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結婚式場は苦戦しているのに、なぜ結婚する人は増えているのか?
2026年6月23日、結婚に関する興味深い2つのデータが同日に公表された。
一つは厚生労働省の人口動態統計速報。
もう一つは東京商工リサーチによる結婚式場業界の業績調査である。
一見すると矛盾している。
なぜなら、
「結婚する人は増えているのに、結婚式場は減り続けている」
からだ。
しかし、この現象を正しく読み解くことで、今後の結婚関連ビジネスの方向性が見えてくる。
18年ぶりに出生数と婚姻数が同時増加
厚生労働省が公表した人口動態統計速報によると、2026年1~4月累計の出生数は222,559人(前年比1.0%増)、婚姻数は165,802組(前年比1.8%増)となった。
これは単なる数字以上の意味を持つ。
出生数と婚姻数が同時に前年を上回るのは、年間ベース比較で見ると実に2008年以来18年ぶりである。
少子化が進む日本において、久々に現れたポジティブな兆候と言えるだろう。
ただし「少子化が改善した」とは言えない
ここで注意が必要だ。
2026年の数値は前年比では増加しているが、2025年は歴史的な低水準だった。
そのため前々年比で比較すると、
- 出生数:3.2%減
- 婚姻数:1.3%減
となる。
つまり、
「2025年が悪すぎたため反動で増えた」
という側面もある。
少子化が本格的に反転したと判断するにはまだ早い。
婚姻数の増加はなぜ重要なのか
実は出生数は婚姻数の後を追う。
婚姻数は出生数の先行指標として知られている。
2024年の婚姻件数は前年比2.2%増。
2025年も前年比0.8%増となった。
そして今回、2026年の出生数が前年比1.0%増となっている。
これは婚姻数の増加が1~2年遅れて出生数に反映された結果と考えられる。
つまり、
婚姻数が増えなければ出生数は増えない。
今回の婚姻増加は、2027年以降の出生数回復への期待材料となる。
地方では婚姻数の増加が目立つ
今回の統計では、47都道府県のうち27都道府県で婚姻数が前年を上回った。
特に、
- 高知県
- 和歌山県
- 島根県
- 岡山県
- 香川県
では前年比5%超の婚姻増加となっている。
また大阪府も前年比4.7%増と高い伸びを示している。
地方においても結婚需要が一定程度回復している可能性が見えてきた。
出典:厚生労働省「人口動態統計速報(令和8年4月分)」
一方で結婚式場業界は厳しい淘汰の時代へ
婚姻数が増えているなら、結婚式場も好調なのではないか。
そう思うかもしれない。
しかし現実は違う。
東京商工リサーチの調査によると、結婚式場主要48社の2025年業績は、
- 売上高:3,040億1,900万円(前年比1.8%増)
- 最終利益:257億6,700万円(前年比80.8%増)
となり、業界全体では増収増益となった。
出典:東京商工リサーチ「2025年 結婚式場業 業績動向調査」
一見すると好調に見える。
だが、その内訳を見ると全く違う景色が見えてくる。
業界は明確な「二極化」に突入している
2025年の結婚式場業界では、
増収企業が
- 2024年:35社(72.9%)
- 2025年:26社(54.1%)
へ減少した。
一方、
減収企業は
- 2024年:12社(25.0%)
- 2025年:21社(43.7%)
へ増加している。
約1.7倍の増加である。
さらに、
- 増収増益:20社
- 減収減益:12社
となり、4社に1社が減収減益となった。
出典:東京商工リサーチ「2025年 結婚式場業 業績動向調査」
つまり、
勝つ企業と負ける企業が明確に分かれ始めているのだ。
なぜ結婚式場は苦戦しているのか
背景には大きく5つの変化がある。
① 若年人口の減少
結婚適齢人口そのものが減少している。
市場規模は長期的に縮小傾向にある。
② 結婚式離れ
結婚はする。
しかし結婚式は挙げない。
そんなカップルが増えている。
③ フォトウェディングの拡大
近年急成長しているのがフォトウェディング市場である。
写真撮影のみで思い出を残すスタイルは、費用負担も小さく若年層との相性が良い。
④ 少人数婚・レストラン婚の普及
家族中心の小規模な式が増えている。
大規模披露宴への需要は減少傾向だ。
⑤ 消費価値観の変化
若年層はモノよりコトを重視する。
豪華な式よりも、
- 新婚旅行
- 新生活資金
- 趣味や体験
へお金を使う傾向が強まっている。
実は倒産件数以上に深刻な数字がある
東京商工リサーチによると、
2025年の結婚式場業界では、
- 倒産:5件
- 休廃業・解散:13件
合計18件となった。
一方で新設法人は14件だった。
つまり、
退出企業数が新設企業数を上回る状況が2019年から7年連続で続いている。
出典:東京商工リサーチ「2025年 結婚式場業 業績動向調査」
これは単なる景気の問題ではない。
業界構造そのものが変化していることを示している。
今後伸びる結婚関連ビジネス5選
では、これから伸びるのはどのような分野だろうか。
① フォトウェディング
最も有望な市場の一つ。
低価格・短時間・SNS映えという現代ニーズに合致している。
② 少人数婚・家族婚
大規模披露宴から小規模ウェディングへのシフトは今後も続くだろう。
③ 婚活支援サービス
婚姻数増加の流れが続けば、
- 結婚相談所
- マッチングサービス
- 自治体婚活事業
なども恩恵を受ける可能性が高い。
④ 地方創生型ウェディング
地方移住や地域活性化と連動した結婚支援は今後の成長領域である。
⑤ 出産・子育て関連市場
婚姻数増加の先には出生数増加がある。
そのため、
- ベビー用品
- 保育サービス
- 教育サービス
- 子育て支援
なども中長期的な追い風を受ける可能性がある。
結婚ビジネスは「式を売る時代」から「体験を売る時代」へ
今回の統計から見える本質は明確だ。
結婚そのものは消えていない。
むしろ婚姻数は回復の兆しを見せている。
しかし、
従来型の豪華な結婚式市場は縮小している。
つまり、
これから求められるのは
「結婚式を売る会社」ではなく、
「人生の節目の体験をデザインする会社」
である。
フォトウェディング。
旅行型ウェディング。
少人数婚。
地域体験型ウェディング。
AIを活用した婚活支援。
市場は縮小しているのではなく、
再編されているのである。
まとめ
2026年は結婚関連市場にとって大きな転換点になる可能性がある。
厚生労働省の発表では、
- 出生数:222,559人(前年比1.0%増)
- 婚姻数:165,802組(前年比1.8%増)
となり、18年ぶりに出生数と婚姻数が同時に増加した。
一方で結婚式場業界では、
- 倒産・休廃業・解散:18件
- 新設法人:14件
となり、7年連続で退出企業数が上回っている。
出典:東京商工リサーチ「2025年 結婚式場業 業績動向調査」
つまり、結婚市場は回復の兆しがある。
しかし、結婚式場市場は再編・淘汰の時代に入った。
今後の勝者は、結婚式を売る企業ではなく、
新しい結婚体験を提供できる企業
になるだろう。
参考文献・出典
- 厚生労働省「人口動態統計速報(令和8年4月分)」
- 厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」
- 東京商工リサーチ「2025年 結婚式場業 業績動向調査」