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ホルムズ海峡は開放された。それでも安心できない理由
帝国データバンク最新調査が示す「第2のナフサショック」
「ホルムズ海峡が開放された」
そんなニュースを見て、
「これで原油高も終わり」
「物流も正常化する」
「物価高も落ち着くだろう」
と感じた経営者も多いのではないでしょうか。
確かに状況は改善に向かっています。
しかし、
中小企業にとって本当に重要なのは『原油価格』ではなく『現場で必要な資材が確保できるか』です。
そして、6月23日に公表された帝国データバンクの調査は、むしろ別のリスクが拡大していることを示しています。
ホルムズ海峡は回復に向かっている
ロイターによると、ホルムズ海峡ではLNG船や大型タンカーの通航が徐々に回復しています。
米中央軍によれば、20日には55隻の商船が通航し、1700万バレル超の原油が運ばれました。22日には大型タンカーの湾内進入も確認され、航行回復の兆しが見え始めています。
またトランプ大統領は、
「22日には1900万バレルが運ばれ、過去最高を記録した」
とSNSで発表し、
「ホルムズ海峡は完全に開放されている」
と強調しました。
米国とイランも60日以内の最終合意に向けてロードマップ作成で一致し、通信回線構築など不測の事態を避ける体制づくりも進められています。
しかし現場では「影響拡大」が続いている
一方、帝国データバンクが4,604社を対象に実施した調査では、
69.4%の企業が「3~4月より影響が強まっている」と回答
しました。
さらに、
事業への影響
- 原材料・部材コスト上昇 83.9%
- 調達不安定・入手困難 73.0%
- リードタイム長期化 50.2%
- 物流・包装コスト上昇 48.9%
- 見積・契約困難 42.8%
となっています。
つまり、
海峡再開=企業の正常化
ではないのです。
最も不足しているのは原油ではない
興味深いのは、
実際に支障が出ているものです。
トップは、
化学系加工資材(29.6%)
- 接着剤
- 塗料
- シンナー
- インキ
でした。
次いで、
包装・物流資材(20.2%)
- プラスチック容器
- 粘着テープ
設備・建築・電子部材(13.9%)
となっています。
つまり、
不足しているのは原油そのものではなく、
現場を支える副資材
なのです。
建設業は特に危険
帝国データバンクによると、
業種別の推定在庫日数は、
- 川上産業 50日
- 一次加工 52日
- 卸売流通 39日
に対し、
建設業は24日
しかありません。
つまり、
接着剤や塗料などが不足すれば、
工事そのものが止まるリスクがあります。
企業の半数以上が「在庫確保」に走っている
現在、
51.7%の企業が
「前倒し発注」
「安全在庫積み増し」
を行っています。
しかし、
37.2%は在庫確保ができていません。
つまり、
「確保できる企業」と「できない企業」
の格差が始まっています。
実はもっと怖い「取引先選別」
卸売・流通業では、
21.6%が
顧客対応の優先順位付け
を始めています。
つまり、
供給側は
「誰に優先して出荷するか」
を決め始めているのです。
価格改定に応じる会社
付き合いの深い会社
継続的な取引先
が優先され、
スポット取引や価格交渉ばかりする企業は後回しになる可能性があります。
本当の格差は「利益率」で決まる
今回の調査で興味深いのは、
企業規模よりも、
利益率
が重要だったことです。
赤字企業では、
- 見積困難 51.6%
- 資金繰り悪化 15.1%
と高水準でした。
一方、
利益率10%以上の企業では、
資金繰り悪化は2.7%にとどまっています。
つまり、
今回の危機は
「大企業と中小企業の差」
ではなく、
利益を出している会社と出していない会社の差
を拡大させているのです。
借入負担が重い会社ほど苦しくなる
有利子負債月商倍率10倍以上の企業では、
18.6%が資金繰り悪化を実感しています。
十分な利益とキャッシュがない企業ほど、
- 在庫確保
- 代替調達
- コスト吸収
ができなくなります。
中小企業経営者が今すぐ確認すべき7項目
①副資材の在庫
接着剤
塗料
包装材
フィルム
テープ
容器
②商流の確認
仕入先だけではなく、
さらに上流のメーカーまで把握する。
複数の仕入先でも元が同じなら意味はありません。
③価格転嫁
利益率を守る。
安売り競争を続けない。
④仕入先との関係強化
優先顧客になる努力をする。
⑤代替調達先の確保
平時から開拓しておく。
⑥キャッシュ確保
運転資金
融資枠
現預金
を厚くする。
⑦収益力向上
今回の調査で最も重要だったのは、
規模ではなく
利益率
でした。
まとめ
ホルムズ海峡は回復に向かっています。
原油価格も落ち着き始めています。
しかし、
帝国データバンク調査が示しているのは、
「供給不足の時代」から「選ばれる企業と選ばれない企業の時代」へ移行している
という現実です。
これから生き残る企業は、
「価格が下がるのを待つ会社」
ではなく、
- 利益率を高める
- キャッシュを持つ
- 仕入先と関係を深める
- 調達網を見直す
企業でしょう。
ホルムズ危機は終わりつつあります。
しかし、
企業間格差の時代は、これから始まるのかもしれません。