

① 正社員化コース

有期雇用労働者や派遣労働者を正社員に転換した場合に支給されます。

  • 有期 → 正規:中小企業で1人あたり 80万円(重点支援対象以外は40万円)
  • 無期 → 正規:中小企業で1人あたり 40万円(同20万円)
  • 派遣社員 → 正規:同上

さらに以下の加算があります。

  • 正社員転換等制度を新設した場合:20万円(大企業は15万円)
  • 多様な正社員制度(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)を新設した場合:40万円(大企業は30万円)

② 障害者正社員化コース

障害のある労働者を正社員または無期雇用へ転換した場合に支給されます。

  • 重度障害者:有期 → 正規で 120万円(大企業は90万円)
  • それ以外の障害者:有期 → 正規で 90万円(大企業は67.5万円)
  • 無期 → 正規:60万円または45万円

障害者雇用を推進する企業にとって大きな後押しとなるコースです。


③ 賃金規定等改定コース

有期雇用労働者の基本給を3%以上引き上げる規定を適用した場合に支給されます。

  • 3~4%未満:1人あたり4万円(大企業2.6万円)
  • 6%以上:1人あたり最大7万円(大企業4.6万円)

また、職務評価の手法を活用した場合や昇給制度を新設した場合には20万円の加算があります。


④ 賃金規定等共通化コース

有期雇用労働者と正社員で共通の賃金規定を新たに設けた場合、

  • 60万円(大企業45万円) が支給されます。

⑤ 賞与・退職金制度導入コース

非正規労働者に対して賞与や退職金制度を導入し、支給・積立を実施した場合に支給。

  • 40万円(大企業30万円)
  • 両制度を同時導入した場合はさらに16.8万円の加算

⑥ 社会保険適用時処遇改善コース

短時間労働者を新たに社会保険の被保険者とする取り組みを行った場合に支給。

  • 手当等支給メニュー:50万円(大企業37.5万円)
  • 労働時間延長メニュー:30万円(大企業22.5万円)

申請の流れ

キャリアアップ助成金の申請には、「キャリアアップ計画」の提出が必須です。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出(実施日の前日までに)
  2. 制度の実施(正社員転換・賃金規定改定など)
  3. 6か月間の賃金支払い
    • 正社員化の場合、転換前と比較して賃金が3%以上上がっている必要があります。
  4. 支給申請(取組後6か月の賃金支払日の翌日から2か月以内)

制度活用のメリット

  1. 人材定着率の向上
    正社員化や処遇改善によって従業員の満足度が上がり、離職率低下につながります。
  2. 採用力の強化
    「正社員登用制度あり」「非正規からのキャリアアップ実績あり」という企業姿勢は、求職者にとって大きな魅力です。
  3. 経営コストの軽減
    本来であれば自社負担で行うべき賃金引き上げや制度導入に助成金を活用できるため、投資効果が高いです。

注意点

  • 助成金の受給には、**実績(6か月間の賃金支払い)**が必須です。
  • 「計画提出前の取組」は対象外となります。
  • 就業規則や賃金規定の改定が必要となるため、社会保険労務士や専門家への相談が現実的です。

まとめ

キャリアアップ助成金は、人材定着・採用力強化・処遇改善を同時に実現できる強力な制度です。最大で120万円の助成金を得ながら、働きやすい職場づくりを推進できるチャンスです。

令和7年度版では、重点支援対象者や加算措置も整備されており、企業規模に応じた支援が受けられます。これからの人材戦略を考える企業にとって、活用必須の制度と言えるでしょう。

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