Contents
- 1 ✔ 法定相続分どおりに分ける義務はない
- 2 ✔ 代襲相続人は「突然増える」
- 3 ✔ 普通養子は「実子と同じ相続権」を持つ
- 4 ✔ 相続人ではあるが、税制上は制限される
- 5 ✔ 感情の問題である前に
- 6 ✔ 法律と制度の問題
──経営者が「誰に・どれだけ・なぜ相続権があるのか」を誤解しないために
相続の話になると、多くの経営者がこう言います。
「相続人は配偶者と子どもだから、だいたい分かっている」
しかし実務の現場では、
この“だいたい”がトラブルの原因になります。
特に経営者の相続では、
- 再婚
- 養子
- 先に亡くなった子
- 事業承継を前提とした偏った分け方
などが重なり、
「誰が法定相続人なのか」「何割の権利があるのか」
を正確に理解していないことで、
深刻な紛争に発展するケースが少なくありません。
この記事では、
2026年時点の最新民法を前提に、
- 法定相続人の範囲
- 法定相続分の考え方
- 代襲相続の仕組み
- 養子が相続に与える影響
を、経営者目線でわかりやすく整理します。
■ 1. 法定相続人とは?(まず結論)
法定相続人とは、
✔ 民法で「相続する権利がある」と定められた人
です。
✔ 法定相続人の順位(超重要)
法定相続人には、明確な順位があります。
| 順位 | 相続人 |
|---|---|
| 常に相続人 | 配偶者 |
| 第1順位 | 子(実子・養子) |
| 第2順位 | 直系尊属(父母・祖父母) |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 |
👉 上位の順位がいる場合、下位は相続人になりません。
■ 2. 法定相続分とは?(あくまで「基準」)
法定相続分とは、
✔ 民法が定める「取り分の目安」
です。
✔ 代表的な法定相続分
● 配偶者+子
- 配偶者:1/2
- 子:1/2(人数で均等)
● 配偶者+直系尊属
- 配偶者:2/3
- 直系尊属:1/3
● 配偶者+兄弟姉妹
- 配偶者:3/4
- 兄弟姉妹:1/4
❗ 経営者向け重要ポイント
✔ 法定相続分どおりに分ける義務はない
相続人 全員が合意 すれば、
不均等な分割も可能です。
👉 事業承継では必須の考え方。
■ 3. 代襲相続とは?(経営者が誤解しやすい)
● 代襲相続の概要
代襲相続とは、
✔ 本来相続人になるはずの人が
✔ 相続開始前に死亡している場合
✔ その子(孫など)が代わりに相続する仕組み
です。
✔ 典型例
- 被相続人(社長)
- 長男が先に死亡
- 長男の子(孫)が相続人になる
■ 4. 代襲相続が起こる範囲(ここが重要)
代襲相続が認められるのは、次の範囲です。
| 相続人 | 代襲相続 |
|---|---|
| 子 | 可能(孫・ひ孫まで) |
| 兄弟姉妹 | 可能(甥・姪まで) |
| 直系尊属 | 不可 |
❗ 経営者が注意すべきポイント
✔ 代襲相続人は「突然増える」
相続人の数が想定以上に増え、
遺産分割協議が一気に複雑化します。
■ 5. 養子は法定相続人になるのか?
● 結論
✔ 普通養子は「実子と同じ相続権」を持つ
✔ 養子の位置づけ
- 実子と同順位(第1順位)
- 法定相続分も同じ
✔ 経営者がよく使うケース
- 後継者としての養子
- 相続人の確保
- 家族関係の整理
■ 6. 養子と相続税の関係(重要な制限)
相続税法上は、
養子の扱いに 制限 があります。
✔ 相続税の基礎控除に算入できる養子の数
| 状況 | 算入できる養子 |
|---|---|
| 実子がいる | 1人まで |
| 実子がいない | 2人まで |
👉 これを超える養子は、
相続税計算上はカウントされません。
❗ 注意点
✔ 相続人ではあるが、税制上は制限される
ここを誤解すると、
想定外の相続税負担が生じます。
■ 7. 経営者の相続でよくある誤解
❌ 誤解①:配偶者がいればすべて相続できる
→ 配偶者は「常に相続人」だが単独ではない
❌ 誤解②:養子は相続権が弱い
→ 実子と同等
❌ 誤解③:孫は原則相続人
→ 代襲相続がない限り不可
■ 8. 経営者が必ず意識すべき実務ポイント
- 相続人の「範囲」を正確に把握
- 代襲相続で人数が増える前提
- 養子を入れる場合は税務制限を理解
- 法定相続分は「交渉の起点」にすぎない
■ 9. 法定相続人・法定相続分を前提にした対策
経営者が取るべき行動は明確です。
✔ 遺言で分け方を指定
✔ 家族信託で承継ルールを固定
✔ 養子縁組は事前に税務確認
✔ 代襲相続を見越した設計
■ 10. まとめ|相続は「法律を知っている人」が圧倒的に有利
最後に要点を整理します。
✔ 法定相続人には明確な順位がある
✔ 法定相続分はあくまで基準
✔ 代襲相続で相続人は増える
✔ 養子は実子と同等の相続権
✔ 相続税上は養子に制限あり
✔ 経営者は事前設計が必須
相続は、
✔ 感情の問題である前に
✔ 法律と制度の問題
経営者が「知らなかった」で済まされない領域です。
誰が、どこまで、どれだけ権利を持つのかを
正確に理解したうえで、
初めて「揉めない相続設計」が可能になります。