破産法における支払不能とは?徹底解説

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1. はじめに

企業経営において、資金繰りの悪化や経済状況の変化により 「支払不能」 という状態に陥ることがあります。
本記事では、破産法における支払不能とは何か、その基準や実務上の影響について詳しく解説 します。


2. 破産法における支払不能とは?

2-1. 支払不能の定義(破産法15条)

日本の破産法において、支払不能とは 「債務者が支払うべき負債を継続的に弁済できない状態」 を指します。

📌 支払不能の要件

現金・預金の不足 → 事業資金や運転資金が枯渇している
信用喪失 → 取引先や金融機関からの信用を失い、新たな融資が受けられない
継続的な赤字経営 → 一時的な支払い遅延ではなく、長期にわたる資金不足

2-2. 破産手続きとの関係

支払不能と認められると、債権者や債務者自身が破産申立を行う根拠 となります。
つまり、破産手続きの開始要件の1つが支払不能である ということです。


3. 支払不能の判断基準

支払不能かどうかは、主に 「経済的基準」「法律的基準」 の2つの観点から判断されます。

3-1. 経済的基準

経済的基準では、企業の財務状況や支払い能力を実質的に評価 します。

📌 経済的基準の主なチェックポイント

キャッシュフローの不足(短期的な資金調達ができない)
金融機関からの追加融資が困難(信用不安)
主要取引先の取引停止(支払い遅延が続く)

💡 ワンポイント

  • 一時的な支払い困難ではなく、継続的に弁済ができない状態 であることが重要。

3-2. 法律的基準

法律的基準では、裁判所の判断や破産手続きに関する過去の判例 をもとに支払不能かどうかを判断します。

📌 法律的基準のポイント

手形や小切手の不渡り(2回連続) → 事実上の倒産状態
強制執行を受けても返済できない
取引先・債権者からの支払い催促を無視・遅延

💡 注意

  • 「一時的な資金ショート」と「支払不能」は異なります。短期間の資金不足なら金融機関の融資で回避可能 ですが、支払不能は長期的な返済能力の喪失を指します

4. 支払不能の実務的な影響

4-1. 取引先への影響

支払不能が認定されると、取引先への影響も大きくなります。

取引停止 → 主要仕入先や取引先からの信用喪失
資金調達困難 → 銀行や金融機関からの追加融資停止
信用不安の広がり → 連鎖倒産のリスクが高まる

4-2. 会社の法的手続き

支払不能の状態が続くと、会社は以下のような法的手続きを選択することになります。

📌 主な法的手続き

破産手続き(債務整理) → 法的に負債を整理し、清算を行う
民事再生(企業再生) → 債務の減額を交渉し、事業を継続する
特別清算 → 株主総会の承認を得て会社を整理する

💡 ポイント

  • 破産手続き「完全清算型」 のため、事業継続は困難。
  • 民事再生「再建型」 であり、事業を継続しながら債務整理を行う選択肢となる。

5. 破産法に基づく支払不能の対処方法

企業経営者が支払不能に陥った場合、どのように対処すればよいのでしょうか?

5-1. 早期の財務見直し

キャッシュフローを可視化し、資金繰りを改善する
債権者との交渉を行い、返済計画を見直す
経営コンサルタントや弁護士に相談し、法的手続きを検討する

5-2. 適切な債務整理を検討

支払不能が確定的になった場合、破産や民事再生といった適切な手続きを早めに進める ことが重要です。

📌 債務整理の選択肢

債務整理方法 特徴 事業継続可否
破産手続き 負債を清算し、企業を解散する
民事再生 企業の再建を目指し、債務を軽減
任意整理 裁判を避け、債権者と個別交渉

💡 経営者のポイント

  • 破産手続きに進む前に、「再建の余地があるか」 を慎重に検討しましょう。

6. まとめ

📌 支払不能とは?

  • 破産法における支払不能は、「債務を継続的に返済できない状態」 を指す。
  • 一時的な資金不足ではなく、長期的に弁済能力が失われていることが重要

📌 支払不能の判断基準

  • 経済的基準(キャッシュフロー不足、信用低下)
  • 法律的基準(不渡り発生、強制執行の失敗)

📌 支払不能の対処法

  • キャッシュフロー管理の強化
  • 債権者との交渉
  • 破産・民事再生などの適切な手続き選択

支払不能は 企業にとって大きな危機 ですが、適切な手続きを踏むことで、再建や円滑な清算が可能になります。
経営者として早めの対策を行い、最善の道を選びましょう。

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