事業承継・相続における「貸宅地の相続税評価額」について

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事業承継やM&Aにおいて、貸宅地の相続税評価額は、承継計画における重要な要素の一つです。貸宅地は、賃貸物件や第三者の権利が設定された土地を指し、通常の宅地評価とは異なる取り扱いがされます。本記事では、貸宅地の評価額の計算方法、相続税への影響、効果的な節税対策について詳しく解説します。


貸宅地とは?

貸宅地とは、第三者が借地権などの権利を有する土地のことで、他者に土地の利用権があるため、通常の宅地よりも相続税評価額が減額されることが多いです。このような土地は、事業承継や相続の際に、節税対策として利用することも可能です。


貸宅地の相続税評価額の計算方法

貸宅地の相続税評価額は、「自用地評価額」に「借地権割合」を掛けて計算します。借地権割合とは、借地権者(借地を利用している第三者)の権利を反映する割合で、地域や用途によって異なります。この借地権割合が適用されることで、通常の宅地評価額よりも低く算出され、相続税の節税につながります。

貸宅地の評価額の計算式

評価額=自用地評価額×(1−借地権割合)

この式を利用して貸宅地の相続税評価額を計算すると、借地権者の権利分が控除され、相続税評価額が低くなります。


計算例

次に具体例を挙げて、貸宅地の評価額の計算を示します。

  • 自用地の評価額: 1億円
  • 借地権割合: 40%

計算方法
1億円 × (1 - 0.4) = 6,000万円

この場合、評価額は6,000万円となり、通常の宅地に比べて評価額が減額されることで、相続税負担が軽減されます。


貸宅地の評価におけるポイント

  1. 借地権割合の確認
    借地権割合は地域や用途によって異なり、毎年国税庁が発表する路線価に基づいて設定されます。都心部の商業地など、借地権割合が高い地域では、貸宅地の評価額も大きく減額されることが期待されます。

  2. 賃貸割合と自用割合の区別
    貸宅地として利用されている土地でも、一部を自用地として使用している場合があります。その場合、貸宅地と自用地の割合に応じて評価額が調整されます。

  3. 評価減が適用される条件
    貸宅地の評価減が適用されるためには、借地権が登記されているか、第三者との賃貸契約が確実に存在していることが重要です。


貸宅地の相続税評価のメリット

貸宅地として利用されている土地は、借地権や賃貸契約が設定されていることで、通常の自用地に比べて相続税の評価額が低くなるというメリットがあります。これにより、相続人の相続税負担が軽減され、事業承継における資産継承もスムーズに進められるでしょう。


事業承継における貸宅地評価の活用方法

事業承継における貸宅地評価の活用方法としては、以下のようなものが考えられます。

  1. 相続税負担の軽減
    相続税評価額を抑えることで、相続人の相続税負担が減少し、より多くの資産を事業承継に充てることができます。

  2. 将来的な土地利用の計画
    貸宅地としての利用が長期にわたる場合、将来的な土地の利用計画を考慮することで、相続人の利益を最大化することが可能です。

  3. 他の節税対策との併用
    貸宅地評価の適用を行うことで節税効果が見込めますが、他の相続税対策(小規模宅地等の評価減など)と組み合わせることで、さらに効果的な節税が可能です。


注意点とリスク

貸宅地の評価減を活用する場合には、以下の注意点とリスクに留意することが大切です。

  1. 適切な書類の整備
    貸宅地であることを証明するための契約書や借地権の登記が整っていない場合、評価減が適用されないことがあります。

  2. 税制改正の影響
    相続税の評価に関する税制改正が行われると、借地権割合や評価方法が変更される可能性があります。事業承継のタイミングで最新の税制を確認することが重要です。

  3. 不動産の流動性
    貸宅地は第三者の権利が設定されているため、売却や資産の流動性が制約されることがあります。

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