1. はじめに
「破産しても財産をすべて失うわけではない」ことをご存じでしょうか?
破産手続きをすると、財産は基本的に「破産財団」に組み込まれますが、特定の財産は「自由財産」として保有を認められる 仕組みになっています。
✅ 破産手続きで差押えを免れる「自由財産」とは?
✅ どのような財産が自由財産に含まれるのか?
✅ 自由財産の上限や制限は?
✅ 破産後の生活に必要な財産はどこまで守られるのか?
本記事では 自由財産の仕組みや適用範囲をわかりやすく解説 します。
2. 自由財産とは?
2-1. 破産手続きにおける自由財産の定義
自由財産とは、破産手続きが進行しても、破産者が手元に残せる財産 のことです。
これは 最低限の生活を維持するための財産保護 を目的としており、法律によって認められています。
📌 自由財産の基本的な考え方
- 破産手続きにおいては、原則すべての財産が破産財団に組み込まれる
- しかし、生活再建を目的に特定の財産は差押えを免れる
- 自由財産の範囲は法律で定められ、例外的に追加認定されることもある
2-2. 自由財産に該当する財産
法律で明確に定められている自由財産には、以下のものがあります。
📌 法律上の自由財産(破産法34条) ✅ 99万円以下の現金(これを超える場合は破産財団へ)
✅ 差押え禁止財産(民事執行法で定められた財産)
✅ 破産管財人が特別に認めた財産(自由財産の拡張)
📌 差押え禁止財産とは?
- 生活必需品(衣服・寝具・家電・家具など)
- 仕事で必要な道具・機器(自営業者の最低限の仕事道具)
- 扶養義務を果たすための財産(生活に直結するもの)
💡 ポイント 会社経営者や個人事業主が破産する際、事業資産は原則として破産財団に含まれる ため、法人破産では自由財産がほぼ適用されません。
3. 自由財産の範囲と制限
3-1. 自由財産の上限と基準
破産法では、自由財産の上限を 現金99万円まで と定めています。
これは 破産手続きが完了した後も、最低限の生活費として認められる範囲 です。
📌 自由財産の例
財産の種類 | 自由財産の範囲 |
---|---|
現金 | 99万円以下 |
預貯金 | 生活費相当額のみ |
家具・家電 | 生活必需品のみ |
自動車 | 必要最低限(ローン残高なしの場合) |
事業用資産 | 原則すべて破産財団に組み込まれる |
⚠️ 注意点
- 現金が99万円を超える場合、超過分は破産財団に組み込まれる
- 高額な資産(高級家電・車両など)は差押え対象になる可能性がある
- 事業資産は自由財産に含まれないため、破産後の再起を考える場合は要相談
3-2. 自由財産の拡張とは?
破産管財人が裁判所の許可を得て、特定の財産を自由財産として認める制度 があります。
これを 「自由財産の拡張」 と呼びます。
📌 自由財産の拡張が認められるケース
✅ 破産後の生活維持に必要な預貯金
✅ 破産者の職業継続に必要な機材・設備
✅ 社会生活を維持するための資産(スマートフォン・PCなど)
💡 例:個人事業主の場合
- 事業の再開に必要な最低限の設備(工具・機械など)が自由財産として認められるケースもある。
📌 自由財産の拡張を受けるには?
1️⃣ 破産管財人に申請
2️⃣ 裁判所の許可を得る
3️⃣ 認められた財産は破産財団から除外される
しかし、自由財産の拡張が必ず認められるわけではありません。
裁判所の判断により、拡張が認められない場合もあるため、慎重な対応が求められます。
4. 破産後に自由財産を守る方法
自由財産を適切に理解し、破産後の生活再建をスムーズに進めるための対策 を解説します。
4-1. 破産前に財産整理を行う
破産手続き前に、以下の点を整理しておくと、自由財産を最大限活用できます。
📌 破産前に確認すべきポイント ✅ 自由財産に該当する財産を把握する
✅ 不要な高額資産は事前に処分し、生活必需品を確保する
✅ 現金99万円以下の範囲に調整する(超える分は破産財団に組み込まれるため)
💡 注意点
- 資産の意図的な処分(財産隠し) は「詐害行為」と見なされるため、法的リスクが発生します。
- 事前に専門家へ相談し、適切な方法で整理しましょう。
4-2. 破産後に生活を安定させるポイント
破産後の生活を立て直すために、以下の方法を活用しましょう。
📌 破産後の生活安定策 ✅ 生活保護や公的支援を活用する(条件に該当すれば受給可能)
✅ 最低限の貯蓄を維持し、計画的な生活を行う
✅ 職業訓練や再就職支援を受ける
✅ 金融機関のブラックリスト期間(約5〜10年)を理解し、信用回復を目指す
特に、破産後の 再起プランを事前に立てることが重要 です。
自己破産が決定した後の行動によって、再起までの時間が大きく変わります。
5. よくある質問(Q&A)
Q1. 破産するとすべての財産がなくなるのですか?
➡ いいえ、最低限の生活に必要な「自由財産」は残ります。
ただし、高額資産や贅沢品は破産財団に組み込まれるため、差押え対象になります。
Q2. 破産後も一定の預金は持てるのですか?
➡ はい、99万円以下の現金は自由財産として保持可能です。
また、裁判所の判断によって 必要最低限の預貯金 も自由財産として認められるケースがあります。
Q3. 破産しても車は持ち続けられますか?
➡ 車の価値とローンの有無によります。
- ローン残債がある場合 → 返済義務があるため、基本的に車は引き上げられる
- ローンがない場合 → 市場価値が低ければ自由財産として認められる可能性あり
Q4. 事業用資産は自由財産に含まれますか?
➡ いいえ、基本的に事業用資産は破産財団に組み込まれます。
ただし、最低限の仕事道具(職人の工具など)は自由財産として認められることもあります。
6. まとめ
本記事では、「自由財産」の仕組みや適用範囲、破産後の生活について解説しました。
📌 この記事のポイント ✅ 破産しても生活に必要な一定の財産は保護される
✅ 自由財産には「現金99万円以下」「生活必需品」などが含まれる
✅ 破産管財人の判断で「自由財産の拡張」が認められる場合もある
✅ 破産前の財産整理を適切に行うことで、破産後の生活再建がスムーズになる
破産は大きな決断ですが、自由財産の制度を活用すれば、生活を立て直すチャンスは十分にあります。
適切な情報をもとに、計画的に対応しましょう!