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【2026年最新】タングステンショック到来!中国輸出規制で製造業に迫る危機
「ナフサショック」「アルミショック」に続き、今度は製造業にとってさらに深刻な危機が訪れようとしています。
それが、
タングステンショック
です。
多くの経営者は原油価格や中東情勢に注目していますが、実際には日本のものづくり企業にとって、タングステン不足の方が深刻な問題になる可能性があります。
なぜなら、タングステンは代替が極めて難しく、自動車、航空機、半導体、精密機械、金型加工など、日本の基幹産業を支える「超硬工具」の主原料だからです。
2026年に入り、中国による輸出規制強化の影響が顕在化し、すでに国内メーカーでは値上げや供給制限が始まっています。
今回は、この「タングステンショック」の全貌と、中小企業が今から備えるべき対策について解説します。
タングステンとは何か?
タングステンはレアアースではなく、
レアメタル(希少金属)
に分類される金属です。
最大の特徴は、
- ダイヤモンドに次ぐ硬さ
- 高い耐摩耗性
- 極めて高い耐熱性能
を持つことです。
そのため、
- 超硬工具
- ドリル
- エンドミル
- 金型
- 半導体部材
- 電子機器部材
- 航空宇宙部品
などに幅広く使用されています。
現代の製造業において、
「タングステンなしでは加工できない」
と言っても過言ではありません。
なぜ今タングステン不足なのか?
理由① 中国が世界シェアの約80%を握っている
最大の問題は供給の偏在です。
現在、世界のタングステン生産量の約80%を中国が占めています。
つまり、中国の政策ひとつで世界市場が大きく左右される構造になっています。
理由② 中国が輸出規制を強化
2025年2月、中国政府はタングステンなどのレアメタルを輸出規制対象に追加しました。
さらに2026年に入り、
- 炭化タングステン
- タングステン粉末
の日本向け輸出が実質停止状態となっています。
中国税関のデータによれば、
2026年2月~4月の日本向け輸出量はゼロ。
つまり、
「中国から物が入ってこない」
という事態が現実に起きています。
理由③ 国内メーカーも値上げへ
需給逼迫を受け、
- 住友電工
- 三菱マテリアル
などの大手メーカーは価格改定を実施。
三菱マテリアルは一部製品について最大3倍以上の値上げを発表しています。
加工現場では、
「超硬工具が手に入らない」
「納期が見えない」
という声も増え始めています。
本当に怖いのは「代替材料がほぼない」こと
アルミや鉄であれば代替材料があります。
しかしタングステンは違います。
超硬工具の性能を実現するうえで、
- 硬度
- 耐熱性
- 耐摩耗性
を同時に満たす代替材料はほぼ存在しません。
そのため、
供給不足=生産能力低下
につながる可能性があります。
製造業にどんな影響が出るのか?
① 工具コスト上昇
切削工具価格の上昇による原価増加。
② 納期遅延
工具不足による加工能力低下。
③ 利益率悪化
価格転嫁できない企業は利益を圧迫される。
④ 設備稼働率低下
工具調達ができず受注対応が困難になる。
⑤ 倒産リスク増加
特に下請け加工業者は深刻です。
原価上昇を価格転嫁できない企業から資金繰りが悪化する可能性があります。
これは2024~2025年に起きた
- 建設業
- 飲食業
- 介護業
- 運送業
の倒産増加と同じ構図です。
既に始まっている「脱中国」の動き
三菱マテリアルは100億円投資
三菱マテリアルは、
- 日本
- 欧州
で総額100億円規模の投資を発表。
目的は、
タングステンリサイクル能力の増強
です。
住友電工もリサイクル拡大
住友電工グループは1980年代からタングステンリサイクルを推進。
現在では中国依存度を約30%まで低下させています。
「スクラップ」が資源になる時代
今回の危機で最も注目されているのが、
超硬工具スクラップ
です。
実は、
鉱石中のタングステン含有率は1%未満ですが、
超硬工具には80%以上のタングステンが含まれています。
つまり、
捨てられていた超硬工具の方が高品質な資源なのです。
日本機械工具工業会もガイドライン改定
2026年6月、
日本機械工具工業会は、
超硬工具スクラップの海外流出を防ぐためのガイドライン改定を発表しました。
背景には、
国内での資源循環を強化し、
中国依存から脱却する狙いがあります。
今後は、
「スクラップ回収事業者」
のリスト整備なども進められる予定です。
中小企業が今すぐ取るべき5つの対策
① 超硬工具の在庫管理を徹底する
不要なロスを削減する。
② スクラップ回収ルートを確保する
捨てるのではなく資産として管理する。
③ 工具寿命の延長を図る
再研磨や再利用を積極活用する。
④ 原価上昇を価格転嫁する
早期の顧客説明が重要。
⑤ 脱中国リスクを経営課題として認識する
タングステンだけではありません。
今後、
- レアアース
- ガリウム
- ゲルマニウム
- アンチモン
などでも同様のリスクが発生する可能性があります。
まとめ|タングステンショックは製造業の構造問題である
タングステン不足は一時的な価格高騰ではありません。
背景には、
- 中国依存
- 地政学リスク
- 資源ナショナリズム
- サプライチェーン再編
という構造的な問題があります。
そして今後、
「超硬工具スクラップ」
は単なる廃棄物ではなく、
戦略資源
として扱われる時代になるでしょう。
アルミショックの次はタングステンショック。
日本のものづくり企業にとって、2026年は資源戦略が企業存続を左右する重要な転換点になりそうです。
出典:日本経済新聞(2026年5月19日、5月28日、6月2日)、共同通信、TBS NEWS DIG、日刊工業新聞、上村製作所「ものづくりだより」等をもとに作成。