配当還元方式とは?
配当還元方式は、非上場株式の評価において、株式の配当実績を基に株価を評価する方法です。主に上場していない中小企業に適用され、特に利益率が低い場合に有効な評価方法として位置づけられています。この方法では、配当が株価評価の中心であるため、企業の純資産や利益水準に依存しない特徴があります。
配当還元方式が適用されるシーン
配当還元方式は、相続税や贈与税の評価で特に中小企業の株式に適用されます。経営者が個人で所有する中小企業の株式評価において、一定の安定性をもつ評価額を得られるため、企業の資産価値よりも、安定的に配当が行われることが重視されるケースで活用されます。
配当還元方式の評価方法
配当還元方式では、企業が実際に行った配当金を基に評価額を算出します。計算式は以下の通りです:
ここで、還元利回りは一般的に国が定める基準利率が用いられます。これにより、株主が実際に受け取る配当収入から株価を逆算することができます。
配当還元方式のメリット
- 安定した評価額:企業の一時的な利益の変動が評価額に影響しないため、長期的な配当実績が評価に反映され、安定性が高い。
- 計算が容易:配当金額と利回りから株価が計算できるため、企業価値の算定に手間がかからず、簡易な評価が可能。
配当還元方式のデメリット
- 純資産が評価に反映されない:企業の資産規模や利益を反映しないため、実際の事業価値が十分に反映されない可能性がある。
- 配当が少ない企業には不向き:配当実績が乏しい場合、評価額が低くなりすぎることがあり、実際の価値を十分に評価できない可能性がある。
配当還元方式が選ばれる理由
この方式は、事業承継時や税務上の評価で多く用いられ、税負担を抑えたい中小企業の経営者にも人気があります。評価額が比較的低く算出されるため、承継者への税負担が軽減されるなどのメリットもあります。