M&Aの企業価値評価:インカムアプローチの基本と活用法

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M&A(企業の合併・買収)では、企業価値を適正に評価することが成功の鍵を握ります。その中でも「インカムアプローチ」は、将来の収益性を基に企業価値を算出する方法として、多くの専門家に採用されています。本記事では、インカムアプローチの基本概念や具体的な評価手法、実務での活用方法を解説します。


インカムアプローチとは?

インカムアプローチは、企業が将来生み出す利益やキャッシュフローに基づいて企業価値を評価する手法です。このアプローチでは、将来の収益性を現在価値に割り引いて評価するため、収益性の高い企業ほど高い価値がつけられる傾向があります。


インカムアプローチの主な評価手法

インカムアプローチには、以下の2つの主要な評価手法があります。

1. DCF法(Discounted Cash Flow Method)

DCF法は、以下のステップで企業価値を評価します。

  1. 将来キャッシュフローの予測
    対象企業の将来のフリーキャッシュフローを複数年にわたって予測します。

  2. 割引率の設定
    割引率には、一般的にWACC(加重平均資本コスト)を使用します。

  3. 現在価値の算出
    将来キャッシュフローを割引率で割り引き、現在価値を算出します。

  4. ターミナルバリューの計算
    事業継続価値を見積もり、現在価値に加算します。

  5. 企業価値の計算
    現在価値とターミナルバリューを合算し、企業価値を算出します。


2. キャピタリゼーション法

キャピタリゼーション法は、企業の一定期間の収益性を基に、単純な計算で企業価値を求めます。

  1. 一定期間の収益額を設定
    営業利益やフリーキャッシュフローを基にします。

  2. キャピタルコスト(資本コスト)の設定
    例えば10%といった一定のキャピタルコストを使用します。

  3. 企業価値の計算
    収益額をキャピタルコストで割り算し、企業価値を算出します。


インカムアプローチのメリットとデメリット

メリット

  • 将来性の反映
    企業の収益ポテンシャルを評価できる。

  • 広い適用性
    幅広い業種や事業モデルに対応可能。

デメリット

  • 予測の不確実性
    将来キャッシュフローの予測が難しい。

  • 複雑な計算
    割引率やターミナルバリューの設定に専門的な知識が必要。


インカムアプローチの実務活用

インカムアプローチは、以下のような場面で活用されています。

1. M&A価格交渉

買収側と売却側の双方がDCF法を用いて企業価値を算出し、適正な交渉価格を設定します。

2. 投資判断

インカムアプローチを使用して、投資のリターンが期待に見合うかを判断します。

3. 事業計画の策定

将来のキャッシュフロー予測を基に、経営戦略の方向性を定めます。


注意点と成功のポイント

  • 予測精度の向上
    信頼性の高いデータを基に、現実的な収益予測を行うことが重要です。

  • 専門家の助言
    割引率やターミナルバリューの設定には、専門家のアドバイスが必要です。

  • 他のアプローチとの併用
    マーケットアプローチやコストアプローチと組み合わせることで、より精度の高い評価が可能です。


まとめ

インカムアプローチは、企業の収益性を基に価値を評価するため、将来性のある企業を適切に評価するのに適しています。ただし、予測精度や計算方法には慎重さが求められるため、専門的な知識やデータが不可欠です。

M&Aや事業承継において、インカムアプローチを効果的に活用することで、交渉や戦略策定を有利に進めることができます。

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