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はじめに
2025年9月19日より、中小企業省力化投資補助事業(一般型)の第4回公募が始まりました。
本制度は、中小企業や小規模事業者が人手不足や長時間労働といった課題を克服するために、IoT・AI・ロボットなどの先端技術を活用した設備投資を支援し、生産性向上や賃上げを実現することを目的としています。
第1回公募から大きな注目を集めてきた本補助金ですが、第4回公募は事業環境の変化を踏まえ、より多くの企業にチャンスを提供しています。本記事では、第4回公募の制度概要・対象者・補助額・補助率・対象経費・申請の流れ・審査ポイント・注意点を網羅的に解説します。
1.省力化投資補助金(一般型)の目的
省力化投資補助金は、単なる「設備購入支援」ではありません。その目的は大きく3つに整理できます。
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人手不足の解消
人材確保が難しい中小企業において、省人化・自動化投資を通じて労働負担を軽減する。 -
付加価値額・労働生産性の向上
売上拡大や利益改善を図り、企業全体の競争力を高める。 -
賃上げへの波及
省力化で生まれた余力を人材育成・賃上げに還元し、持続的成長を支援する。
このように「人材不足 × 生産性向上 × 賃上げ促進」を同時に解決することを狙った政策的補助金です。
2.補助額・補助率
第4回公募の補助額と補助率は以下の通りです。
補助上限額(従業員数に応じて変動)
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5人以下:750万円(特例1,000万円)
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6〜20人:1,500万円(特例2,000万円)
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21〜50人:3,000万円(特例4,000万円)
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51〜100人:5,000万円(特例6,500万円)
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101人以上:8,000万円(特例1億円)
補助率
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補助金額1,500万円まで:中小企業1/2(特例で2/3)
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1,500万円超の部分:1/3
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小規模事業者・再生事業者:2/3(1,500万円超は1/3)
特例として、大幅賃上げや最低賃金引上げ対応を計画する場合、上限額や補助率が引き上げられる仕組みがあります。
3.対象者
以下に該当する中小企業・小規模事業者が対象となります。
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日本国内に法人登記・事業拠点を有する中小企業
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小規模企業者(製造業等20人以下、小売・サービス業5人以下)
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再生事業者(中小企業再生支援協議会の計画策定中・策定済企業)
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特定非営利活動法人や社会福祉法人の一部も対象
一方で、医療法人の保険適用事業や他補助金での不正がある事業者は対象外となります。
4.対象経費
補助対象となる経費は以下の通りです。
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機械装置・システム費(ロボット、AI、IoT機器、専用システム)
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工具・器具費
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リース料(リース協会認定会社との共同申請に限る)
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外注加工費・専門家経費(導入に必要なシステム構築費など)
ただし、自社開発のソフトウェアや医療保険適用設備などは対象外です。
5.申請スケジュール
公式サイトの公表によると、第4回公募のスケジュールは以下の流れです。
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公募開始日:2025年9月19日(金)
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申請受付開始日:公式HPにて後日発表
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公募締切日:例年の流れからみて 11月下旬頃(予定)
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採択発表:2026年初旬(予定)
採択後は、交付決定日から**18か月以内(採択発表日から20か月以内)**に事業を完了させ、実績報告まで行う必要があります。
6.申請の流れ
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事前準備
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GビズIDプライムの取得(発行に数週間かかるため早めの対応必須)
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補助対象設備の選定、見積もり取得
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応募申請
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電子申請システムにて事業計画書を提出
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審査
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外部有識者による厳正な審査
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書面審査+加点要素
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採択・交付申請
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採択後、交付申請書類を整備
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補助事業実施
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実績報告・確定検査
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補助金交付
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効果報告(5年間)
7.審査と加点ポイント
審査では以下が重視されます。
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省力化効果(省力化指数の根拠が明確か)
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付加価値額や労働生産性の向上見込み
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投資回収期間の合理性
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賃上げや人材育成への波及効果
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実施体制の実現可能性
さらに加点対象として、以下の取り組みがあります。
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大幅賃上げ計画
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最低賃金の引き上げ対応
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GX・DX推進への取り組み
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認定支援機関の関与
8.注意点
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電子申請必須:代理申請や外部業者任せは不可。不正や不備があれば不採択リスクあり。
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過去の補助金との重複申請に注意:類似計画の申請は制限あり。
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補助金交付後の5年間の効果報告義務がある。
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処分財産の制限:取得した設備は転売・転用不可。
まとめ
第4回公募となる「省力化投資補助金(一般型)」は、人手不足解消と生産性向上、そして賃上げにつなげるための中小企業支援策として注目されています。
従業員数に応じて最大1億円までの補助を受けられるチャンスであり、特にロボット・IoT・AI・専用設備の導入を検討している企業にとって絶好の機会です。
採択を目指すには、単なる省人化ではなく「浮いたリソースをどう活かして付加価値を生むか」を明確に描くことが不可欠です。早めの準備で、ぜひこのチャンスを掴んでください。
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