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はじめに
2024年度、ついに「中古車販売店」「飲み屋(居酒屋・バー等)」「経営コンサルタント業」「脱毛サロン」の4業種で倒産件数が過去最多を記録しました。
それぞれの業界で何が起きていたのか、どんな共通点があるのか?
そして、今後どうすればこの波に飲まれずに生き残ることができるのか。
この記事では、帝国データバンクや東京商工リサーチの調査をもとに、倒産の背景・要因・そして対策をわかりやすく整理してお届けします。
1. 中古車販売業|価格高騰と競争激化に沈んだ零細店舗
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倒産件数:98件(前年比38%増)
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原因:仕入れ価格高騰・販売不振・財務体力の弱さ
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特徴:倒産の88.7%が従業員5人未満の零細事業者
ポイント: ビッグモーター問題を契機に市場の透明化が進む一方で、販売力や資金力の弱い店舗は価格競争に耐えきれず退出。EV化や少子化の影響もあり、旧来型ビジネスモデルからの転換が迫られています。
2. 飲み屋(居酒屋・バー等)|価格転嫁できない“八方塞がり”
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倒産件数:276件(前年比17.4%増)※1989年度以降で最多
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原因:物価高・人手不足・値上げ困難・過剰債務
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特徴:94.9%が資本金1,000万円未満の小規模事業者
ポイント: ゼロゼロ融資の返済が始まり、支援なき経営がスタート。原材料・光熱費・人件費のすべてが上昇する中で、価格転嫁できずに利益が圧迫。コロナ明けの客足回復も二極化し、“繁盛店と撤退店”の格差が拡大。
3. 経営コンサルタント業|「経営のプロ」こそ淘汰の波に飲まれる時代
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倒産件数:151件(過去最多)
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原因:顧客ニーズの高度化・専門性不足・AIによる代替
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特徴:94%が従業員5人以下、ほぼ単独事業体
ポイント: DX、事業承継、M&Aなど支援領域は拡大する一方で、「なんでも屋」「経験則頼り」のコンサルは淘汰の対象に。情報整理や調査はAIが代替し、顧客は“結果重視”へ。属人的な関係だけでは生き残れません。
4. 脱毛サロン業|前受金ビジネスの限界と信頼崩壊
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倒産件数:16件(前年比45.4%増)※3年連続最多更新
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原因:過大な広告投資・過剰出店・返金不能問題
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特徴:有名人広告→前受金回収→出店拡大という“自転車操業型モデル”が破綻
ポイント: アリシアクリニックのような大型倒産では、10万人以上が返金トラブルの被害に。前受金モデルのリスクが顕在化し、業界全体の信用失墜。契約者保護の観点からも、ビジネスモデルの抜本的見直しが急務です。
共通点と経営者が学ぶべきこと
これら4業種に共通しているのは、以下の3点です:
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コスト上昇と価格転嫁の難しさ
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市場の変化に適応できないビジネスモデル
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“零細”ゆえの財務・人材・ブランドの脆弱性
そして、特に重要なのが「過去の成功体験に固執した結果、変化に対応できなかった」こと。
生き残るためのヒント
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収益構造の再設計
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単価・回転数・粗利を再検討し、利益を生む導線を再構築
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差別化・ポジショニングの明確化
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安売りではなく「なぜ選ばれるか」の設計
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財務基盤と資金繰りの強化
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自己資本・CF改善、借入の見直しを
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人材・スキルへの投資
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自分も、従業員も、常に学び続ける体制を
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事業撤退と転換の判断基準を持つ
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継続すべきか、畳むべきかを早期に見極める勇気を
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おわりに
「倒産=自分には関係ない」と思っていた経営者ほど、変化に取り残されやすいものです。
今こそ、足元のビジネスモデルを見直し、経営の舵取りを再考すべきタイミングです。
この記事が、1人でも多くの経営者にとって危機回避と成長のきっかけになれば幸いです。