【2026年確定版】中小企業が使える補助金8選まとめ|上限・補助率・対象経費を一気に理解(持続化/省力化/ものづくり/新事業ほか)

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2026年は「補助金の当たり年」──確定した“8つ”を先に押さえる

2026年に向けて、中小企業が使える補助金は「検討中」ではなく、すでに制度設計が進み、主要な枠組みが確定しているものが複数あります。しかも今年の特徴は、単なる設備投資支援ではなく、賃上げ・省力化・生産性向上・事業転換・事業承継といった、国の重点政策に沿って補助金が再整理されている点です。

本記事では、添付のPDF(各補助金チラシ)に基づいて、2026年に向けて確定している8つの補助金を、経営者が判断しやすい形でまとめます。
結論から言うと、「どれを使うか」は次の3つで決まります。

  • 目的:販路開拓か/新製品開発か/省力化か/新規事業か/承継・M&Aか

  • 投資規模:50万円〜数百万円か/数千万円か/億単位か

  • 賃上げの覚悟:要件として求められるものが増えている(未達の返還リスクもある)

以下、8つを順に見ていきましょう。


1. 小規模事業者持続化補助金(通常枠/創業型)

最初に押さえるべきは、最も裾野が広い「持続化補助金」です。2026年は「通常枠」と「創業型」がセットで動き、小規模事業者の販路開拓・生産性向上を支える代表格になります。

通常枠(第19回予定)

  • 補助上限:50万円(特例活用で最大250万円)

    【一般型】持続化補助金_251223より

  • 補助率:2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)

    【一般型】持続化補助金_251223より

  • 対象:小規模事業者が経営計画を作り、商工会・商工会議所の支援を受けながら実施

  • 対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費など

    【一般型】持続化補助金_251223より

  • 特例

    • インボイス特例(上限+50万円)

    • 賃金引上げ特例(上限+150万円/事業場内最低賃金+50円以上)

      【一般型】持続化補助金_251223

創業型(創業後1年以内向け)

  • 補助上限:200万円(特例で最大250万円)

    【R7.12月時点版】令和7年度補正予算小規模事業者持続化補助…

  • 補助率:2/3

    【R7.12月時点版】令和7年度補正予算小規模事業者持続化補助…

  • 対象:創業後1年以内の小規模事業者等が、商工会・商工会議所支援のもと販路開拓等を実施

  • 申請要件の要点
    「特定創業支援等事業による支援」を受けた日・開業日(設立年月日)が、公募締切から起算して過去1年以内であること等(証明書が必要)

    【R7.12月時点版】令和7年度補正予算小規模事業者持続化補助…

  • 対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費等

    【R7.12月時点版】令和7年度補正予算小規模事業者持続化補助…

ポイント
持続化補助金は「小さく始めて成果を出す」最初の一手に向きます。広告・HP・チラシ・展示会・新商品開発など、売上に直結しやすい支出を補助対象にできるため、2026年も“最初に検討する補助金”と言えます。


2. ものづくり補助金(生産性向上・賃上げの王道)

製造業だけでなく、商業・サービス業も対象になり得るのが「ものづくり補助金」です。新製品・新サービス開発のための設備投資を支援し、生産性向上と賃上げを後押しします。

(25年12月時点版)-令和6年度補正ものづくり補助金チラシ

  • 補助上限:最大4,000万円

    (25年12月時点版)-令和6年度補正ものづくり補助金チラシ

  • 補助率:1/2〜2/3

    (25年12月時点版)-令和6年度補正ものづくり補助金チラシ

  • 枠組み(チラシ記載)

    • 製品・サービス高付加価値化枠

    • グローバル枠(海外需要開拓等)

      (25年12月時点版)-令和6年度補正ものづくり補助金チラシ

  • 補助対象経費(共通):機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費など

    (25年12月時点版)-令和6年度補正ものづくり補助金チラシ

  • 基本要件(要点):付加価値額成長、給与・最低賃金水準、行動計画の公表(従業員21名以上)など、3〜5年計画で達成を求める構造

    (25年12月時点版)-令和6年度補正ものづくり補助金チラシ

  • 注意:基本要件未達の場合、返還義務があり得る(チラシに明記)

    (25年12月時点版)-令和6年度補正ものづくり補助金チラシ

ポイント
ものづくりは「技術・設備で差別化し、単価や粗利を上げる」企業に向きます。採択の鍵は、“設備を入れる理由”が「新製品・新サービス」に直結していること。単なる更新投資では弱くなりやすいので、開発ストーリーを事業計画に落とす設計が重要です。


3. 新事業進出補助金(新市場・高付加価値へ舵を切る)

次は、既存事業とは異なる新領域に挑戦する企業向けの「新事業進出補助金」です。設備投資(建物費含む)や販促まで幅広く対象になり、事業転換・第二の柱づくりで検討されやすい制度です。

(25年12月時点版)新事業進出補助金チラシ-

  • 対象:成長・拡大に向けて新規事業に挑戦する中小企業等

    (25年12月時点版)新事業進出補助金チラシ-

  • 補助率:1/2

    (25年12月時点版)新事業進出補助金チラシ-

  • 補助上限(従業員規模別)

    • 20人以下:2,500万円(特例で3,000万円)

    • 21〜50人:4,000万円(特例で5,000万円)

    • 51〜100人:5,500万円(特例で7,000万円)

    • 101人以上:7,000万円(特例で9,000万円)
      ※補助下限750万円

      (25年12月時点版)新事業進出補助金チラシ-

  • 大幅賃上げ特例(上限上乗せ)
    ①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6% を計画期間で達成すると上限上乗せ

    (25年12月時点版)新事業進出補助金チラシ-

  • 基本要件(要点):付加価値+4.0%/年、給与成長、最低賃金+30円、行動計画公表など、3〜5年計画で全て満たす必要

    (25年12月時点版)新事業進出補助金チラシ-

  • 対象経費:機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知財、外注費、専門家、クラウド、広告宣伝・販売促進費 等

    (25年12月時点版)新事業進出補助金チラシ-

  • 注意:賃上げ等が未達の場合、未達成率に応じた返還(免除条件も記載)

    (25年12月時点版)新事業進出補助金チラシ-

ポイント
この補助金は「挑戦を支える」分、計画の筋が悪いと返還リスクが現実になります。採択だけでなく、計画期間の実行管理(賃上げ・付加価値・最低賃金)まで見据えた経営設計が必要です。


4. 省力化投資補助金(一般型)

人手不足対策の中核として、2026年も強く推されるのが省力化投資。チラシ上、「一般型(公募回制)」はオーダーメイド/セミオーダー型の設備・システム導入まで幅広く対応する設計になっています。

省力化投資補助金一般型第5回

  • 目的:人手不足解消に効果のある省力化投資(ロボット、IoT等)を後押し

    省力化投資補助金一般型第5回

  • 補助率:中小企業 1/2、小規模・再生 2/3

    省力化投資補助金一般型第5回

  • 補助上限(従業員規模別)
    5人以下:750万円(大幅賃上げで1,000万円)
    6〜20人:1,500万円(同2,000万円)
    21〜50人:3,000万円(同4,000万円)
    51〜100人:5,000万円(同6,500万円)
    101人以上:8,000万円(上限1億円)

    省力化投資補助金一般型第5回

  • 大幅賃上げ特例(上限UP):給与支給総額+6%以上、最低賃金+50円等の条件が明記

    省力化投資補助金一般型第5回

  • 最低賃金引上げ特例(補助率2/3へ):一定期間、改定後最低賃金未満の従業員が全体の30%以上等の条件(チラシ記載)

    省力化投資補助金一般型第5回

  • 流れ:公募(回制)→審査→交付決定→事業→確定検査→支払い→効果報告(5年間)

    省力化投資補助金一般型第5回

ポイント
省力化は「売上を伸ばす」だけでなく、「同じ売上でも利益を残す」「採用難でも回る」体制を作る投資です。2026年は特に、賃上げとセットで採択・優遇されやすい流れが強まります。


5. デジタル化・AI導入補助金(IT導入・DX)

IT導入(DX)を後押しする補助金は、2026年も“使いやすい制度”として継続される見込みです。PDFでは「デジタル化・AI導入補助金」として、通常枠・インボイス枠・複数社連携・セキュリティなど複数メニューが整理されています。

デジタル化AI導入補助金

  • 目的:業務効率化、DX推進、セキュリティ対策のITツール導入費用を支援

    デジタル化AI導入補助金

  • 補助額:最大450万円/者(チラシ記載)

    デジタル化AI導入補助金

  • 補助率:1/2〜4/5(小規模は最大4/5)

    デジタル化AI導入補助金

  • 枠(例):通常枠/インボイス枠(対応類型・電子取引類型)/複数社連携IT導入枠/セキュリティ対策推進枠

    デジタル化AI導入補助金

  • 対象経費:ソフトウェア、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費(保守サポート、マニュアル作成、導入後の活用支援等)など。インボイス対応ではPC・タブレット・レジ・券売機等のハードも対象になり得る旨が記載

    デジタル化AI導入補助金

ポイント
この補助金は「バックオフィスの省人化」「現場のムダ削減」に直結しやすく、特に小規模は補助率が高いのが魅力です。省力化投資(設備)とIT導入(仕組み)を組み合わせると、採用難の時代でも回る会社に近づけます。


6. 事業承継・M&A補助金(承継投資/M&A費用/PMIまで)

経営者の高齢化・後継者不足が進む中で、2026年は「承継・M&A」を政策的に強く後押しします。チラシでは、設備投資、専門家活用、PMI、廃業・再チャレンジまでカバーする構造が明確です。

R7補正対応_事業承継・MA補助金

  • 目的:事業承継・M&Aを通じた生産性向上、持続的賃上げを支援

    R7補正対応_事業承継・MA補助金

  • 主な枠:事業承継促進枠/専門家活用枠/PMI推進枠/廃業・再チャレンジ枠(併用可)

    R7補正対応_事業承継・MA補助金

  • 上限・補助率(チラシ記載の代表例)

    • 事業承継促進枠:上限800〜1,000万円、補助率1/2・2/3(小規模は2/3)

      R7補正対応_事業承継・MA補助金

    • 専門家活用枠:買い手支援類型600〜800万円(一定条件で2,000万円等の記載あり)、売り手支援類型、小規模売り手支援類型450万円 等

      R7補正対応_事業承継・MA補助金

    • PMI推進枠:PMI専門家活用類型150万円、事業統合投資類型800〜1,000万円 等

      R7補正対応_事業承継・MA補助金

    • 廃業・再チャレンジ枠:上限300万円(他枠と併用で加算)

      R7補正対応_事業承継・MA補助金

  • 対象経費例:設備費、外注・委託、謝金・旅費、システム利用料、保険料、廃業支援費(在庫廃棄・解体・原状回復等)など

    R7補正対応_事業承継・MA補助金

  • 注意:FA・仲介費用は登録制度に登録された支援機関による支援のみ対象(チラシ記載)

    R7補正対応_事業承継・MA補助金

ポイント
「買う/売る」だけでなく、統合後(PMI)の費用まで補助対象になるのが特徴です。M&Aを“成功”に近づけるには、PMIにお金と専門家を使う覚悟が必要なので、ここを補助で支える設計は実務上かなり意味があります。


7. 中小企業成長加速化補助金(100億宣言企業)

2026年の目玉の一つが「成長加速化」。売上100億円を目指す中小企業の大胆投資を支援し、工場・物流拠点の新設増築や大規模設備導入などを後押しします。

加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 対象:売上高100億円を目指す中小企業(100億宣言企業)

    加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 補助率:1/2

    加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 補助上限:5億円

    加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 要件(要点)

    • 「100億宣言」を行っている

    • 投資額1億円以上(一定費目除く)

    • 賃上げ要件:終了後3年間、従業員1人当たり給与支給総額の年平均上昇率4.5%以上 など

      加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 対象経費:建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費

    加速化・中堅補助金チラシ1225

ポイント
これは「採択されれば大きい」一方で、投資規模・賃上げ・成長ストーリーが問われます。狙える企業は限られますが、該当するなら2026年の主戦場になります。


8. 中堅等大規模成長投資補助金(地域の雇用を支える大型投資)

同じPDF内で整理されているもう一つが「中堅等大規模成長投資補助金」。中堅・中小企業が人手不足等の課題に対応しながら、地域で持続的賃上げを実現するための大型投資を支援します。

加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 対象:中堅・中小企業(常時使用する従業員が2,000人以下等)

    加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 補助率:1/3

    加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 補助上限:50億円

    加速化・中堅補助金チラシ1225

  • 要件(要点)

    • 「100億宣言」を行っている

    • 投資額15億円以上(一定費目除く)

    • 賃上げ要件:終了後3年間、対象事業に関わる従業員等の1人当たり給与支給総額が年平均4.5%以上 など

      加速化・中堅補助金チラシ1225より

  • 対象経費:建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費

    加速化・中堅補助金チラシ1225より

ポイント
こちらは「地方の雇用・賃上げ」を強く意識した補助金です。工場・物流拠点など“地域に根を張る投資”が対象イメージとして示されており、採択されるとインパクトが非常に大きい領域です。


8つをどう選ぶか:経営者向け“超実務”の選定基準

最後に、8つを選ぶときの整理を置きます。

A. まずは投資規模で分ける

  • 小規模(〜数百万円):持続化(通常・創業)、IT導入(デジタル化・AI)

  • 中規模(数百万円〜数千万円):省力化一般型、ものづくり、新事業進出、事業承継M&A(枠次第)

  • 大規模(億〜):成長加速化(上限5億)、中堅大規模(上限50億)

B. 次に“目的”で決める

  • 販路開拓・集客:持続化

  • 新製品・新サービス開発:ものづくり

  • 事業の柱を変える/増やす:新事業進出

  • 人手不足を設備で解く:省力化

  • 業務効率化・DX・インボイス対応:IT導入(デジタル化・AI)

  • 承継・買収・統合:事業承継・M&A

  • 一気にスケールする:成長加速化/中堅大規模

C. そして最後に“賃上げ要件”を現実的に見積もる

今回のPDF群に共通して見えるのは、賃上げが「加点」ではなく「実質前提」になっている補助金が増えている点です(新事業進出、ものづくり、省力化、成長加速化、中堅大規模など)。未達時の返還が明記されている制度もあるため、採択だけでなく「やり切る計画」に落とすことが最重要です。


まとめ:2026年の補助金は「情報」ではなく「設計」で勝つ

2026年に確定している補助金8つは、いずれも強力です。しかし、制度が強力であるほど、“自社の戦略に合うものを選び、計画で勝つ”必要があります。

  • 小さく売上を上げるなら:持続化・IT導入

  • 収益構造を変えるなら:省力化・ものづくり

  • 事業の柱を作るなら:新事業進出

  • 承継・M&Aを成功させるなら:事業承継・M&A

  • 企業規模を一段上げるなら:成長加速化・中堅大規模

ここまで整理できれば、次にやることはシンプルで、
「どの補助金で、何に投資し、3年後どう変わるか」を一枚に言語化することです。
2026年は、この準備ができた企業から順に、補助金を“武器”として使いこなせる年になります。

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