Contents
■ はじめに:採択はゴールではなくスタートである
省力化投資補助金(一般型)は、中小企業の省力化・省人化、生産性向上を支援する大型補助金です。しかし、あなたが採択されても、補助金は「自動で」振り込まれるわけではありません。
補助金を受け取るためには、
-
交付申請を提出し、交付決定を受ける
-
補助事業を適切に実施する(契約→納品→検収→支払)
-
実績報告を期限内に提出する
-
確定検査・現地調査に合格する
-
精算払請求を行う
-
補助金の振込を受ける
-
効果報告を5年間提出する
という厳格なプロセスを経る必要があります。
この過程で少しでも誤りがあると、
-
補助金の減額
-
補助対象外の判定
-
補助金の不交付
-
補助金の返還
といった重大なリスクまで発生します。
本記事は、あなたが「確実に補助金を受け取る」ために必要なすべてを、
添付資料(交付申請の手引き・実績報告の手引き・交付決定後の留意事項)から事実だけを引用し、体系的にまとめた完全ガイドです。
第1章 採択後にまず知るべき“絶対ルール”
● 採択後にまずやること:研修動画視聴(修了証が必須)
採択者は必ず「研修動画の視聴+確認テスト」を行い、修了証を取得する必要があります。
「確認テスト終了後に発行される修了証は交付申請時に提出が必要」
未視聴のまま交付申請をすると 受理されません。
● 善管注意義務:事故・紛失・破損でも返還リスク
「善良な管理者の注意をもって補助事業を行わなければならない」
「紛失・焼失・破損でも故意がなくても返還となる場合がある」
つまり「知らなかった」「不注意だった」は通用しません。
● 保険加入は必須(付保割合50%以上)
「導入した機械装置を対象として保険または共済(付保割合50%以上)に加入することが必須」
「実績報告時に保険加入書類の提出が必要」
加入が確認できないと、補助金支払いが拒否されます。
● 交付申請の期限:採択から原則2か月以内
「交付申請は採択日から2か月以内を目途に速やかに提出すること」
「遅れ、催促に応じない場合は採択取り消し」
猶予はありません。
第2章 交付申請 ― 補助金の“本決まり”までの手続き
■ 交付申請でやること一覧
交付申請は「補助金の本決まり」を得るための重要なステップです。
主な提出内容
-
事業計画書(応募時内容の確認)
-
修了証(動画研修)
-
見積書(相見積ルールあり)
-
賃金引上げ計画の表明書
-
経費明細(システム入力)
● 交付申請前に特に注意すべき点
(1)交付決定前に契約(発注)すると全額補助対象外
「いかなる理由でも交付決定前の発注等は補助金の交付を受けることができない」
よくある最大のミスです。
(2)見積書の取得方法(相見積の扱い)
「見積書の取得」「業者選定理由書」が必要
単価50万円未満でも原則見積は取るべきです。
特定業者しか扱えない設備は「選定理由書」で説明します。
(3)経費区分の誤りは後で致命傷になる
経費区分は「設備」「役務」「運搬」など細かく分かれます。
交付申請の時点で誤ると実績報告で大混乱します。
● 交付決定後の留意事項(重要)
交付申請が通り「交付決定通知」を受け取って初めて事業が開始できます。
交付決定後は、
-
計画変更の承認
-
事故報告
-
登録情報変更
-
財産管理
-
がすべて厳格に監視されています。
「登録情報に変更があれば事務局に連絡」
「変更承認を受けずに実施すると交付対象外」
第3章 補助事業の実施 ― 契約→納品→検収→支払は絶対順守
省力化投資補助金では、
契約(発注) → 納品 → 検収 → 請求 → 支払
という順番を絶対に守る必要があります。
「契約、納品、検収、請求、支払の全て完了が補助事業完了日」
ひとつでも欠けると補助対象外です。
● 事業完了期限に超過すると補助金不交付
「補助事業完了期限までに完了できない場合は速やかに連絡」
「期限内に完了しなければ補助金は支払われない」
● 単価50万円以上は「処分制限財産」として厳重管理
「単価50万円以上の設備は処分制限財産」
「処分には事前承認が必要」
リースの場合も同様です。
第4章 実績報告 ― 最もミスが発生しやすい最大の山場
実績報告は 補助金を受け取るための最重要ステップ。
ここが最も差し戻しの多い工程です。
● 実績報告の提出期限(超重要)
「完了日から30日以内 または 完了期限日のいずれか早い日まで」
「期限を過ぎると補助金の交付を受けられない」
● 実績報告で提出する書類(必須一覧)
実績報告の手引きには以下の提出書類一覧があります。
「必要書類を整理し、提出漏れのないよう注意」
主な書類は以下の通り:
◎ 証憑類(必須)
-
契約書 / 注文書
-
納品書
-
検収書
-
請求書
-
支払証憑(通帳コピー等)
-
仕様書
-
写真(導入設備の設置状況)
-
保険加入証明
-
見積書
● 経費区分ごとの注意点
実績報告では経費区分ごとに提出書類が異なります。
-
機械設備
-
システム構築
-
運搬費
-
据付工事
-
役務(システム料・導入費)
書類不足は差し戻しの原因です。
● 実績報告後の流れ
「実績報告提出後、事務局にて確定検査」
「現地調査あり」
◆ 現地調査で確認されるもの:
-
設置状況
-
シリアル番号
-
稼働状況
-
帳簿、証憑の現物
「確認できない場合は補助対象外」
第5章 確定検査 → 精算払請求 → 補助金交付
確定検査が完了すると、
-
額の確定通知書が届く
-
マイページで精算払請求
-
補助金振込
という流れになります。
「精算払請求はマイページの精算払請求ボタンから行う」
第6章 補助金交付後の義務 ― 効果報告を5年間提出
補助金の交付後も義務は続きます。
「補助金の交付を受けた日の属する会計年度終了後5年間、毎年度60日以内に効果報告を提出」
提出しないと補助金返還の可能性があります。
第7章 よくある失敗例と防止策
● (1)交付決定前に契約・発注してしまった
→ 全額補助対象外
● (2)納品書・請求書・支払日のズレ
→ 日付整合性が必須
● (3)検収書がない
→ 補助対象外になるケース多数
● (4)実績報告書類の不足
→ 差し戻し連発 → 期限切れで補助金不交付
● (5)保険加入証明を提出し忘れ
→ 補助金不交付の重大リスク
● (6)実績報告期限を1日でも過ぎた
→ 即アウト(受理されない)
第8章 全体フローまとめ
-
採択
-
研修動画視聴(修了証)
-
交付申請(2か月以内)
-
交付決定通知
-
補助事業開始(発注→納品→検収→支払)
-
実績報告(完了後30日以内)
-
確定検査・現地調査
-
精算払請求
-
補助金交付
-
効果報告(5年間)
■ まとめ:省力化投資補助金は「正確な手続き」が最重要
採択を受けても、
交付申請・実績報告・確定検査のいずれかで致命的な失敗をすると補助金は一円ももらえない
という厳しい制度です。
しかし本記事の内容を理解し、期限を守り、証憑類を適切に整えれば、
補助金を確実に受け取ることができます。
今後も手引きの改訂が続くため、必ず最新資料をご確認ください。
お問い合わせ