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はじめに
2025年に入り、日本の中小企業を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。
東京商工リサーチや帝国データバンクの最新調査によると、葬儀業、タクシー業、調剤薬局、労働者派遣業、水産養殖業、美容室の6業種で倒産や休廃業が過去最多ペースに達しています。
わずか10日前には「倒産過去最多の6業種」として話題になったばかりですが、さらに新たな6業種が追加で危険水域に突入しました。
「倒産ドミノ」が進む背景と、中小零細企業が今すぐ打てる生存戦略を整理してお伝えします。
1. 倒産最多「新6業種」とは?
① 葬儀業(家族葬シフトで二極化)
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売上高は拡大している一方、単価は低下。
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老舗ブランドと新規参入が拮抗し、レッドオーシャン化が加速。
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2024年の倒産・休廃業は過去最多74件。
② タクシー業(売上回復も中小赤字拡大)
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インバウンド需要や運賃改定で増収。
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しかし、燃料・人件費・キャッシュレス手数料が重荷に。
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大手はアプリ投資で成長、中小は淘汰の波。
③ 調剤薬局(大手と中小の収益格差拡大)
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大手はM&Aで規模拡大。
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中小は薬剤師不足・薬価引き下げで収益悪化。
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倒産件数は高止まりし、再編が加速。
④ 労働者派遣業(人材確保コスト増)
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2025年1-8月の倒産は59件、過去最多ペース。
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人材確保競争が激化、賃上げコストを価格に転嫁できず。
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零細だけでなく年商数十億規模の企業も苦戦。
⑤ 水産養殖業(気候変動リスクで過去最多ペース)
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2025年1-8月、倒産・休廃業が27件で前年通年を超過。
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高水温・飼料高騰・赤潮で収益悪化。
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設備投資負担も重く、退出が加速。
⑥ 美容室(3年連続増加・過去最多へ)
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大手チェーンと低価格カット専門店の攻勢。
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美容師不足・フリーランス化で採用難。
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2025年1-8月の倒産157件で前年超え。
2. 共通する経営リスク
これら6業種に共通するのは、以下の4つです。
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コスト高騰:人件費、燃料費、資材、光熱費
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価格転嫁の難しさ:消費者の節約志向と価格競争
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人材難:採用困難、フリーランス化、離職率上昇
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外部圧力:規制変化(薬価、派遣規制、ライドシェア解禁 等)
結論として、「選択と集中」×「スピード経営」が求められます。
3. 中小企業が取るべき具体策
(1)価格戦略
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階段式価格改定:原価上昇を契約・価格表に反映。
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付加価値提案型の値上げ:保証・スピード・アフターケアを強調。
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既存客対策:会員制度や回数券で値上げへの心理的抵抗を緩和。
(2)人材戦略
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短時間・副業可・曜日固定シフトで採用母集団拡大。
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離職前面談(Stay Interview)の定例化で定着率向上。
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スキル階段と報酬連動でモチベーション維持。
(3)資金戦略
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借換保証・条件変更の前倒し相談で資金繰り安定化。
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共同仕入・共同採用・業務提携でコスト削減。
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撤退ラインの明確化(赤字月数・累積損失を定義)。
(4)業界別対策例
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葬儀業:透明価格の家族葬プラン+介護施設との提携
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タクシー:配車アプリ連携+観光定額プラン
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調剤薬局:在宅・健康計測サービス導入+保険外収益化
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派遣業:専門特化&価格スライド契約
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養殖業:魚種分散+直販EC・ふるさと納税活用
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美容室:低価格高速回転モデル or 高付加価値会員制に二極化
4. 社長のアクションリスト10
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価格表を指数連動で設計し、年2回改定を前提化
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会員・サブスクでLTVを最大化
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採用条件を短時間・副業可・最低保証付きに再設計
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離職前面談を導入
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在庫・仕入を共同化
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エネルギーコスト削減策を実行
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DX投資を最小構成から導入
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金融機関と四半期ごとに資金繰りを共有
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撤退条件を数値で定義
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KPIレビューを毎月実施し、即月修正
まとめ
前回の6業種に続き、今回も新たに6業種が「倒産最多ペース」となっています。
背景にあるのは、人件費高騰・コスト増・規制変化といった構造的要因です。
中小企業が生き残るためには、従来の延長線上の経営ではなく、価格・人材・資金の三位一体戦略を即時に導入することが不可欠です。
本記事で紹介した具体策を参考に、自社に落とし込みながら 「スピード経営」 を実践してください。
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