自社の業績が下降してきた場合には、なるべく早期に対処を行うことが重要です。しかし、そのような際に中々多くの資金を投じることも難しいでしょう。
経営改善の手法として、企業の状況に応じた適切な計画を策定することが重要です。そういう取り組みを行う際に、補助金が活用できるか否かは、非常に大きな決め手ともなるでしょう。
本稿では、「早期経営改善計画」と「経営改善計画」について、それぞれの内容をわかりやすく整理し、法的知識や事業再生の知識がない方にも理解しやすいように解説します。
1. 早期経営改善計画
目的 早期経営改善計画は、企業が資金繰りや経営管理に不安を感じた際に、早期の段階で経営改善を図るための計画です。この計画は、金融機関への返済条件の変更が必要となる前に実施されるもので、企業の健全な経営を維持するための予防的措置として位置づけられます。
対象 以下のような状況にある中小企業・小規模事業者が対象です。
- 資金繰りが不安定である
- 売上が減少している
- 自社の経営状況を客観的に把握したい
- 専門家から経営に関するアドバイスがほしい
- 経営改善の取り組みをフォローアップしてほしい
支援内容 認定経営革新等支援機関(専門家)の支援を受けて経営改善計画を策定する際、専門家への支払費用の2/3(上限25万円)が補助されます。計画策定後のフォローアップとして、伴走支援も提供されます。
補助内容
- 計画策定支援費用:上限15万円
- 伴走支援費用(期中):上限5万円
- 伴走支援費用(期末):上限5万円
計画の内容
- ビジネスモデルの俯瞰図
- 会社概要
- 資金実績・計画表
- 計画損益計算書(PL)
- アクションプラン 計画期間は1年から5年で設定されます。
メリット
- 早期に経営改善が図れる
- 専門家の支援を受けることで、計画の質が向上する
- 金融機関との関係が強化される
- 計画策定に時間と労力がかかるが、そのサポートを専門家から受けられる
- 伴走支援の費用が発生するが、2/3が補助金で賄われるため、キャッシュアウトが少ない
2. 経営改善計画
目的 経営改善計画は、すでに経営に問題を抱えている企業が金融機関への返済条件の変更を含めた経営改善を図るための計画です。企業が持続的に成長・発展するための具体的な行動計画を策定し、実行することを目的としています。
対象 以下のような状況にある中小企業・小規模事業者が対象です。
- 金融機関への返済条件の変更が必要
- 売上や利益の確保が困難
- 経営管理を強化したい
- コスト削減を図りたい
- 業況悪化の原因を把握したい
- 継続的な経営改善のフォローアップを希望する
支援内容 認定経営革新等支援機関(専門家)の支援を受けて経営改善計画を策定する際、専門家への支払費用の2/3(上限300万円)が補助されます。計画策定後のフォローアップとして、伴走支援も提供されます。
補助内容
- 計画策定支援費用:上限200万円
- 伴走支援費用:上限100万円
計画の内容
- ビジネスモデルの俯瞰図
- 会社概要
- 資金実績・計画表
- 計画財務3表(PL、BS、CF)
- アクションプラン 計画期間は5年程度で設定されます。
メリット
- 金融支援を得やすい
- 経営改善の取り組みが具体的かつ計画的に進められる
- 専門家の支援により、計画の質が向上する
- 計画策定に時間と労力がかかるが、専門家にサポートしていただける
- 伴走支援の費用などの持ち出しが少なく取り組める
デメリット
- 全ての取引金融機関の同意が必要となるケースがある
手続きの流れ
- 相談・依頼: 企業は最寄りの中小企業活性化協議会に相談し、事前相談書を受け取ります。
- 専門家の支援: 認定経営革新等支援機関(専門家)が企業と連携し、計画策定を支援します。
- 計画提出: 策定した計画を金融機関に提出し、同意書を受け取ります。
- 伴走支援: 計画策定後も専門家によるフォローアップ支援を受け、計画達成に向けたサポートを継続します。
まとめ
「早期経営改善計画」と「経営改善計画」は、それぞれの企業の状況に応じた適切な経営改善手法です。早期経営改善計画は、企業が資金繰りや経営管理に不安を感じた際に早期の段階で実施され、予防的な経営改善を図ることが目的です。一方、経営改善計画は、すでに経営に問題を抱えている企業が金融機関への返済条件の変更を含めた具体的な行動計画を策定し、持続的な成長・発展を目指します。どちらの計画も、専門家の支援を受けることで計画の質が向上し、企業の健全な経営を維持するための重要な手段となります。
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