Contents
- 1 ✔ 準確定申告とは何か
- 2 ✔ 誰が行うのか
- 3 ✔ 期限はいつまでか
- 4 ✔ 申告しないとどうなるか
- 5 ✔ 必要書類
- 6 ✔ 給与所得者・個人事業主・不動産所得者のケース別
- 7 ✔ 相続手続きとの関係
- 8 ✔ 2025年の注意点
- 9 ■ 1. 「準確定申告」とは?
- 10 ■ 2. 誰が準確定申告を行うのか?
- 11 ■ 3. 申告期限(最重要ポイント)
- 12 ✔ 「死亡を知った日の翌日から4カ月以内」
- 13 ■ 4. 準確定申告が必要な人・不要な人
- 14 ■ 5. 準確定申告の「税額の計算方法」
- 15 ■ 6. 準確定申告で使える控除
- 16 ■ 7. 必要書類一覧
- 17 ■ 8. 申告しないとどうなる?(罰則・リスク)
- 18 ✔ 延滞税
- 19 ✔ 無申告加算税(原則15%)
- 20 ✔ 税務署からの問い合わせ
- 21 ✔ 相続税の計算にも影響(債務控除ができなくなる可能性)
- 22 ■ 9. 準確定申告と相続税申告の関係
- 23 ✔ 準確定申告が遅れると、相続税申告も遅れる
- 24 ✔ 相続手続き全体のスケジュールに影響
- 25 ✔ 財産の評価・分割協議が進まない
- 26 ■ 10. 経営者が準確定申告で失敗しやすいポイント
- 27 ■ 11. 税理士に依頼するべきケースは?
- 28 ■ 12. まとめ:準確定申告は“相続の第一歩”
- 29 ✔ 亡くなった人の今年の所得税を確定させる制度
- 30 ✔ 相続人が代わりに申告(連帯義務あり)
- 31 ✔ 期限は「死亡を知った日の翌日から4カ月以内」
- 32 ✔ 準確定申告が遅れると延滞税・加算税のリスク
- 33 ✔ 相続税の計算にも影響
- 34 ✔ 必要書類は多く、実務は複雑
- 35 ✔ 特に経営者・個人事業主は注意
──経営者が知らないと大きな損失につながる“死亡時の税務”を徹底解説
中小企業の経営者や個人事業主から意外なほど多い相談が、
「家族や配偶者が亡くなった場合、税務の手続きはどうすればいいのか?」
「準確定申告って聞くけど、通常の確定申告と何が違うの?」
というものです。
“準確定申告”は、
その人が亡くなった時点までの所得税を確定させるための申告 であり、
相続手続きの中でも極めて重要なタスクです。
しかし、
- 申告期限が短い
- 放置すると加算税・延滞税が発生
- 税務署から通知が来るわけではない
- 誰が申告すべきか分かりにくい
- 相続税の計算にも影響する
など、注意しないと相続人が不利益を被るリスクがあります。
本記事では、経営者層が知っておくべき
✔ 準確定申告とは何か
✔ 誰が行うのか
✔ 期限はいつまでか
✔ 申告しないとどうなるか
✔ 必要書類
✔ 給与所得者・個人事業主・不動産所得者のケース別
✔ 相続手続きとの関係
✔ 2025年の注意点
を網羅的に解説します。
■ 1. 「準確定申告」とは?
亡くなった人の“死亡日までの所得税”を申告する制度
準確定申告とは、
納税者が亡くなった場合に、
死亡した年の1月1日から死亡日までの所得 を計算し、
相続人が代わりに行う所得税の申告です。
通常の確定申告は翌年に行いますが、
準確定申告は死亡後速やかに行う必要があります。
◆ なぜ申告が必要なのか?
法律上、所得税は“年単位”で課税します。
しかし納税者が年の途中で亡くなると、
- その年の所得
- 必要経費
- 控除額
- 既に源泉徴収された税額
が“宙ぶらりん”になってしまいます。
そこで、
亡くなった人の税務を整理して相続へと引き継ぐために
準確定申告が必要となります。
◆ 準確定申告は義務であり、任意ではない
税務署から案内が来ない場合もありますが、
申告義務は“法律上当然に発生”します。
放置した場合、
相続人に 延滞税・加算税のリスク が発生します。
■ 2. 誰が準確定申告を行うのか?
準確定申告を行う義務があるのは 相続人 です。
◆ 全ての相続人に連帯義務がある
相続人全員が義務者です。
1人がまとめて手続きする場合もありますが、
申告書には相続人全員の署名または押印が必要です。
◆ 相続放棄をした人は義務を負わない
相続放棄を家庭裁判所で受理された人は、
準確定申告の義務も負わなくなります。
■ 3. 申告期限(最重要ポイント)
準確定申告の期限は、
✔ 「死亡を知った日の翌日から4カ月以内」
例:
5月10日に死亡
→ 5月11日から起算して 9月10日まで が申告期限
◆ 土日祝の場合は翌営業日が期限
期限日が休日の場合は翌日まで延長されます。
◆ なぜ4カ月なのか?
相続税申告(10カ月期限)よりも早く税務整理を行い、
相続財産の確定をスムーズにするためです。
■ 4. 準確定申告が必要な人・不要な人
◆ 準確定申告が必要なケース
① 個人事業主(所得がある場合)
② 不動産所得がある人
③ 株の売却や配当所得がある人
④ 医療費控除・寄付金控除が受けられる人
⑤ 給与所得者で、年収や控除の関係で確定申告が必要だった人
⑥ 年金受給者で、確定申告の対象に該当する場合
◆ 準確定申告が不要なケース
① 年金収入のみで確定申告が不要だった人
② 給与所得者(会社員)で、源泉徴収で完結している人
③ 所得がない人
ただし、控除が使える場合は申告したほうが戻ってくるケースもあります。
■ 5. 準確定申告の「税額の計算方法」
死亡日までの所得を集計します。
◆ 個人事業主の場合
- 売上(死亡日まで)
- 必要経費
- 減価償却(按分)
- 青色申告控除(按分)
- 各種控除(基礎控除、配偶者控除など)
按分計算が必要なため、通常の確定申告より複雑です。
◆ 給与所得者の場合
勤務先から「死亡退職に伴う源泉徴収票」を取得し、
死亡日までの給与・賞与で計算します。
◆ 年金受給者の場合
公的年金等の支払通知書を使用し、
死亡日までの受給額を集計します。
◆ 株式・投資信託所得がある場合
- 特定口座(源泉徴収あり):申告不要のことも多い
- 特定口座(源泉徴収なし):申告必要
- NISA:非課税
◆ 損益通算も可能
事業所得・不動産所得・株式等の損益通算は、
死亡日までの範囲で通常の確定申告と同様に扱われます。
■ 6. 準確定申告で使える控除
死亡日までを対象として、
次の控除が適用可能です。
◆ 基礎控除
通常どおり受けられる(48万円)
◆ 医療費控除
死亡前の入院費用などは控除可能。
◆ 寄付金控除
生前に行われた寄付が対象。
◆ 社会保険料控除
死亡日までに支払った国民年金・健康保険料など。
◆ 生命保険料控除
生前に支払った分。
控除を適切に使えば、
相続人が受け取る税金(還付金)が発生する可能性もあります。
■ 7. 必要書類一覧
準確定申告には、以下の書類が必要です。
◆ 共通書類
- 準確定申告書(確定申告書A or B)
- 死亡日が確認できる戸籍謄本
- 相続人全員の署名・押印
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- 年金の支払通知書
- 医療費・寄付金などの領収書
- 個人事業主は帳簿・領収書
- 株式の取引報告書
- マイナンバー確認書類
準確定申告は、書類収集が最も時間を要するポイント です。
■ 8. 申告しないとどうなる?(罰則・リスク)
期限を過ぎると、
✔ 延滞税
✔ 無申告加算税(原則15%)
✔ 税務署からの問い合わせ
✔ 相続税の計算にも影響(債務控除ができなくなる可能性)
特に重要なのが相続税との関係です。
準確定申告をしていないと、
未払いの所得税を「相続財産の債務」として計上できない
という問題が生じます。
つまり、
相続税額が 増えてしまう可能性 があります。
■ 9. 準確定申告と相続税申告の関係
準確定申告は、
相続税申告(死亡後10カ月以内)よりも早いスケジュールで処理します。
流れは次のとおり。
① 準確定申告(死亡後4カ月以内)
② 未払税金の確定
③ 財産と債務の確定
④ 相続税の申告(死亡後10カ月以内)
つまり、
✔ 準確定申告が遅れると、相続税申告も遅れる
✔ 相続手続き全体のスケジュールに影響
✔ 財産の評価・分割協議が進まない
相続実務の中で、
準確定申告は“最初に片付けるべき大タスク”と言えます。
■ 10. 経営者が準確定申告で失敗しやすいポイント
① 個人事業の売上・経費の按分を誤る
死亡日の前日までの取引を正確に整理する必要がある。
② 事業用通帳とプライベート通帳が混在
=経費の判定が難しくなる。
③ 節税スキームが複雑で正確に申告できない
法人と個人の収入が複雑な人ほど要注意。
④ 相続人が税務知識を持っていない
=期限に間に合わないケースが非常に多い。
⑤ 税務署の案内が来ない
自分で気づかなければならない。
■ 11. 税理士に依頼するべきケースは?
以下のようなケースは、必ず税理士に依頼すべきです。
- 個人事業主(特に青色申告)
- 不動産所得が複数ある
- 株式・FX・暗号資産取引がある
- 海外資産を持っている
- 亡くなった人が経営者で、法人と個人の収入が複雑
- 相続人が複数で混乱している
経営者の多くはこれに該当するため、
早期に専門家へ相談した方が安全です。
■ 12. まとめ:準確定申告は“相続の第一歩”
ここまでの内容をまとめます。
✔ 亡くなった人の今年の所得税を確定させる制度
✔ 相続人が代わりに申告(連帯義務あり)
✔ 期限は「死亡を知った日の翌日から4カ月以内」
✔ 準確定申告が遅れると延滞税・加算税のリスク
✔ 相続税の計算にも影響
✔ 必要書類は多く、実務は複雑
✔ 特に経営者・個人事業主は注意
準確定申告は、
相続税の申告・遺産分割協議・名義変更など
すべての相続手続きの“起点”となる重要な手続きです。
経営者としては、
- 家族に手続き方法を共有しておく
- 顧問税理士と連携しておく
- 事業と個人の財務を整理しておく
これらを進めておくだけで、
万が一の際の負担を大きく軽減できます。