中小企業オーナーなら知っておきたい「自社株にかかる贈与税とは?」

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自社株式を後継者や家族に贈与する際にかかる贈与税は、事業承継や財産の引き継ぎにおいて重要な要素となります。特に、中小企業の経営者が事業承継を考える際、適切に対応しないと高額な税負担が発生する可能性があるため、贈与税に関する知識が不可欠です。

1. 贈与税とは?

贈与税は、他人から財産を無償で受け取った場合に課せられる税金です。贈与財産には、現金、不動産、株式などが含まれ、自社株式も対象となります。贈与税は、贈与された財産の時価に基づいて課税され、その額が一定の基準を超えると、税金が発生します。

贈与税は、財産を贈与した年の翌年に納税が必要であり、贈与された資産が大きいほど税負担も増大します。

2. 自社株式の贈与と評価方法

自社株式を贈与する場合、贈与時の株式の価値を算定し、その評価額を基に贈与税が決定されます。非上場株式(上場されていない会社の株式)であれば、その評価額は「純資産価額方式」や「類似業種比準方式」などの方法により算定されます。

純資産価額方式

企業の純資産(資産から負債を差し引いたもの)の価値をベースに株式の評価を行います。この方法は、会社の財務状態を正確に反映した評価方法として広く用いられます。

類似業種比準方式

同業種の上場企業と自社の財務指標を比較して株式を評価する方法です。業種による株価の差が反映されるため、事業内容が他の企業と類似している場合に用いられます。

3. 贈与税の計算方法

贈与税は、贈与された財産の評価額が年間110万円の基礎控除額を超える場合に課税されます。課税額は、以下の累進課税方式に基づいて計算されます。

贈与税の計算方法に関して、確認された情報に基づいて修正します。贈与税の計算は、贈与された財産の合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた後、その残額に税率を適用して計算します。具体的には、次の速算表が使用されます​。

贈与税の速算表(一般贈与財産用:兄弟間や夫婦間の贈与などの場合)

課税価格(基礎控除後) 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

贈与税の速算表(特例贈与財産用:親から18歳以上の子や孫への贈与の場合)

課税価格(基礎控除後) 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

この速算表に基づいて、基礎控除後の課税価格に対応する税率を適用し、控除額を差し引いた金額が贈与税として課されます。

贈与額が大きくなるほど、贈与税率も上がり、負担が増えるため、事前の計画が重要です。

4. 贈与税を軽減する方法

自社株式の贈与において、税負担を軽減するための対策がいくつか存在します。

(1) 相続時精算課税制度の利用

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子供や孫に対して、2,500万円までの贈与について、贈与税が猶予される制度です。この制度を活用することで、一時的な贈与税負担を軽減できますが、相続時に精算されるため、長期的な税務戦略が必要です。

(2) 事業承継税制の利用

事業承継税制は、一定の要件を満たした場合に、非上場株式の贈与税・相続税を猶予または免除する制度です。具体的には、後継者が会社を一定期間継続するなどの条件をクリアすることで、税金の支払いが猶予されます。この制度をうまく活用することで、事業承継を円滑に進めることが可能です。

5. 注意すべき点

贈与税の申告は、贈与があった翌年の3月15日までに行う必要があり、遅延すると延滞税や加算税が課せられることがあります。さらに、自社株式の評価が不適切であった場合、税務調査の対象になる可能性もあるため、株式の評価や税務申告は専門家に依頼することをお勧めします。

まとめ

自社株式の贈与にかかる贈与税は、事業承継の際に重要な課題です。適切な株式評価と贈与税の計画を行い、相続時精算課税や事業承継税制などの制度を活用することで、税負担を軽減し、円滑な事業承継を実現できます。専門家のアドバイスを受けながら、事前にしっかりと準備を進めることが成功への鍵です。

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