Contents
1. はじめに
2025年9月12日(金)より「第2回 新事業進出補助金」の公募が開始され、11月10日(月)から申請受付が始まりました。本制度は、中小企業の新たな挑戦を後押しし、「新市場・高付加価値事業」への進出を支援することを目的としています。
申請締切は2025年12月19日(金)18:00まで、申請は電子申請(紙提出不可)でのみ受け付けられます。
2. 補助金の目的
中小企業等が行う「既存事業と異なる事業への前向きな挑戦」を支援し、企業規模の拡大と付加価値の向上を通じて生産性を高め、賃上げにつなげることを目的としています。
この補助金は、既存事業の延長ではなく「新市場への進出」「高付加価値事業への転換」を軸にした事業を後押しする点が特徴です。
3. 公募スケジュール
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2025年9月12日(金) |
| 申請受付開始 | 2025年11月10日(月) |
| 応募締切 | 2025年12月19日(金)18:00 |
| 採択発表(予定) | 2026年3月頃 |
| 交付決定~補助事業期間 | 採択日から16か月以内(または交付決定から14か月以内のいずれか短い期間) |
4. 補助対象者
本補助金の対象は、日本国内に本社および補助事業実施場所を有する中小企業等であり、以下の要件を満たすことが必要です。
(1)中小企業者
業種ごとに以下の基準を満たす事業者が対象となります。
| 業種 | 資本金上限 | 従業員数上限 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円 | 300人 |
| 卸売業 | 1億円 | 100人 |
| 小売業 | 5,000万円 | 50人 |
| サービス業(旅館業除く) | 5,000万円 | 100人 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
| 旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
| ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
(2)その他の対象者
-
組合・連合会(従業員300人以下)
-
公益法人・農事組合法人・労働者協同組合
-
資本金10億円未満で一定要件を満たす「特定事業者」
-
リース会社(中小企業と共同申請の場合)
5. 補助対象外事業者
以下に該当する場合は申請できません。
-
「新事業進出補助金」「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」において、申請締切日(2025年12月19日)を起点に16か月以内に採択された事業者または申請時点で補助事業実施中の事業者
-
採択取消・交付取消・納付命令・返還命令を受けた事業者
-
新規設立1年未満、従業員0名の事業者
-
公募開始時点で課税所得の平均が15億円超の中小企業者
-
宗教法人・政治団体・みなし大企業
-
暴力団関係・法令違反歴・不正受給歴のある事業者
特に、「事業再構築補助金(第12・13回)」「ものづくり補助金(19~22次)」採択事業者は申請できない点に注意が必要です。
6. 補助金額・補助率
| 区分 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 小規模~中規模事業者 | 750万円~1億円(事業規模により変動) | 1/2 |
ただし、資本金や従業員数の調整など、補助金対象化を目的とした形式的な変更が確認された場合、遡及して補助対象外となる場合があります。
7. 補助事業期間と経費の対象
補助事業期間
交付決定日から14か月以内、または採択日から16か月後のいずれか短い期間が補助対象期間です。
交付決定前の発注・契約・支払いは補助対象外です。
補助対象経費の主な区分
-
機械装置・システム構築費
専ら補助事業のために使用される機械、設備、ITシステムなど。 -
建物費
新築・改修・付帯設備(空調・照明等)を含む。ただし事業と無関係な用途は対象外。 -
技術導入費・専門家経費
特許・商標取得、外部専門家への委託費用など。 -
外注費・委託費
補助事業の成果物製作やデザイン委託など、事業の本質に関連する業務。 -
広告宣伝・販売促進費
新製品やサービスの販促、ウェブサイト作成、展示会出展など。
経費の半分以上が補助対象外用途(汎用的支出等)と判断される場合は、補助対象から除外されます。
8. 新事業進出要件
新事業進出補助金では、事業が次の3要件を満たす必要があります。
-
製品等の新規性要件
自社にとって過去に製造・提供実績のない新製品・新サービスであること。
(既存製品の改良や再製造は対象外) -
市場の新規性要件
既存事業とは異なる顧客層(法人/個人、業種、地域など)を対象とする市場であること。 -
新事業売上高要件
事業計画期間終了時における新事業の売上高が、全売上高の10%以上(付加価値ベースでは15%以上)となること。
これら3要件をすべて満たすことが補助対象の前提条件となります。
9. 新市場性・高付加価値性(審査の中核)
審査では、「新市場性」と「高付加価値性」が重視されます。
新市場性
-
社会における普及度や認知度が低いジャンル・分野であること
-
客観的データや統計に基づき、新しい市場開拓の意義を説明できること
高付加価値性
-
同分野における一般的な相場や付加価値水準を超え、高価格化・高品質化が明確であること
-
その価値の源泉(技術・デザイン・ブランド力など)を合理的に説明できること
10. 審査の流れ
審査は以下の2段階構成です。
-
書面審査:
事業計画書・添付書類等をもとに外部専門家が採点。 -
口頭審査:
必要に応じ、申請者がプレゼン・質疑応答を実施。事業内容の実現性、波及効果、賃上げ方針が問われます。
11. 添付書類と提出方法
申請時に必要な主な添付書類は以下の通りです(法人・個人共通)。
-
前年度および前々年度の決算書
-
労働者名簿(従業員数を示す書類)
-
固定資産台帳
-
賃上げ計画の表明書
-
金融機関による確認書(資金提供を受ける場合)
-
事業計画書
-
リース関連書類(共同申請時)
電子申請システムでの添付のみが有効であり、郵送や紙提出は不可です。
12. 申請に必要な準備
-
GビズIDプライムアカウントの取得(発行まで約2週間)
-
事業計画の自社作成(外部委託禁止)
-
電子申請システムによる入力完了期限:12月19日(金)18:00
なお、外部支援者(認定支援機関等)による助言は可能ですが、事業計画そのものを代筆・作成させる行為は不採択・取消の対象です。
13. まとめ
第2回「新事業進出補助金」は、新市場の創出と高付加価値化への転換を目指す中小企業を支援する新たな枠組みです。
他の主要補助金(事業再構築・ものづくり)との重複申請制限や、厳格な要件設定がなされており、採択を目指すには「自社の新規性」「市場の独自性」「賃上げ計画」を明確に打ち出すことが不可欠です。
参考資料出典:
-
「新事業進出補助金 応募申請ガイド(第2回)」中小企業新事業進出補助金事務局(2025年11月10日 第1.1版)
-
「新事業進出補助金 概要説明会資料(第2回)」中小企業庁・博報堂・アクセンチュア(2025年)