残価設定型住宅ローンは危険?FP・不動産投資家の私がおすすめしない7つの理由【2026年最新版】

更新日:

「月々の支払いが安い」に飛びつく前に知っておきたいこと

最近、「残価設定型住宅ローン」という新しい仕組みが注目を集めています。

「月々の返済額を抑えられる」
「老後の返済負担を軽くできる」
「住み替えしやすい」

そんな魅力的な言葉が並び、大手ハウスメーカーや金融機関、国土交通省も制度整備を進めています。

しかし、ファイナンシャルプランナーであり、不動産投資家でもある私個人の考えは少し違います。

正直に言えば、

私は残価設定型住宅ローンを積極的にはおすすめしません。

もちろん制度そのものを否定するつもりはありません。

一定の条件に合う人にとってはメリットもあります。

しかし、多くの人にとっては、

「今の負担を軽くする代わりに、将来のリスクを大きくする仕組み」

であるように感じています。

住宅ローンは人生最大の借金です。

だからこそ、「月々いくら払えるか」だけで判断してはいけません。

重要なのは、

30年後、40年後も安心して暮らせるかどうかです。

今回は、残価設定型住宅ローンの仕組みと、私がおすすめしない理由について本音で解説します。


残価設定型住宅ローンとは?

残価設定型住宅ローンとは、

将来の住宅価値(残価)をあらかじめ設定し、その部分を後回しにして、それ以外の金額だけを返済していく仕組みです。

例えば、

住宅価格4,000万円

将来の残価1,000万円

なら、

毎月返済する対象は3,000万円分となります。

つまり、

「4,000万円の家を買うけれど、今は3,000万円分だけ返済する」

という考え方です。

そして20~25年後の「残価設定月」を迎えた時、

残りの1,000万円を

・一括返済する

・再ローンを組む

・リバースモーゲージへ移行する

・住宅を売却する

などの方法で処理します。

一見すると合理的に見えます。

しかし、私はここに大きな落とし穴があると思っています。


なぜ残価設定型住宅ローンは危険なのか?

理由① 30年後の住宅価値なんて誰にも分からない

最大の問題はここです。

車なら5年後の中古価格はある程度予測できます。

しかし住宅は違います。

30年後、

・人口減少

・空き家増加

・災害

・金利上昇

・地域の衰退

・駅前再開発

などによって価値は大きく変化します。

今人気のエリアでも、

20年後に人気がある保証はありません。

まして地方都市では、

土地価格が大幅に下落する可能性もあります。

つまり、

「30年後の価値を前提にローンを組む」

という行為自体が非常に不確実なのです。

私は不動産賃貸業をしていますが、

20年前に人気だったエリアが現在も人気とは限りません。

未来は誰にも読めません。

それなのに、

「30年後の価値」を前提にすることに私は怖さを感じます。


理由② メンテナンスし続けることが前提になっている

残価設定型住宅ローンでは、

認定長期優良住宅などの性能維持が求められます。

つまり、

資産価値を守るためには、

定期点検や修繕が必要です。

しかし現実には、

築20年を超えると、

・外壁塗装

・屋根修繕

・給湯器交換

・キッチン交換

・浴室交換

・トイレ交換

・エアコン更新

など、

数百万円単位の修繕費が発生します。

「毎月の返済が楽になった」

と思っていたら、

別の形で大きなお金が必要になる。

これでは本末転倒です。

住宅は買ったら終わりではありません。

維持費も含めて住宅ローンなのです。


理由③ 総支払額はほぼ確実に増える

住宅ローンで見るべき数字は、

月々の返済額ではありません。

総支払額です。

残価部分を後回しにすると、

元本が減るスピードは遅くなります。

当然、

支払う利息は増えます。

毎月2万円安くなっても、

最終的に500万円多く払うなら、

本当に得でしょうか?

「月々いくらか」

より、

「人生でいくら払うか」

を見るべきです。


理由④ 老後に問題を先送りしているだけ

残価設定月になると、

リバースモーゲージへ移行できます。

すると元本返済が不要になり、

利息だけ払えばよくなります。

しかし、

これは問題の解決ではありません。

先送りです。

最終的には、

死亡時に売却するか、

相続人が処理することになります。

つまり、

自分が払わなくなっただけで、

問題そのものは残っているのです。


理由⑤ 団信が使えなくなる可能性

一般の住宅ローンでは、

団体信用生命保険によって、

死亡時にはローン残高がゼロになります。

しかし、

リバースモーゲージ移行後は、

団信の対象外となる場合があります。

高齢になるほど病気リスクは高まります。

だからこそ、

団信がなくなることは想像以上に大きなリスクです。


理由⑥ 「買える」と「買っていい」は違う

これが一番危険です。

本来4,000万円が予算だった人が、

返済額が下がることで、

5,000万円の家を買えてしまう。

しかし、

借りられる金額と、

無理なく返せる金額は違います。

住宅ローンで失敗する人の多くは、

「借りすぎ」です。

毎月の返済額が低いと、

危険信号が見えなくなります。


理由⑦ 日本は人口減少時代だから

日本は人口減少社会です。

2050年には1億人を下回るとも言われています。

空き家は増え続けています。

地方では、

土地が売れない、

家が売れない、

という事例も増えています。

つまり、

今後の住宅価格は

「上がる」

ではなく、

「下がる」

を前提に考える方が安全です。

そんな時代に、

30年後の価値を前提にする仕組みは、

私には少し危険に思えます。


唯一向いている人もいる

私は基本的にはおすすめしません。

しかし、

向いている人もいます。

・子どもがいない

・相続人がいない

・家を資産として残すつもりがない

・住み替え前提

・老後資金を優先したい

こういう人には合理的な面もあります。

ただ、

日本人の多くが考える

「家を子どもに残したい」

「老後も住み続けたい」

という価値観とは少し相性が悪いと思います。


個人的には普通の住宅ローンをおすすめしたい

私自身なら、

多少家のグレードを下げても、

借入額を抑え、

定年前後で完済できる計画を選びます。

なぜなら、

住宅ローン最大のメリットは、

「毎月の支払いが安いこと」

ではなく、

老後に住宅費がなくなること

だからです。

60代、70代になっても

ローンを気にし続ける人生より、

完済した安心感の方が大きいと思っています。


「住宅ローンは借金」ではなく「人生設計」

残価設定型住宅ローンは、

悪い制度ではありません。

国も推進しています。

しかし、

制度が良いことと、

自分に合うことは別です。

住宅ローンで見るべきなのは、

「今」ではありません。

30年後です。

40年後です。

本当に考えるべきことは、

月々いくら払えるかではなく、

「老後も安心して暮らせるか」

です。


結論|私は残価設定型住宅ローンを積極的にはおすすめしない

残価設定型住宅ローンには、

確かにメリットがあります。

✔ 月々の支払いを減らせる

✔ 老後負担を軽くできる

✔ 住み替えしやすい

しかし、

その裏には、

✔ 将来価値は予測できない

✔ メンテナンス費用が必要

✔ 総支払額は増える

✔ 老後に問題を先送りする

✔ 団信リスクがある

✔ 借りすぎを誘発する

✔ 人口減少社会と相性が悪い

というリスクもあります。

個人的な結論としては、

「今を楽にする代わりに、未来を難しくする可能性があるローン」

という印象です。

住宅ローンは人生最大の借金です。

だからこそ、

「借りられる額」ではなく、

「安心して返せる額」

を基準に考える。

それが、20年後、30年後に後悔しない家づくりにつながるのではないかと思います。

Copyright© 株式会社RAD , 2026 All Rights Reserved.