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はじめに
2025年度の「ものづくり補助金」において、海外進出や輸出を目指す中小企業にとって注目の制度が「グローバル枠」です。本記事では、グローバル枠の基本情報から、4つの取組類型、補助対象経費、申請時の注意点まで、公式資料をもとにわかりやすく解説します。
グローバル枠とは?目的と位置づけ
「グローバル枠」は、海外展開を通じて国内の生産性を向上させる事業者を支援する制度です。ただ単に輸出や進出を行うだけでなく、それが国内の雇用や付加価値向上に寄与する必要があります。
補助内容まとめ(2025年度版)
項目 | 内容 |
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補助上限額 | 最大3,000万円(条件により上乗せ最大1000万円あり) |
補助率 | 中小企業:1/2、小規模・再生事業者:2/3 |
対象経費 | 機械装置・システム構築費(必須) 技術導入費、外注費、運搬費、クラウド利用費、原材料費、知的財産権費用 海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費(※輸出等に限る) |
収益納付 | 不要(返納義務なし) |
基本要件(全て必須)
申請にあたっては、3~5年の事業計画において以下の数値目標を設定・達成する必要があります。
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付加価値額の年平均成長率:+3.0%以上
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給与支給総額の年平均成長率:+2.0%以上または最低賃金成長率以上
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事業所内最低賃金:地域最低賃金 +30円以上
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一般事業主行動計画の公表(従業員21名以上の場合)
※一部例外として、最低賃金引上げ特例事業者は④を除外可能。
特例制度あり|条件を満たすと補助が手厚く!
特例内容 | 要件 |
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補助上限額の加算(+100~1,000万円) | 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上、最低賃金+50円以上 |
補助率の引上げ(2/3) | 一定期間、最低賃金+50円以内の水準で30%以上の雇用 |
グローバル枠の4つの類型を解説
グローバル枠は以下の4つの取組類型に分かれており、目的と対象経費に応じて使い分けることが重要です。
① 海外市場開拓(輸出)
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概要:日本国内で製品やサービスを開発し、海外に販売。
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活用例:展示会出展、現地語のパンフレット作成。
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対象経費:機械装置、翻訳・通訳費、海外旅費、広告宣伝費など。
② 海外市場開拓(現地法人)
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概要:すでにある海外法人やグループ会社を活用して海外展開。
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注意点:国内の生産性向上が明確であることが条件。
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対象経費:①と同様だが、関係会社経由での展開が中心。
③ 海外直接投資
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概要:新たに海外に生産拠点を設置する。
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活用例:ベトナムに自社工場を建設し現地生産。
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対象経費:海外向け機械装置、技術導入費、海外旅費等。
④ 海外拠点連携型(逆輸入)
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概要:海外で製造した製品を日本に逆輸入して販売。
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活用例:中国でOEM製造し、日本で販売促進を行う。
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対象経費:日本国内での販売促進費・機械装置費など。
申請時の注意点
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補助事業は実施期間内に納入・検収・支払・実績報告まで完了必須
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他の補助金との重複受給は不可(併願は可能)
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発電設備(ソーラーパネル等)は全類型で対象外
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採択率は直近で約25%前後
まとめ
グローバル枠は、海外進出を支援するだけでなく、「国内への好影響」が前提とされる点が大きな特徴です。補助上限額が高く、支援内容も幅広いため、戦略的に活用すれば非常に強力な成長加速手段となります。
海外展開を目指す企業の皆さまは、4類型のどれが自社に最適かを見極めた上で、申請準備を進めてください。
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