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はじめに
小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業主にとって非常に人気の高い補助制度です。無事「採択」された方にとって、ここからが本番。補助金は申請時点ではまだ支給されず、「交付決定」→「補助事業実施」→「実績報告」→「事業化状況報告」 という一連の流れを適切に進めることが不可欠です。
本記事では、採択後にやるべき手続きを網羅的に整理し、流れや注意点を分かりやすく解説します。
1. 採択から交付決定までの流れ
1-1. 採択通知の受領
審査の結果、補助金事務局から「採択通知書」が届きます。ただし、採択=補助金確定ではありません。あくまで「補助金を受ける候補者」に選ばれた段階です。
1-2. 見積書等の提出
交付決定前に必ず行うのが、見積書や契約書の提出です。経費の妥当性を証明するため、以下のようなルールがあります:
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1件あたり100万円(税込)を超える場合は、2者以上からの相見積が必要
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中古品を購入する場合も、必ず2者以上の業者から見積取得が必要
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見積内容が不明確な場合、対象外とされることもある
1-3. 交付申請・交付決定
必要書類が揃うと、補助金事務局から「交付決定通知書」が届きます。ここに記載された交付決定日以降に発生した経費のみが補助対象です。交付決定前の支出は全額対象外となるため注意してください。
2. 補助事業の実施と支出のルール
交付決定後に補助事業を開始します。ここでは経費支出のルールが非常に厳格です。
2-1. 経費支出の基本ルール
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支払いは 銀行振込が原則(10万円超は現金払い不可)
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クレジットカード払いの場合、口座引落日が事業実施期間内であること
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小切手・商品券・オークション購入は対象外
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領収書、請求書、振込明細書などの証憑を必ず保管する
2-2. 補助対象経費の範囲
補助対象となる経費は、以下のように定められています:
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機械装置等費
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広報費(チラシ、看板、広告)
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ウェブサイト関連費(最大50万円)
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展示会出展費
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旅費
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新商品開発費
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借料
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委託・外注費
3. 実績報告書の作成と提出
3-1. 実績報告書とは?
補助事業終了後に提出する報告書で、実際に行った事業内容と支出の証明をまとめたものです。これが認められないと補助金は支払われません。
3-2. 提出書類の内容
実績報告では以下が必要です:
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実績報告書(様式第8)
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経費明細表
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領収書・請求書・振込明細の写し
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仕様書や納品書(機械装置等を導入した場合)
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写真(看板や店舗改装など成果が分かるもの)
3-3. よくある不備例
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支払日が事業実施期間を過ぎている
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領収書と振込明細の金額が一致していない
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補助対象外経費が混ざっている
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写真が不足していて事業実施の証明ができない
4. 確定検査と補助金請求
4-1. 確定検査
提出された実績報告をもとに、補助金事務局が経費の適正性を確認します。不備がある場合は修正依頼が届くため、対応に時間がかかることもあります。
4-2. 補助金の請求・入金
確定検査が完了すると補助額が確定し、補助金の請求が可能となります。その後、指定口座に補助金が振り込まれます。
5. 事業化状況報告(フォローアップ)
5-1. 提出の目的
補助金は「投資の効果」が問われるため、事業終了から1年後に「事業化状況報告書(様式第14)」を提出する義務があります。
報告内容は以下の通りです:
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売上高の増加状況
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新規顧客の獲得状況
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設備や広告の効果
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賃金引上げ状況(特例活用の場合)
5-2. 提出を怠るとどうなるか?
提出しない場合、次回以降の申請ができなくなるだけでなく、補助金の返還命令が出るリスクもあります。
6. 採択後の注意点まとめ
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採択=補助金確定ではない。交付決定日以降の経費のみ対象。
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支払い方法は厳格。現金払い不可(10万円超)、振込記録必須。
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見積書・契約書を必ず準備。特に高額機械や中古品は要注意。
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実績報告が命。証憑と写真の不足は不支給につながる。
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事業化状況報告を忘れない。1年後に必ず提出。
まとめ
持続化補助金は「採択」された後こそが重要です。交付決定の手続きから、事業実施・実績報告・事業化状況報告まで、一つでも抜け漏れがあれば補助金は支払われません。
裏を返せば、流れを正しく理解して準備しておけば、安心して補助金を受け取れる制度でもあります。
この記事を参考に、ぜひスムーズな補助金活用を進めてください。
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