人事評価制度がない会社が、5年後に後悔する3つの理由

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「最近、優秀な社員ほど辞めていく」 「頑張っている社員と、そうでない社員の差が見えづらい」 そんな声を中小企業の経営者からよく耳にします。その背景には、「人事評価制度の不在」があります。

制度がない会社では、社員の成長が偶発的になりやすく、マネジメントも属人的になります。つまり、良い人が入っても、育たず、離れていく土壌ができてしまうのです。

では、なぜ人事評価制度が中小企業では後回しになるのでしょうか?

理由の一つは、「忙しくて制度をつくる余裕がない」こと。 また、「制度があってもどうせ形骸化する」「少人数だから不要」という誤解も多く見られます。しかし、会社が10名、20名と増えてくると、暗黙の了解だけでは機能しなくなります。意思決定の根拠や育成の方向性が、共通の基準として求められるようになるのです。

特に問題となるのが、給与や昇進の決め方。 「なんとなく頑張っているから」「長く働いているから」という理由での昇給は、やる気のある若手や優秀層のモチベーションを著しく下げてしまいます。結果として、評価の曖昧さが離職につながり、組織の力が削がれていくのです。

とはいえ、評価制度は難しく考える必要はありません。 最初は「シンプルだけど効果的な制度」で十分です。 たとえば以下のようなステップがあります:

  1. 経営方針と連動する「評価軸」を設定する(例:主体性、成長意欲、成果への貢献)

  2. 各等級に必要な行動やスキルを言語化する

  3. 評価のタイミングと方法を決める(自己評価+上司評価など)

  4. 昇給・昇格の基準を明確にし、社内に共有する

導入初期は、社内の混乱や不安もあるかもしれませんが、半年〜1年で「社員の会話の質が変わる」「目標設定が明確になる」といった効果が表れてきます。

実際に、ある30名規模の企業では、評価制度導入後に「自分の役割と期待が明確になった」と感じる社員が続出。離職率が下がり、若手リーダーが育つ環境が整いました。

評価制度は単なる査定ツールではありません。

それは「人を育てる道筋を示す仕組み」であり、「会社の未来像を社員と共有するためのフレーム」です。

さらに評価制度は、経営者にとっても多くのメリットをもたらします。 明確な評価基準があることで、昇給や昇格に対する説明責任を果たしやすくなり、感情に左右されない判断が可能になります。また、社員との定期的な面談やフィードバックを制度に組み込むことで、対話の質と頻度が向上し、組織全体のエンゲージメントも高まります。

制度導入にあたっては、完璧を目指す必要はありません。

まずは「今の組織にとって必要な最低限の仕組み」を明文化し、社内で共有することから始めましょう。段階的にブラッシュアップしていけば、制度は自然と育っていきます。

いま制度がなくても、今日から第一歩を踏み出せます。まずは小さく始め、少しずつ形にしていくこと。5年後に「あのとき始めて良かった」と思えるかどうかは、今の一歩にかかっています。

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